space.battleship.yamato
ー新たなる戦士たちー
第四話
「……クルー全員が同じ幻影を観るなんて…。」と思う艦医:桜も、その一人である。
桜は初代ヤマト艦医:佐渡の営む医院で看護士として、働いていた。
美人な看護士として噂が立ち、鼻の下を伸ばす患者で、長蛇の列を産む。
医院がパンクする事を避ける為、佐渡が医師に成る事を進められた事もあり、看護士を辞め六年間、医大に通い医師と成る。
ヤマト艦内でも戦闘時以外は、ミニスカートにピンヒールのパンプスを愛用している。
26歳でヤマト艦内では、中佐相当の権限を持つ
各セクションから飛び込む報告の対応に追われる艦医:桜も何の対処法も持ち合わせていないが、自身も体感している事告げ、安定剤だと偽りビタミン剤を処方し、対処した。
だが、その安堵もつかの間、幻影の騒動から一分もしない内に、ヤマトの行く手を塞ぐように、ついさっき対戦した大型戦闘母艦=プレアデスとはまた、異なる宇宙船がワープアウトして来たのだ。
「一難去ってまた一難か!?」大地がボソッと呟くように口を開いた。
「未確認船より、何やら信号が発せられてるようです!」レーダーオペレーター相沢からの報告を聞いたエリカは信号の解析を行った。
「少し様子を見る。」
「メインモニタに拡大投影せよ。」
静かだが貫禄のある声で土方は告げながら、制帽を被り直した。
30秒ほどメインモニタを見つめていた時であった、メインレーダーオペレーターの相沢が、慌ただしく告げて来る。
「亜空間から雷跡2(ふた)急接近!」
「何ッ!」
「航海長!緊急回避!」
「戦術長!対潜戦闘!」矢継ぎ早に土方の命令が飛ぶ中、相沢が被せて来る。
「亜空間魚雷、未確認船に直撃!」
「波動爆雷投射準備完了!」
「第三艦橋、全天球レーダー室!次元レーダーのデータを戦術長席へ回せ!」
「戦術長!次元レーダーとリンクして、敵を割り出せ!」
「航海長!第二波亜空間魚雷を回避しつつ、あの宇宙船に近づけるか?」
「はい。やりまます!」
「航空隊:山本!数名を連れ、宇宙船に潜入、生存者をヤマトへ!」
「メンバー選出は任せる!」
「ラジャー!」
「ガンナー!戦術長の指示に従え!」
「了解!」
「戦術長よガンナーへ。」
「亜空間座標を送る。波動爆雷を投下せよ。」
「了解!」
土方以下、艦橋組の的確な指示と素早い行動により、連続攻撃される亜空間魚雷を回避しつつ、波動爆雷による反撃で、未確認の宇宙船への被害拡大を防ぐ事に成功するヤマト。
そのヤマトは未確認の宇宙船にロケットアンカーを撃ち込み固定した。
救助隊を派遣しつつ、亜空間に潜む敵を炙り出す攻撃を仕掛ける。
波動爆雷攻撃に探りを入れているのか、亜空間魚雷による攻撃が止んだ。
「相沢!山本に連絡を取れ!」
この攻撃が止んだのは、一次的な事ではあるが、最良のチャンスと睨んだ土方は、一気に救助を済ませる為、両舷側に設置された第三格納庫に待機させた汎用輸送機:コスモシーガルを二機、発艦させた。
内、一機には対潜武装を喚装させ、護衛に専念させた。
更に土方は、ポイントを拡散させ、波動爆雷を投射させた。
これは、爆雷による陽動撹乱が目的である。
「相沢!山本との連絡は取れんのか?」
土方が口を開いた時だった、亜空間魚雷によって被弾した未確認の宇宙船とヤマトを繋ぐ、ロケットアンカーが勢い良く、手繰られてゆく。
未確認の宇宙船がヤマトとの距離を開けてゆく、それも急加速して。
「ピン!」と張られたロケットアンカーの鎖。
その鎖を断ち切るように亜空間魚雷一基が襲い掛かる。
漆黒の宇宙に響く爆発音、衝撃による大きな揺れ、そしてヤマトを包み込む幻影。
「私はサーダ。」
「私の住む地球を救えるのは、あなた方だけ。」
「私はサーダ。200年未来の地球人。」
幻影がそう告げ終わると同時に、救助隊を乗せたまま、未確認の宇宙船は消えた。
「……消えた………。」目を丸くした相沢が言った。
「全天球レーダー室!消えた宇宙船の航跡は辿れるか?」目を丸くした相沢とは対照的に、目を細めた土方は驚きを隠すように問い合わせた。
「はい。ワープした形跡が反応値に現れています!」
「……ワープした!?」
「はい。ワープです!」
「……その航跡データを航海長席へ回せ!」
「了解。」
「航海長。データをたどり、ワープせよ!」
「消えた宇宙船を追う!」
◆◆◆◆
同じ頃、木星宙域ガニメデ周辺では先頃、完成した防衛拠点戦略戦闘指揮艦アンドロメダを旗艦とする最新鋭ドレット・ノート級:戦闘艦20隻、波動エンジン搭載改良型駆逐艦50隻、及び戦闘衛星28基、コントロール艦1隻、計100(隻)による総合火力演習を兼ねて、観艦式が行われていた。
「マーカス提督。」
「まもなく、新連邦大統領閣下の挨拶が衛星中継されます。」
「うむ。」
「艦長。全艦艇に通達。」
「メインモニタを地球との衛星中継に切り替え、大統領閣下の挨拶に備えさせよ。」
「ハッ。」
微速から第三戦速に全艦艇が速度を上げ、一糸乱れぬ隊列を組みトロヤ小惑星群演習宙域へ進行した。
第五話へ
つづく。
この物語は、もし私がspace.battleship.yamato(実写版)の続編を作るとしたら的に、二次創作したspace.battleship.yamatoの物語です。
私的設定が混ざっています。
使用している画像はイメージです。
また一部、過去に集めた拾い画を使用しています。