「わたしはねぇ!掃除婦で雇われてるんじゃないんですっ!!」
とある中型スーパーの店長に抜擢されたばかりの若き日の私は、予期せぬエモ―ショナルでヒステリックな怒声に驚いて固まった。周囲の従業員さんも驚いて口を開けたまま、それでも、わくてかしながら私の反応を待っているようだった。
前日から採用となった「パートタイマー」のおばさんだった。社員の男性に事務所前の「通路の清掃」を依頼されたという。いわば「業務指示」だったわけなのだが、その反応がこのような強い拒絶反応だったのだ。正直面喰った、
そのおばさんの職種はたしかに「スーパーのレジ、品出しなど」とされていた。募集の際のチラシにある「業務内容」はそう書かれている。だって、スーパーだからな(笑。
無論、その日、そのおばさんは、たまたま機嫌が悪かったのかもしれないし、その男性社員に対する不満からそういう言動に出てしまっただけかもしれない。だが、しかし、そのおばさんは「2日目」なのであった。つまり“新人さん”である。ならば、もうちょっと初々しさがあっても然るべきではないのかと思ったのだが、それよりもその内容である。
要するに、
「私はレジ・品出しという業務内容と聞いている。募集の際もそう書いてあった。だから清掃という労働は受け入れられない。ふふん。」
ということである。なんという「奥様ぶり」であろうか。バブル経済が破裂した直後、いやでも向き合う現実に、致し方もなく共働きという選択をしたものの、その心の中は、まだまだ「じゅりあなとーきょー」だったのであろうか。
何で、私が働かなきゃダメなのよと、それに時給650円(当時)ってどんだけよと、いい年して世間知らずのまま「セレブ奥様化」したおばさんに、「みんなが使うところ」の清掃業務は、破裂したバブル経済を経て、同じく肥大化して膨張したプライドとやらを傷つけてしまったようだった。
もう、顔面だけを巨大化させて、白目をむきながら右の耳だけをさらに巨大化させて、よだれを垂らしながらも外国人レスラーのように「聞き耳ポーズ」をしっかりつけて・・・
「はぁ?」
と言いたいところだったが、若き日の私はそのような気転などまわらないのであった。
「2」へ
■2008/03/15 (土) ガチコメ的「れれのれ」2
とはいえ、「掃除くらいしろよ、おめーよー!!ドン引きだよ、おめーよー!」などとフレンドリーな“ため口”よろしく、上の者から垣根を下げて、「働きやすい職場!タテの関係よりヨコの関係でいたいのさ!だって、キミは仲間だから!来たれ!若者!集え!仲間たち!」などと振舞えるほど阿呆でもなかったという今日この頃、みなさま、職場の愚痴は家庭に持ち込まず、持たず、つくらず、議論すらしてはいけません!!どうもどうも、いやぁ、あのね、どうも、生捨て生捨て。虹のハードボイルド(笑)です。
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http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080313/lcl0803131157002-n1.htm
<橋下知事が若手職員を対象に初の朝礼 女性職員が知事に反論>
旧聞ですがww
なんか大変だなぁ・・・と他人事丸出しで見ると面白いww
<大阪府の橋下徹知事は13日、30歳以下の若手職員を対象に初めて朝礼を開いた。知事は、予定時間の倍の30分にわたって財政再建や水辺を生かしたまちづくりについて熱弁。「本当は始業前に朝礼をしたかったが、超過勤務になると言われてできなかった」と不満を口にすると、女性職員が「どれだけサービス残業をしているか知っているのか」と反論するなど、初回からヒートアップした。>
マスコミやネットなどでは、この女性が「サービス残業をしていなかった」などと叩いているようだが、そんなことは今更問題ではない。プロ市民や労働運動の闘士のように扱い(ホントはどっちでもいいが)、面白おかしく騒いでいるのもみっともない。
笑えないのはこの「知事さん」である。あえて言葉を選ぶと、あまりに「純粋すぎる」と思しき発言が多い。言いたいこともわかるし、やりたいこともわかる。私の個人的な意見はともかく、多くの大阪府民の支持を得たわけだから、それは結果オーライと捉えて頑張ることも必要である。しかし、あまりにも「隙」が多い。
組織において理想を語るリスクを考慮しているのかどうか。
「3」へ
■2008/03/15 (土) ガチコメ的「れれのれ」3
もしくは、「人を使う」ということを置き去りにしているかの言動は、この「知事さん」の社会経験や仕事上の感覚からなる「弛緩した甘え」であると言わざるを得ない。
「正しいこと(と思うこと)」だから賛同して当然。という姿勢が通じない相手が多いということに異論はないと思う。世の中、色んな人がいるからなww
また、その思考が熱意や信念などに基づいていると、ある種の「感覚麻痺」ともいえる状態になることもある。「批判ありべし。どんとこい。」と最初から構えることによって、小さい批判など鼻で笑って済ませようとすることになる。無論、相手が「論敵」であるならば別だが、この場合など、およそ「組織を束ねる」という立場において、その構え方は間違えていると思うのだ。あっさり言ってしまえば「静かに排除」するくらいの「したたかさ」が欲しいところである。面と向って批判される場をつくること自体が甘さであるのだ。
選挙のときから、それに近い懸念はあった。
http://www5.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=522442&log=20080128
<2008/01/28 (月) ガチコメ的「知事選」1>
民主党なども「若さ」と「タレント」などを攻撃対象としていたのだが、私はそれよりも「人を使う経験の無さ」を気にしていた。圧勝するとは予測できなかったが、少なくとも民主党候補の「知名度が圧倒的だった」くらいは言わずともわかる話だ。つまり、私の懸念とは「若さ」と「経験」を履き違えること、そして選挙戦における「知名度」が「強さ」になってしまうというこの国の実態である。
「若い」のはいい(とはいっても私より3つも年上ぢゃないか!)としても、「経験がない」のは困るのだ。それは「政治」の経験だけを指さない。とくに府知事ともなれば、府の職員を「使わねば」ならんのである。そこが抜け落ちているのではないか。
「4」へ
■2008/03/15 (土) ガチコメ的「れれのれ」4
大阪府の「ようこそ知事室へ」にこうある。
http://www.pref.osaka.jp/j_message/profile/index.html
<ようこそ知事室へ・知事のプロフィール>
<まだ若く、行政や地方自治の経験もありません。しかし、大胆な発想と誰にも負けない行動力を存分に活かして、大阪を元気にする、魅力あふれるまちにする、そのための改革に全力でトライします。>
敵だらけの中、単騎で走り抜け、敵のタックルを切り、トライできるとでもいうのだろうか。ボールをパスする相手は多いほうが良い。タックルしてくる相手は少ないほうが有利だ。そして、その「手駒」を使うのは自分自身なのである。
問題は「行政や地方自治」の経験がないことではなく、このように「たくさんの人間を使ったことがない」という経験そのものである。
だから潰される。ヌルいのだ。
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府の職員を「倒産寸前の会社の社員」と称し、危機感を持たせるつもりだったのだろうが、まさに「やり方が不味い」という典型だ。府の職員も自負心があろうに、それを十ぱ一絡げにして斬って捨てるかの発言には気を悪くした人も少なくなかろう。それを「覚悟」とか「信念」、熱意あふれる若きパワーとするのは勝手だが、あまりにヘタクソなやり方だ。
「なにを!この若造!それならばやってやる!よし!!がんばるぞぉ!」
となるようなめでたい阿呆はいない。「会社」と例えるのはともかく、そもそもが府職員に「その自覚」があるとも思えん。あるとしたらもう、公共心の塊のような国士であろう。そんな中間管理職のオサーンにはには是非とも立候補してほしい。
で、今更だが、この発言にも呆れ果てる。
<さらに、橋下知事は「始業前に朝礼をしたかったが、超過勤務になるのでできなかった。たかだか15分の朝礼ができないというなら、勤務時間中のたばこや私語も一切認めない」と発言。>
これを言ってしまうというところがもう、不安てんこもりであろう。
この知事さんは、自分が正しいと全国の人々から称賛してほしいのか、それとも本気で大阪府政を“どげんかせんといかん”と考えてくれているのだろうか。
明らかに同レベルである。いや、正否はともかく、勝負ならばこの「女性」の勝ちだww
ともかく、マスコミに潰されるのも時間の問題だ。
4年後にはまたテレビに出ているだろう。
「5」へ
■2008/03/15 (土) ガチコメ的「れれのれ」5
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「通路の清掃」を指示した男性社員も固まっている。鼻息荒いおばさんを前にして、私に期待をこめた視線を送り続けている。むぅぅ・・・
「コレも仕事です!」
といえばいいのだろうか・・・?いや、それとも、
「あなた、非常識な人ですね!」
とでも・・?いや、もう、あっさりと、最高責任者の威厳をかざして、
「あんたなんかクビだよっ!!ごるぁああ!」
とバッサリと斬って捨てる・・・?いや、それとも、こんなおばさんには・・・
『わかりました。私がやります。』
そういうと、私は「ほうき」と「ちりとり」を持って通路に出た。ふん。掃除くらいできるぞ。れれのれ~~れれのれ~~お?お出かけですか?ああ、トイレまで?がんばってね!すごいの出たらいいね!おっと、これはこれは、魚屋さんの社長の奥さんぢゃありませんか、ご機嫌うるわしゅうございます。今日も元気にがんばっているところでございます!
男性社員が追ってきた。
「い、い、い、いや、店長!ぼくがやります!すいません!!」
『お?そうか?じゃあ、頼む。ありがとう。』
そのおばさんは数カ月で辞めたが、掃除はしてくれるようになった。
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