忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

首相「一致結束、心から心から心からお願い」(読売新聞) >2012.6.26

2012年06月26日 | 過去記事

    




首相「一致結束、心から心から心からお願い」(読売新聞) - goo ニュース

<消費税率引き上げ関連法案を柱とする一体改革関連法案の衆院採決を翌日に控えて、民主党は25日夕、国会内で臨時代議士会を開いた。

 野田首相は「しっかりと結論を出すこと、苦しくても国民にご説明をし、ご賛同を得る政治をぜひ実現したいと思う。私を、執行部をぜひ信頼していただき、一致結束して、みなで力を合わせて法案通過に向けてご支援ご賛同を賜るよう心から心から心からお願いしたい」と訴えた>







すぐ思い出した。菅直人の「本当に見たくないのか×3」だ。東北の被災地、避難民を人質に立て篭もった管直人が再生エネルギーとやらの「固定価格買い取り制度法案」の通過に際して放った言葉だった。オレの顔が見たくないなら、さっさと法案を通せ、ということだった。その横では「菅直人は粘り強い」とか言って孫正義が馬鹿を持ち上げていた。

野田は「心から×3」ということだ。コレも実に馬鹿馬鹿しい。飛んで飛んで~♪回って回って~♪じゃないんだから、どうせなら50回くらい言えばよかった。まだ、記憶に残ったかも、だ。そういえば「演説が上手い」とされる浪速の剛腕も「真剣に×3」とか「本当に×3」をやった。政治家は「わかりやすいワンフレーズの繰り返し」がよろしいとされる。そういえば、あのオバマ大統領もそうだった、とかメディアはやる。果たしてそうか。

第一次敗戦後、天文学的な賠償金を負わされてふらふらのドイツ、GHQのお陰さまでリテラシーが育たず、安モンメディアに振り回される日本人、これらは共に政治家は騙しやすい。ドイツなどはそこに「演説の天才」が出てきてエライ目に遭った。それに政治家は「演説が上手い」も必要なことだろうが、オバマの場合、つまるところ「個人主義」が蔓延しているアメリカ国民に対し「演説が上手い」と評されるにはレベル、次元が違う。

例えば、落ち着いた感じで静かに、そっとつぶやくように「There is someting happneing.・・」とかやる。そこでなにかが起りつつある・・・というようなノリだ。それからゆっくりと目を閉じ上を向き「1月の雪の日、人々が何ブロックも何ブロックも続く長い長い列をつくる時に・・・」と話し出し、ゆっくりと目を開けて聴衆を見渡しながら「若者たちが、これまで政治に全く関心がなかった若者たちが、今回だけは違うと言っている・・・人々が・・・・金持ちも貧乏人も、黒人も白人も、ラテン系もアジア系も……人々が、ただ所属する政党のためにではなく、いつも抱いている希望のために投票する時に・・・・」と十分に溜める。しっかりと「間」をとる。これは「腕」がいる。それから、

「Change!(変化です!)」と大きな声でやる。そのまま畳み込むように「Change is What's happening in America!!(変化がアメリカで生まれているのです!)」と続ける。聴衆は胸が躍る。リズム感、躍動感ある「簡単な言葉」に乗せられる。ライブ感覚、だ。

ここからクライマックスに突入する。「ワシントンのロビイストたちに代わってあなたたちがアメリカのマジョリティーになる!!」と叫ぶと支持者は泣きたくなるほど興奮する。黒人やらヒスパニックやらのマイノリティはまた、何度でも何度でも何度でも騙される。中には「ホントかな?」と疑うゲイもいる。だからオバマハ先手を打つ。溜息を吐くと、また、静かにこうつぶやく。

「だけど、それは出来ない、という連中がいる。それは現実的ではないという人がいる・・」

聴衆は再び静まり返る。しかし、次の瞬間だ。

「Yes we can!!!(できるんだ!!)」と叫ぶ。拳を上げて叫ぶ。聴衆の脳内にはなんか出る。ふわぁってなる。オバマは左を見て問う。「奴隷たちが暗闇の中から自由へ歩み出した時、彼らはなんと言ったんだ???!!!」聴衆は無意識に「Yes we can!!!」と叫んでしまう。オバマは右側の聴衆に問う。「かつて開拓者たちが荒野を西へ西へと進んでいった時、彼らはなんと言った???!!!」同じく、聴衆は「Yes we can!!」となる。開拓者が西へ西へ行ったから、奴隷たちは暗闇の中にいたわけだが、そんなことはどうでもよろしいとばかり、オバマは壇上で何度も腕を振り上げる。汗が流れ、ネクタイは緩み、スーツは踊る。

「できるんだ!!公正と平等を手にすることが!!できるんだ!!機会と繁栄を手にすることが!!できるんだ!!この国を癒やすことが!!できるんだ!!世界を立て直すことが!!」会場はもう、割れんばかりの「Yes we can! Yes we can!Yes we can! Yes we can!Yes we can! Yes we can!」が響き渡る。大統領誕生の瞬間、だ。

もう、日本の民主党どころではない。なにをどうやるのか、どうやって実現するのか、など吹き飛ぶ勢いだ。だって「できるんだ!!」と叫んでいるのだ。ということは、つまり、できるんだろう、となる。これだけでアメリカの子供までが「Yes we can!」と言うし、日本でも「オバマ音頭」とかできる。つまり、馬鹿なのだが、日本の有権者はノリも悪く、もっと馬鹿な政党、餓鬼みたいな政治家に騙される。「演説はわかりやすくて面白いのがよろしい」というだけなら「鳥肌」にでもやってもらえばいい。誰も勝てない。

さて、せっかくだから、本当に心に沁み入る「フレーズ」も紹介しておこう。私はサッカーはよく知らんが「エジソン・アランチス・ドゥ・ナシメント」という凄い選手がいた。野球選手が2000本安打達成、とかで騒いでいるが、この人は生涯で1281のゴールを決めた。サッカー音痴の私でもこれはすごい、とわかる。その選手、日本では「ペレ」と言ったほうがわかりやすいが、この人は引退のとき「みなさん、この言葉を3回繰り返してください・・・」と言った。それは、


Love-Love-Love



だった。そのあと、記者から「あなたがいちばん大切にしてきたものは?」と問われたペレは、


「愛だ。スポーツにも政治にも、いや人間が生きていくのに最も大切なものは愛だ」



と答えた。これを鳩山由紀夫が言うのとは値打ちが違う。なぜかというと、ペレはこんな言葉も残している。






人生のどのような場面でも、人間は一人では活動できない。
私たちは常にあるチームの一員であり、皆がそれぞれの役割を持っており、
それぞれに重要である




チームを愛していると公言し、エンブレムにキスをする選手たちを見てきた。だがその選手が翌年は別のチームで同じことをする。
つまり金を払ってくれる所ならどこでもいいわけだ。
そんなことは私がプレーしていた時代にはなかった







割れてはくっつき、くっついては割れる日本の政党。内ゲバ、内部抗争、権力争いと、いったい、どこの誰のために政治を志したのか。たまにはたまにはたまには、サッカーボールでも蹴ってみればどうか。




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