宇宙戦艦ヤマト2203
ー新たなる航海ー
第九話
超短距離ワープアウトと同時にヤマトは、真っ赤に燃える無数の火花と耳障りな金属どうしの擦れる金属音に包まれていた。
激しい揺れが収まり、耳障りな金属音、真っ赤に燃える無数の火花が消えた。
「時間が無い!!」
「アナライザー!ディアーブーロのエアロックを抉じ開けろ!」ヘッドセットを当てる真田が飛ばした。
「此方、新見。」
「ディアーブーロのエアロック室に到着。」
「私はアナライザーのサポートに入ります。」
◆◆◆◆
「くっ!奴らをいくら墜してもキリがない!」
「イモ虫野郎が次から次へと!!」
「ラルク大尉!もう一踏ん張りだ!」
「今、フォムナ追撃隊が上がった!」
「それと、ゲシュタムの門の守備隊が援軍に駆け付けて来る!」
周回軌道を少しずつ、少しずつ外れてゆくイスカンダル上空は、あの七色星団海戦をいや、総数からしてそれを遥かに凌ぐ戦場と化していた。
双方から宙空戦に参戦する航空機は100機を超え、艦艇もまた100隻を超えていた。
航空機と艦艇の数はアベルト率いるガミラスが上回るものの、総合火力で劣勢に立たされていた。
戦闘要塞ゴルバはそんなアベルト率いるガミラス艦隊を畳み掛ける。
航空戦力を支援する為、突撃型駆逐艦隊を発艦させた。
これで、火力も戦力もガミラスを上回る。
新たに支援として発艦させた駆逐艦隊は、ガミラス艦隊を包囲するかの如く、一列に隊列を組、ガミラス艦隊の外周を囲ってゆく。
退路は無きに等しい。
降下すればイスカンダルに逃げれるが、イスカンダルそのものが主戦場化してしまう。
唯一、上方へ逃れる事が出来るが、イスカンダルとヤマトを見棄てる事になる。
「ガデル!後方にデスラー機雷を撒き散らせ!」
「前方の艦艇と航空隊を下がらせろ!」
「デスラー砲、発射準備!」
「この戦局を打破する!」
「デスラー砲の照準をあの戦闘要塞艦ゴルバに合わせろ!」
アベルト率いるガミラス艦隊を包囲せんとするゴルバから発艦した突撃型駆逐艦隊は、撒き散らされたデスラー機雷と、後退した前衛艦隊に行く手を拒まれていた。
僅かに時間を稼ぎだしたアベルトは、戦闘要塞艦ゴルバへデスラー砲を放つ。
◆
「奴らご自慢の"波動砲"か。」
「臆するな!」
「反粒子防護膜を展開せよ!」
◆◆◆◆
「セット完了と。」
「アナライザー。あとは任せたわよ。」
「ヤマトが生きるも沈むも、貴方次第なんだからね。」
「マカセテクダサイ。ワタシハ、テンサイ。」
蚊が吸血する時の要領で、データを吸収しながら中和剤(ウィルス)をアナライザーはエアロック室の端末からコンピュータ内に侵入、メインフレームをじわりじわりと侵食データを書き換えてゆく。
ディアーブーロの右舷に擦り付くように、へばり付くヤマト。
そのヤマトを上方と下方から狙うパルサーカノン砲艦は、誘爆でディアーブーロにも、甚大な被害がおよぶ為、発砲する事も出来ず、膠着状態が続く。
「くっ!」
「たかが白兵戦と……ウィルス…か…。」予想外の攻撃、コンピュータウィルスに倒れるロックス。
「……この程度の中和剤(ウィルス)に……コチラの思考が半減以下に下がっている時に……」
「ロックス……」自立型メインコンピュータ:イローゼもまた、起動を停止した。
アナライザーがメインフレームに侵入し、92秒が経過、アナライザーはディアーブーロを掌握した。
「此方、新見!」
「ヤマト聴こえて!?」
「此方、ヤマトの相原!感度良好にて受信!」
「アナライザーがディアーブーロを掌握した!」
「繰り返す!アナライザーがディアーブーロを掌握した!」
「ディアーブーロのコントロールをアナライザーに託し、新見大尉は帰投せよ!」
「新見、了解。これよりヤマトへ帰投する。」
「ダメージコントロールを急げ!」
「これよりヤマトはデスラーガミラスの援護に向かう!」鋭い眼差しを覗かせる古代が告げた。
第十話へ
つづく。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。
また、プレイステーションゲーム版設定資料より引用。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。