忘憂之物

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「熱中症で心神喪失の可能性」 傷害事件で男性に無罪

2013年05月31日 | 過去記事


「熱中症で心神喪失の可能性」 傷害事件で男性に無罪

<神戸市内の公園で2012年9月、たまたま居合わせた男性2人を殴るなどして重軽傷を負わせたとして、傷害罪に問われた香川県丸亀市の男性会社員(31)に対する判決が28日、神戸地裁であった。片田真志裁判官は「犯行時は熱中症による急性錯乱状態で、心神喪失だった可能性がある」として無罪を言い渡した。

 判決によると、会社員は昨年9月9日夜、神戸港発香川行きのフェリーに乗り遅れて野宿した際、かばんや現金を盗まれた。神戸市内を2日間歩き回り、同11日午後6時ごろ、同市中央区の公園で花壇の手入れをしていた男性(当時44)の顔を殴って軽傷を負わせた。さらに散歩中の男性(同79)を殴り倒した後、顔を踏みつけるなどし、高次脳機能障害の後遺症が残る重傷を負わせたとして起訴された。

 地裁が実施した精神鑑定では、会社員は2日間、食事や十分な睡眠をとらなかったことに加え、犯行当日の気温が28度、湿度が60~80%だったことから、「熱中症により、重度の意識混濁や被害妄想などの意識障害が生じていた可能性がある」とした。

 判決は「鑑定は十分尊重すべきもの」としたうえで、「会社員が正常な認知力で妄想を克服できるような状況ではなかったため、責任能力は心神喪失の程度に達していた可能性がある」と結論づけた。検察側は論告で動機について「空腹や疲労などに起因するいら立ちを発散するため」などと指摘し、完全責任能力と認定される場合は懲役5年、心神耗弱の場合は懲役4年を求刑していた>






「痴漢冤罪」という問題がある。私も最近は電車にも乗るから、あながち他人事でもない。気を付けるポイントとしては「女性乗客には近寄らない」。それから窓際を狙う。座れる場合は座ってしまう。混んでいる場合で窓際ゲットが不可能となれば吊皮を両手で持つ、などだ。

えげつないのもある。安モンの小説みたいだが女性同士で仕組むとか。近くにいたら騒がれる。まあまあ、落ち着いてと思ったら、隣の女性が「私見ました」とくる。駅長室に行くと罪人扱いされてお仕舞いだ、と週刊誌にも書いてある。絶望していると、その女性から「罰金の半分でいいよ」と言われる。小遣い足して20万ほど。躊躇う男性は少ない。

あと怖いのは誘惑だ。「そういう雰囲気」を醸しながら誘う。男の過半は馬鹿だから、つい冗談半分、弄ると「きゃぁ」。すべてがあとの祭。腕を掴まれたあと、警察だ、とかになる。触った相手は婦人警官だったとか。泣くに泣けない話もあった。

我ら男はみんな隙を作らず、電車に乗るときは顔面をゴルゴみたいに強張らせているか、呆けたように窓の外を見て笑うとか、スマホのタッチ画面を懸命に触るとか、三島由紀夫の写真を持ち歩くとか、なんらかの防衛策を講じる必要がある、かもしれない。

それでも2011年には大逆転があった。競艇の森下祐丞選手の「痴漢冤罪事件」だ。その年の5月、神戸市須磨区の路上で「きゃぁ」を言ったのは婦人警官だった。しかし、本人は「ぶつかっただけ」と容疑を一貫して否認した。ゴールデンウィークの最中、メディアも「現役の競艇選手が痴漢で逮捕起訴」をやった。男性警察官の目撃者もいた。有罪は確実かと思われたが、なんと逆転無罪になった。さて、冤罪が大好きなメディア。大嫌いな警察官の失態、大騒ぎするのかと思ったら静かなもんだった。

裁判の「男性警察官の目撃証言」とは「真夜中、70メートル先からみえるわけない」だった。それから「連続猥褻犯」の捜査にあたっていた婦人警官には「訓練もしている警察官が防御できなかったのは不自然」という判断。それから「現行犯逮捕したから後に引けなくなってウソついてるんじゃ」と、なにか警察官に恨みでもあるのか、と思しき判決理由もあった。迷惑けられたはずの森下選手も兵庫県警や婦人警官を訴えたりもせず、誤解が解けて良かったです、早くレースに復帰したい、とか爽やか優等生のコメントだった。

また、その森下選手は結婚披露宴の1週間ほど前だった。その日は飲んで遅くなったらしく、電車も寝過してしまったとか。それから新妻の待つ自宅に帰り、披露宴で流すDVDの作成をするため、タクシーを探していたらしいとわかった。ネットでも「披露宴を控えた男が」とか「金もあるだろうし、嫁もいるんだから」という意見が相次いだ。べつにおっぱいに困っているわけでもない。米軍じゃないんだから、性風俗を禁止されてもいない。触りたければいくらでも街に売っている。それにこの後、捜査中だった「連続猥褻犯」も捕まった。やっぱり森下選手は関係なかった、冤罪被害者だったという声も強くなった。

しかしながら、事件を振り返ると、森下選手は「手前約5メートルで目が合うと同時に男性が突然、右手を肩まで挙げ、手のひらを開いたまま自分に向かって走ってきた」(婦人警官の証言)。こうやって「タクシーを止めたことがある」という人はいるだろうか。どれほど酔っていても、タクシー止めるときは頭より高く手を上げるのではないだろうか。しかも、現場地点は駅からすいぶん離れた場所だった。深夜1時前の住宅街の路上と北口にタクシー乗り場がある終電時間の駅前、どちらのほうがタクシーに乗れるだろうか。

また、捕まった「連続猥褻犯」だが、コレは婦人警官が言うように「捜査の事前情報で注意していたわいせつ犯の風貌とは違い、無警戒で歩いた」ということなんだろう。だから男性警察官も70メートル先で待機したままだった。言うまでもないが「連続猥褻犯が捕まった、だから森下選手は冤罪」とはならない。直接に何ら関係がない。

それに元々、警察はこの件とその件は区別していた。「なぜ防御できなかったか」には先ず、この理由がある。予想外だったわけだ。それと言葉にはしなかっただろうが、この捜査は要すれば「おとり捜査」だったと子供でもわかる。つまり、相手が近寄ってきただけなら逮捕なんぞできるわけない。あくまでも「現行犯」を押さえる必要がある。それをこの裁判官は逆手に取った。

また、男性警察官の目撃証言だが、たしかに「70メートル先」からでは見えにくいだろう。だから検察側も根拠が弱い、として外した。しかし、だ。その男性警官は執筆中の小説に行き詰まり、途方に暮れて夜空を見上げていたわけではない。気分よろしく赤提灯の帰りでもない。警察の捜査で、つまり、仕事でそこにいた。そんなとき「おとり役」の女性捜査員に動きがあった。その瞬間、意識は相当集中していた、と考えるのが常識だろう。コンビニ帰りの学生でもあるまいし。

まだある。これは決定的だと思うのだが、森下選手は現場から逃走している。男性警察官は裁判官が言う通り「70メートル」も向こうにいる。つまり、その場には悲鳴を上げて倒れ込む女性がいるだけだ。場所は電車の中ではなく路上。これ普通、逃げるシーンか。

森下選手はこの理由を「女性が怒っている感じだったので異常な人と思い、関わり合いにならないために逃げた」とした。森下選手は「偶然に衝突した」までは認めている。「接触した」との自覚もある。ならばこの供述は無理が生じていないか。タクシーを止めようとして上げた手が接触、相手が女性で倒れたなら怒っていても仕方がないんじゃないか。

もちろん、人でなしの誹りを覚悟すれば、道端で女性と衝突、相手が倒れ込んで悲鳴を発しても「異常な人」だということで走り去ることは罪ではない。罪ではないが、通常の行動とは言い難い。咄嗟に「だいじょうぶですか」が常識だろう。それを100メートル先のマンション下で逮捕されるまで走って逃げるほうが異常だ。それに電車を寝過ごすほど、タクシー止める手が上がらぬほど酔ってたんじゃないのか。披露宴のDVDを作成しようと、新妻と約束した夜に。

それから「披露宴まで1週間」とか「嫁はんがいるのに」と擁護していた男は童貞か。それで性欲が抑えられるなら慰安所はいらない。「戦争しに行くのにオンナなんて」は福島瑞穂とか辻元清美にしか通用しない。普通の男だったら「だからいるんだろ」でお仕舞いだ。

また、世の中に溢れる浮気とか不倫というのは、すべからく「配偶者や交際相手がいる」ことが前提であり、そうでなければそれは「恋愛」とか「交際」という。男が女を見てムラムラするのに理由なんぞいらない。本当の痴漢で捕まった変態にも嫁くらいいる。橋下市長は詳しいかもしれないが、夜の街には「イメクラ」もある。電車で痴漢、が好ましいなら、ちゃんとそういうシチュエーションもある。それでも電車内で、路上で性犯罪行為に及ぶ畜生はいる。

エリートだから、有名だから、も関係ないと知れている。朝日新聞本社のエリートも局部をネットに晒すほど「性的エネルギー」をコントロールできていない。著名人の不祥事も枚挙に遑ない。我々からすれば、あんなに有名でお金もあって、と不思議になるかもしれないが、世の常識から外れない理由にはならないようだ。悪く言えば変態、良く言えば病気なのだ。つまり、抑制が効かない。

神戸地裁はこのとき「不意にぶつかっただけの可能性が十分にあり、犯罪の証明があったとは到底いえない」として無罪判決、その後に確定した。この裁判官が片田真志になる。

この裁判官は他にもある。神戸市兵庫区で29歳の男がミニバイクでふらふらしていた。止めてみるとシンナーが出てきた。免許を出せ、と言うと無免許だったから、警察は逮捕して起訴した。毒劇物取締法違反と道交法違反の現行犯。仕事を問うたら「美容師見習」とか。それならトルエンは使わないから、普通は吸うためか売るためだとわかる。

しかし、裁判では「川に捨てるつもりだった」と供述。検察官は「あんまり世間を舐めたらアカンで」くらい言いたかっただろうが、なんと片田真志裁判官は<使用を裏付ける客観的証拠がない>として無罪判決だった。世間を舐めていたのは30前の無免許ラリパッパでだけではなかった。

昨年9月、公園で花壇の手入れをしていた44歳男性を殴り、通りかかった79歳の老人を殴り倒し、さらに顔面を踏みつけて高次脳機能障害、つまり脳を損傷させた31歳の男が逮捕、起訴された。被害者は二人。本人も「殴った」と認めている。今度こそは大丈夫だろうと思っていたら<犯行時は熱中症による急性錯乱状態で、心神喪失だった可能性がある>から無罪だとか。

片田もたぶん、これじゃ弱いかな?と不安に思っていたかもしれない。すると、検察が犯行動機を<空腹や疲労などに起因するいら立ちを発散するため>としていた。要するにこの馬鹿はバッグを盗まれたのに警察にも届けず、身内や会社に連絡するわけでもなく、なぜだか野宿を選んで二日間も歩きまわり、それでお腹も空いていたし眠かったから八つ当たりした、と断定した。片田はそれをそのまま「無罪の理由」にした。

<犯行時は熱中症による急性錯乱状態で、心神喪失だった可能性がある>

だったら仕方ないね、だ。つまり<正常な認知力で妄想を克服できるような状況ではなかった>のはこの裁判官だったとわかる。法廷の裁判官席に座らせるのではなく、精神鑑定して布団で寝かせたほうがいい。




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