忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

2009.1.12[2]

2009年01月12日 | 過去記事
「ついてないよな。大変な時代におとなになってしまったもんだ」・・今年、新成人を迎えた若者はこんなふうに思っているのではないかと、朝日新聞が社説で書いている。言うまでもなく、これは「こう思って欲しい」という朝日新聞の願望である。▼朝日は<時代を変えるのは若者の力だ>という左臭いセリフを吐きながら、つい本音を漏らす。<今年はちょうどいいチャンスだ。衆議院の選挙がある。選挙は世の中を動かすきっかけとなる。>▼そして、どう世の中を動かせばいいのかというと、少し前の朝日新聞にあった。6ページに亘って共産党の提灯記事を書いている。「派遣切り、限界集落…そこに「共産党」―ルポにっぽん」と題された記事がそれだ。▼惨たらしい「派遣切り」の実態が紹介されている。<腱鞘(けんしょう)炎や胃痛になっても、国民健康保険料を滞納していて病院に行けない。夜勤中、製品を持ったまま失神すると、正社員は「気をつけてよ。高いんだから」。そこも10月で切られた。><「今月末で自主退職して下さい」。愛知県に本社を置く住宅会社の営業マン、藤川修さん(43、仮名)は昨年11月末、人事担当者にこう言い渡された。会社は前年比130%の増収で、社長を含め社員は4日前にグアム慰安旅行から帰ってきたばかりだった。>▼失神しているのに正社員の暴言は聞こえたのだし、従業員を解雇した会社は慰安旅行にも行くなということだ。そして「切られているのは人間です」という、わけのわからんビラを捲いているそうだ。「猫の手も借りたい」という言葉はあるが、犬や猫を雇う会社はない。▼さて、朝日は新成人諸君に向けて、こんな言葉で最後を〆ている。<せっかくおとなになったのだ。ちょっと投票所に行ってみよう。若者の一票一票を積み上げてみよう。荒海に乗り出す船は、若いこぎ手を求めている。>▼さすがは朝日。風刺が効いている。「乗り出す船」とは蟹工船のことだ。


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