忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

なんか「オバマボーイズ」もあるらしいね

2012年11月11日 | 過去記事



今年の夏に行った海。あまり詳しくは書きたくないほど、人が少なく、綺麗な海だった。ラムネのビンみたいな透き通る海の底に潜るとサザエがちらほら。沖の方に行くとイシダイがうろうろ。地元のオッサンらが昼間から火を焚いて、醤油の焼けた香ばしい匂いの中、ビール片手に盛り上がるのも仕方がない。

妻が「サザエさん取って来い」というから、今日は軍手とかもないし、獲っても焼いたりできないからダメ、と諭したのだが、なんと、妻の「取って来い」とはつまり、(海から)獲って来いという意味だけではなく、(あのオッサンらのサザエを)盗って来い、も含意していた。すなわち、結果として喰えればよろしい、手段は問わない、というものだった。

それもどうかと悩んでいると、あきらめない妻は「オレ、トッテ、クル」とか、相変わらずの無意味なインディアン口調で海に入るも、妻は水に顔をつけられないから、砂浜の「手の届く範囲」でサザエ漁を解禁していた。水遊びとも言う。しかし、我が妻に拾われるほど呑気なサザエはいない。そんなの厳しい海で生きていけない。

足首くらいの浅い海で「サザエさんいない!」と不機嫌になった妻は石ばかり拾って投げてくるから、私は仕方なく、持参していた缶ビール片手に「物々交換」を願い出たら、腹の出たオッサンが「ほれ」と気前よくふたつくれた。焼き立てだった。妻は「サザエでございます!」と上機嫌、問答無用でふたつとも食べた。「おさかなくわえたサザエさん~♪おっかけてぇ~♪」と喜びの歌も披露していた。

「じゃあ、おっかけてるのは誰なのか?」という謎はともかく、赤い顔したオッサンらに礼を述べたその帰り。その周囲にはシャワーもないというか、そもそも「海水浴場」ではないから、潮で濡れた体はベタベタしたままになる。でも、ちゃんと下調べはしてある。ちょっと寄り道した福井県小浜市の「小浜駅」近くに風呂屋がある。「濱の湯」だ。小浜市民でなくとも、600円だかで大きい風呂に入れる。ハコモノ行政ばんざい。露天風呂もあって、若狭湾を見ながらの「海草風呂」はお勧めだ。「塩サウナ」もよろしい。日焼けした肌には最高だった(泣)。

良い気分で生ビールを飲み、ビューラウンジで妻が出てくるのを待っていると、なにやら黒人の置物がある。「オバマ人形」だ。頭を指で突くと首がバネになっているのか、みょわんみょわんと揺れた。馬鹿みたいだった。そういえば駅の売店をよくみると「オバマ饅頭」とかもあった。オバマを描いた手拭やらタオル、茶碗や箸やらもあった。こんなのどこの誰が買うのか、売れているかどうかは不明だが、まあ、あるにはあった。

―――さて、大統領選の結果を受けて、また小浜氏が盛り上がっているとか。意味不明だ。ケニアが11月6日を「オバマ・デー」として祝うのとは意味も違う。ケニアの大統領「ムワイ・キバキ」は「オバマ氏の勝利はケニアにとっての勝利でもある」とコメントもしたが「オバマ大統領を勝手に応援する会」も勝手に喜んで<こちらから大統領に会いに行きたい。その次はぜひ小浜にも来てほしい>とか。この「勝手に応援する会」は本当に勝手にいろいろとやっているみたいで「勝手にホノルル市長をアポなし訪問」とか「勝手にハワイ民主党本部をアポなし訪問」もやる。でも勝手にケニアは行っていない。

まあ、ともかく今回の結果、予想通り勝手に喜んでいるのは福井県小浜市と、それから北京とモスクワだ。もちろん、日本国内の左巻きもほっと安心している。報道ステーションではさっそく<やはり私は共和党はもう少し真ん中に寄らないと、ホワイトハウスは奪還できないし、今ある決められない政治というのを越えられないと思いますね>と朝日新聞論説委員が言う。太平洋の向こうを見ながら、石原新党は言うに及ばず、自民党もそうなんですよ、と視聴者に訴える。「対中強硬路線」はアメリカでも負けたでしょうと。

また「ロムニーは別に親日じゃない」はよく聞いた。そんなことは知っている。評価すべきはそこじゃない。使えるのは「筋金入りの反中」という部分だ。支那をして公然と「為替操作国」と言い放つ。安全保障については「中国の軍事的脅威に対し連合国との協調路線の必要性」を説いていた。べつに日本の総理大臣とファーストネームで呼び合ったり、一緒にゴルフしたり、自宅に招いてプレスリーの真似をさせて遊んだりしなくてもよろしい。パフォーマンスはもう結構、だ。

重要なことは利害が一致している部分が多いか少ないか、それは重要な部分かどうか。ある程度の価値観の共有が可能かどうか。それを便宜上、友好関係とか協力体制と呼ぶことになっている。国と国同士、個人の付き合いのように「本当に信頼できる関係」になどあり得ない。昨日の友は今日の敵、が世界標準だ。未来永劫に続く「同盟関係」も怪しげなものだ。だからちゃんと破棄できるし、継続しないという判断もできることになっている。

オバマ政権だってそうだった。いくら「オバマガールズ」がフラダンスを踊ろうとも、オバマ政権は日本を通り越して北京に行った。「米国債セール」だ。アメリカの国益になるなら小浜市など相手にするはずがない。小浜市は本気で「大統領に来てもらいたい」とか言うならアメリカの国債を3兆円ほど買えばいい。日本の米国債保有残高は88兆円ほどだから、合わせたら支那の1兆1536億ドル(約90兆7594億円)を抜く。オバマは必ず来てくれる。オバマバーガーもオバマ饅頭も喰うし、フラダンスも踊ってくれる。

比してロムニーは不人気だ。「TPPへの日本の早期参加は期待しない」とかも言う。もちろん、これは日本の国家観を懸念して、美しい日本の田園風景がとか関係ない。ロムニーは日本のことを「100年にわたる衰退国家」と呼んで嫌っている。つまり「反日」に近いモノがある。というのもロムニーは、自分が創設した投資ファンドを日本に進出させ、衰退した企業を廉価で買い付け、大いにリストラしてから売却するという「世界のどこでも通用した手口」をやった本人でもあった。しかし、これが上手くいかなかった。

表向きの理由はデフレスパイラルやら少子高齢化。これならいま、だれでも納得するし、なんとなくそうなんだろうとメディアも疑わない。しかし、本当のところは違うのではないかと思う。すなわち、ロムニーは「日本を知った上で」日本を忌避している可能性がある。日本の市場の複雑さ、特殊性を知ったロムニーは、先のデフレやらも合わせて「こりゃダメだ」と判断しているかもしれない。「儲かります」が通じる相手が少な過ぎる。企業の売却にしても「従業員はどうなるのですか?」という経営者が少なくない。情に流されて欲深くない。それなら「日本の市場はおいしくない」と。

結構なことだと思う。もちろん、日本は「100年にわたる衰退国家」でもないし、そんなことは言わせておけばよろしいのだが、そういう「シビア」な日本観を米大統領が持っているということは悪いことばかりでもない。日本のメディアは「ロムニーは日本に対して厳しい」みたいに言うが、警戒されるのと侮られるのとは違う。「日本の立場を理解してくれないかもしれない」もどうか。日本には憲法9条があるから集団的自衛権も行使できません、が「日本の立場」ならば、そんなモノ「理解してくれている」ほうが不気味だと思うのが普通だ。

ロムニーはオバマ大統領に対し「結婚とは男女間の関係だ」と明言した。オバマが「同姓婚」に賛同し、演説でも必ず「ゲイ」を入れるから支持を得ていることも既知である。それを公開の場でぶった切る。ワシントンポストはすぐ、ロムニーが高校時代、同性愛者の髪の毛を切ったことがある、と報じた。差別主義者だと。ロムニーは半世紀以上前の出来事に「やりすぎた」とか詫びた。「髪を切ったのは申し訳ない」と虐めたことを詫びたのだが、それでも同性愛者は認めても「同姓婚」を認めることはなかった。

ロムニーはオバマの支持者をして「政府に依存し、自分たちを犠牲者だと思いこんでいる」とも言った。良くも悪くもアメリカ人だ。基本、世界は弱肉強食だと言いたいのだ。ロムニーはオバマの国民皆保険も批判する。私はこちらに賛同する。アメリカ人は日本人の真似をすべきだが、国民皆保険制度は100年早い。物事には順番がある。先ずは「いただきます」とか「失礼します」を学ばねばならない。労働はべつに罰でも何でもなく、喜ばしいことだと知るところから始めねばならない。

ロムニーは農耕民族の真似事をするな、と言っているに等しい。狩りもしないで同じだけの獲物をもらえるような社会はおかしい、と言ったら「接戦」になった。ハリケーン「サンディ」が来なければ、もっと「接戦」になったはずだ。アメリカ人のおよそ半数は、いまでも合理主義者であるとわかった。個人主義、現実主義、実力主義なのである。ロムニーは「パレスチナ人は和平実現への関心など全くない。和平への道筋を描くことはほぼ不可能だ」と本当のことを言う。これも日本ではウケは悪いが、事実であることはどうしようもない。

日本は3年ほど前、できないことをできると言った政党に政権を盗られた。「友愛」とか「東アジア共同体」という水洗便所のようなキレイな言葉を疑いもしなかった。「最低でも県外」に疑問も不安も抱かなかった多くの有権者は、圧倒的支持で民主党政権を誕生させた。私はロムニーより、こっちを思い出すほうが怖い。

2009年、オバマはプラハで<アメリカは核兵器を使用した唯一の核保有国として、行動を起こす道義的責任を有する>と言った。いわゆる「核なき世界」だ。ノルウェーは喜んでノーベル平和賞を贈ったが、ロムニーの支持者らは笑った。だって米海軍の空母は過半以上が「原子力空母」である。核兵器もある。原子力潜水艦もある。これを「なき世界」にすればどうなるか、さすがは民主党の大統領だと馬鹿にした。

ホワイトハウスは心配した。これは「言質」を取られたに等しい。受賞を辞退すれば「演説は口だけ」と非難される。結果はもちろん、口約束だった。アメリカにはまだ、原子力空母も潜水艦もあるし、ちゃんと核実験もやった。

オバマも馬鹿なことを言ったものだが、御蔭で朝日新聞は早くも<「核なき世界」を掲げ、ノーベル平和賞を受賞したオバマ米大統領が7日、再選された>と天皇陛下にも使わない敬語を駆使して「言質」を確認している。小浜市はともかく、広島と長崎に来て献花でもしてくれれば、と夢を見ている。ンなこたぁ、あり得ない。


ともかく、オバマ再選だ。これでまた、アメリカ経済も4年間は仕方ないという9日、合わせたように読売新聞一面トップは<首相、TPP参加で年内解散>だった。これ以上、党が割れて30人以上の離党者が出るのも織り込み済み。親米追従と批判された自民党ですら「慎重に」と距離を置くTPPに走り込む野田政権。右も左もわからぬ素人政党、悪口だけの政治家の寄せ集め、不勉強で無知の政治主導、その後ろに蠢くのは支那朝鮮の赤い支持団体――――最近、アメリカ大統領選で日本への影響は?と問うテレビが阿呆らしい。




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