月刊美術編集部ブログ

アートにどっぷりとひたる毎日

「気になる本」2011年3月号紹介の美術書

2011年02月27日 | 気になる本
AQUIRAX CONTACT ぼくが誘惑された表現者たち
メディチ家 ルネサンス・美の遺産を旅する (別冊家庭画報)

海を渡った古伊万里―セラミックロード―

森田りえ子画文集 オンナマエ
池田学画集1
森琴石作品集
女子美術教育と日本の近代―女子美110年の人物史
生くる
友よ






ごめんなさい。月刊美術3月号「ほしくなる版画」がアマゾンで売り切れてしまいました。

2011年02月26日 | 管理人兼水泳部員N
今月20日に発売された月刊美術3月号巻頭特集「ほしくなる版画」が3月25日現在、アマゾンで売り切れ状態になっています。
書店でも売り切れの可能性があるので、お早めにご購入くだい。

他のネット書店ではまだ買えます。発売元の実業之日本社でもご注文を受け付けています。購入方法は下記の通りです。
本の購入について


仙台・晩翠画廊の「春の芽吹き版画未来!展」

2011年02月24日 | 管理人兼水泳部員N
今週発売された月刊美術3月号の特集は「ほしくなる版画」。
新人作家インタビューとともにズラリ160点の新作版画を紹介して読者からの購入応募をお待ちしています。
さて情報コーナーでは、近々の日程で見られる各地の版画作家たちの展覧会も紹介しています。

仙台の晩翠画廊では、版画にフォーカスした展覧会を開催予定。
題して『春の芽吹き版画未来!展』
これから活躍が期待されるフレッシュな版画家たちの新作が展示されます。上の作品写真は出品作の一つ、小林美佐子さんの「習慣」。
以下は画廊マネージャー金子さんからのメッセージ。

「将来有望な若手の作品は値段も手ごろで見ているだけでもワクワクしてきます。作家の名はまだ有名ではないかも知れないのですが決してフェイクではなく本物です!
 今年は12月に特別な版画の展示を予定していますがちょっとアートに興味を持ったあなた! 自分感覚で素敵な版画作品を選んでお部屋に飾ってみませんか。
 あなたが選んだ作家さんが今後のアートシーンを盛り上げて行く作家さんに成長するかもしれませんよ~」


出品作家は 常田泰由 斎藤悠紀  住田祐見  野口真弓  箕輪千絵子 小林美佐子 鎌田有紀  佐藤真衣  佐藤妙子 廣澤 仁 久後育大
の11名。それぞれ2~3点を出品するとのこと。
版画はもっとも手に入れやすい美術品のひとつ。行って、見て、買って楽しんで欲しいのです。

『春の芽吹き版画未来!展』
会期 2011年3月1日~13日
会場 晩翠画廊
〒908-0803 仙台市青葉区国分町2-3-13
問合 022-713-6230 


以下は出品作からのピックアップ。

住田裕見「庭師」


常田泰由「t.c」 


佐藤真衣「amakumoroku」



月刊美術3月号発売されました

2011年02月20日 | 管理人兼水泳部員N
月刊美術2011年 3月号が発売されました。

巻頭特集は「ほしくなる版画」
これまで「版画NOW」「版画祭り」の名称で楽しんでいただいてきた版画の頒布特集をリニューアルしてお届けします。

前半は「新人作家インタビュー」。これまでの版画の常識を打ち破る新人作家たちに、インタビューと作品で迫ります。都市を廃墟空間に変える元田久治、木版画に女性らしさと物語性を取り入れた鈴木敦子、凄腕写実版画家ともいうべき女性版画家の庄漫(しょうまん)など、次世代版画家たちが総出演します。

後半は「すべて変えます!新作版画160点」と題して、これまでの頒布企画をグレードアップしてお届けします。この一年間に発表された版画の中から特に注目作品を160点集めて誌上頒布します。

頒布っていう言葉がもう古臭いと思われるかもしれませんが、要するに「誌上カタログ販売」です。雑誌で紹介した作品はすべて購入できますので、巻末の専用封筒に購入希望作品を書いてお送り下さい。一作品に複数応募の場合は抽選させていただきますが、版画はそもそも複数作品がありますので、選外になることはほとんどないでしょう。それでも、限定数を超える人気作品は必ずあるもので、今年も安部直人さんやアヤコイサカさんの作品には人気が集中すること必至です。新人版画家のブレイクの予感もありますよ。

人気コーナーの本江邦夫の「今日は、ホンネで」には、中林忠良さんが登場。日本の版画をその歴史から未来まで見据える日本版画界の巨匠が現状をどう捉えているのか、本江氏が切り込みます。

アトリエビューには、現在日本橋高島屋で個展開催中の洋画家・栗原一郎さんが登場。燻し銀の画家のアトリエにおじやまして、その制作風景の一端を垣間見ます。

イッセー尾形の「名画百面相」は、誰でも知ってるあの恐怖の顔のムンクの「叫び」。新解釈にタイトルをつけると「船がでるぞー」。その真意は本誌を読んでください。

新連載「The 蒐集」には諏訪敦さんが集めた鉛筆削りをズラリ。

今月号も情報満載の月刊美術3月号を是非ごらんください。
購入はこちらから。
月刊 美術 2011年 03月号をアマゾンで買う


「旅する版画:イヌイットの版画のはじまりと日本」と「版ガール」

2011年02月03日 | 管理人兼水泳部員N
編集部では現在、3月号を制作中。
3月号といえば恒例の版画特集ですね。「版画NOW」という以前の特集タイトルの方がおなじみかもしれません。今年はちょっと趣向を変えていますので、是非ご期待ください。

さて今日はそんな特集の取材の一環でカナダ大使館に行ってきました。東京に数多くある各国大使館のなかでも、ギャラリーを併設しているのはここだけだそうです。

目的は展覧会「旅する版画:イヌイットの版画のはじまりと日本」
カナダ極北地方にケープドーセットという村がありまして、そこでは日本の版画技法が脈々と伝えられているというのです。

説明によると、1957年に当時政府の職員だったジェームズ・ヒューストンが、イヌイットが収入を得るための手段になることを期待して、この地の人々に版画制作の方法を紹介。翌年、彼は版画技術についてより深く知るために自ら日本に行き、世界的な版画の名匠・平塚運一のもとで3ヶ月間学びました。1959年に北極地方に帰ると、彼は版画制作を始めたばかりのケープドーセットの人々に日本で集めたたくさんの版画を見せ、習得した技術を伝えました。

それ以来今日まで、イヌイットの版画家は、自分たちの歴史と文化を記録するための手段として版画制作を続け、現在では彼らの作品は国際的に高く評価され、商業面でも大きな成功を収めているそうです。



朝早く出かけたのはいいのですが、開場は午前9時。近くの赤坂ガーデンというインテリジェンスビルの一階のタリーズコーヒーで小一時間つぶして、それから会場へ。大使館というのはどこでも高い塀で囲まれて、しかも入口が分かりにくいのが常ですが、カナダ大使館はちょっと違ってまして、展覧会の看板がデカデカと掲示されて、かなりオープンマインドな感じでした。守衛さんに一声かけて、奥のエスカレーターを上ります。振り返ると赤坂御所の鬱蒼とした森が望めます。建物に入って、今度はエレベーターを地下二階へ。この地下のスペースがなかなかのものでして、天井は高いし光はほどほどだし、いい感じ。

ギャラリーに入ると、キャプションなしで作品だけがきれいに並んでいました。
ポスターにもなった北極グマの版画やペンギン、カマクラのようなあのイヌイットの家(名前を聞いたんですが、忘れてしまいました)など、身近な題材が素朴ながらユーモラスに描かれていました。平塚運一の民芸調の単色の絵柄から、さまざまな技法へと挑戦していったイヌイット版画家たちの変遷も分かります。

最後になって、キャプションがなかった理由が判明。入口に作品説明の冊子が4種類あって、それを見ながら鑑賞するシステムだったのです。日本語、英語、フランス語、そしてイヌイット語。果たしてここに何人のイヌイットの方が来られるのか、あとで考えると疑問だったのですが、とにかく多くの人に見てもらおう、楽しんでもらおうという気持ちが随所に現れていました。商業ギャラリーではないにもかかわらず、お役所仕事でないところが素晴らしい。もし在日本各国大使館好感度選手権というのがあったら、間違いなくチャンピオンはカナダ大使館ですね。

さて面白かったのは、北方カナダでは木が貴重なため、木版ではなく石刻の石版だということ。道具もトナカイの角で作ったナイフ、アザラシの皮を巻いた彫刻刀など身近なものを工夫して使っていまして、その実物もありました。ただし紙だけは、日本の和紙が最適だそうで、今回来日した二人の版画家さんも、四国の紙漉きの里を訪れたそうです。日本の紙って、世界最高水準なんですよ。それは欧米と比べても、韓国や中国といったアジア諸国と比べても、断然優れた紙を作っているのです。

そうそう、この会場は入場無料で誰でも入れるので、みなさん是非行ってみてください。青山一丁目駅から、赤坂御所を左手に見ながら赤坂方向に向かうと右手に見えてきます。大使館って普段なかなか入る機会がないから、オススメです。


ところで日本の版画、特に木版画は世界トップクラス。実際、最近は若くてフレッシュな作家さんもたくさん出てきていまして、特に女性版画家の活躍が目覚しいですね。版画コンクールの受賞者をみても、女性たちが活躍してます。韓国や中国から日本の技術を学びに来ているのも、やっぱり女性が多いしとってもいい仕事をしています。今度の3月号でもフレッシュな顔ぶれとなりそう。
で、みなさんを勝手に「版ガール」と命名しました。今日から彼女たちは「版ガール」となりましたので、ここに明記しておきます。

世間では、登山やトレッキングをする「山ガール」、海好きの「海ガール」、釣り好きの「釣りガール」が流行っているそうですね。農業をするのが「ノギャル」、船に乗って漁にでるのが「ウギャル」(ウは海と魚らしい)。というわけで、「版ガール」とは版画の作り手となっている若い女の子の総称です。年齢は一応、35歳までとしておきましょうか。異論があったら、ご意見ください。

「旅する版画:イヌイットの版画のはじまりと日本」
WEBはこちら
会期 1月21日(金) ~ 3月15日(火)
会場 カナダ大使館 高円宮記念ギャラリー
時間 平日:午前9時~午後5時半/水曜日:午前9時~午後8時
   (土、日、2月11日(金)は休館)


(東京都港区赤坂7-3-38 地下鉄「青山1丁目」駅より徒歩5分)