第22回みやぎ木造住宅コンクールに1月竣工「石巻の家」を応募していました。
書類審査が通り昨日は現地審査でした。
このコロナで大変な時に、住まい手様には快くご協力していただき深く感謝します。
室内滞在時間を少しでも短縮したかったので、屋外で概要を説明させていただいてから審査員をご案内しました。
木の香る落ち着いた玄関の先は、リビングダイニングとオープンキッチン、そして吹抜と伸びやかに広がる空間…。
私たちも解っている立場でありながら、きっと審査員の方々も同じように感じ思わず深呼吸したくなったことでしょう。
さて、コンクールの応募書類から抜粋して紹介させていただきます。
文:荒川香奈
設計に当たって工夫した点
・3世帯が住まう家として、ご家族それぞれに個室を設けてプライベートは確保しつつ、家の中心に吹き抜けとオープン階段があることで、距離を感じさせない間取りになっています。
個室の扉をあければ、すぐに家族同士の気配を感じられるような空間です。
・キッチンはオープンタイプで、奥様とお母さまが料理をしているときもダイニングで過ごすお子さんたちと自然とコミュニケーションがとれます。
背面には冷蔵庫まで隠せる一面の収納を設けているため、来客などの目線が気になる時には隠すこともできます。
・1階寝室は施主様からの要望があり、あえてLDKからは離して、水回りに近い配置とし、壁の間には遮音用の断熱材をいれることで独立性を確保しています。
建築施工に当たって工夫した点
・断熱性能:UA値0.41 ・気密性:C値:0.5前後 ・耐震性:3等級相当
新省エネ基準を満たしているだけでは体感として高断熱高気密とは言えません。必要最低限の断熱性能を確保しつつ、コストと見合った断熱性能とするためにHEAT20という基準のG1グレード(0.46)をクリアすることを基準としています。
・2階子ども室2の斜め天井:南東部分の南面に突き出した部分は断熱的にも、構造的にも気を使ったところです。
梁があらわしになるため金物がみえないようにし、断熱材はパネル上に施工しています。
住宅を建てるに当たってのコンセプト
・旦那様の木をふんだんにみせたいという好みと奥様のシンプルに見せたいという好みを取り入れながら、仕様を選定しました。2階の天井のボード・梁をあらわしにする、杉の羽目板を使った造作戸を採用、オープンの造作階段などは伊藤工設計gbスタイルの特徴です。
一方で、壁は大壁造りとして、各居室のドアや収納戸はワーロン戸、シナフラッシュ戸、クロス戸、使い勝手を考えて既製品の戸にしたりと、バランスを取りながら様々な戸を使い分けているところもみどころのひとつです。
・南面の窓は大きく取り、明るい室内となっています。
東西の窓は小さくとり、屋根は軒をできるだけ出して冬は太陽の日射エネルギーを取り込み、夏場は遮れるようにしています。
住んでみての感想(住まい手様より)
・冬本番はまだ体験していませんが、夏場は暑い日でもリビングのエアコン1台で快適に過ごせました。光熱費も以前の家の半分以下になっています。無垢のフローリングはキズなどが出てきていますが、味として風合いを楽しんでいます。これまでお風呂に入るまで脱ぐことのなかった靴下を、帰宅後にすぐに脱いで裸足で過ごすようになりました。特に理由もないのですが、無垢のヒノキ材が自然とそうさせるのかもしれません。
・新型コロナ流行の影響で家で過ごす時間が増えましたが、家の中での家族の距離感が丁度良く感じられる間取りで、ストレスを感じることがありませんでした。年頃の子どもたちは部屋ができて籠るようになるかと思っていましたが、そんなこともなく戸を開けて過ごす時間が多く安心感があります。吹き抜けがあることでお互いの雰囲気を感じながら心地よく過ごしています。
審査結果はどうあれ、施主様と創り上げた家を改めて誇らしく思い、施主様とのお付き合いに感謝しながらカナちゃんと車中満足して帰って参りました。
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