space.battleship.yamato
ー新たなる戦士たちー
第六話
別命に従い、大地は航空隊控え室でパイロットスーツに着替え、予備機の喚装が終わるのを待った。
大地が入室して、一分もしない内に船務長である祭中佐も航空隊控え室に姿を表した。
祭 薫子 23歳。
170cmと女性としては高身長。
月面士官学校を首席で卒業。卒業後、地球連邦防衛軍:中央司令部に配属され、更にトップガンに合格し、23歳の若さで中佐に昇進した。
中央司令部の"だらけた"キャリア組に嫌気が差し、自ら転属を希望、第十一番惑星に赴く。
yamatoでは船務長を務め、航空隊に現在、飛行隊長が不在の為、編隊長も兼任する。
頭脳、技量共に薫子の記録を抜く者は現在、居ない。
薫子は航空隊控え室に入ると大地学校居るのもお構い無しに、艦内服を脱ぎ始める。
艦内服の下はボディストッキングタイプのインナーだけを纏っているだけだった。
大地はきょとんと目を丸くした。
「森。何をきょとんとしてる?」
「女性を見るのははじめてではあるまい!?」
「それと、喚装が終わったようだぞ。」
「シート合わせを済ませておけ。」
「……はっ。はい!」
「船務長も出撃為さるのですか?」
「ああ。」
「元々の飛行隊長は第十一番惑星で戦死、ましてや編隊長の飛鳥も不在では指揮に混乱を招くからな。」
「ほら、早くシート合わせして来い。」
顔を真っ赤に染めながら大地は、航空隊控え室をあとにした。
◆◆◆◆
一方、地球では超巨大な漆黒色の物体が降下、着陸した。
迎撃体制を整える暇も無く、中央司令部は混乱していた。
ようやく体制を整え終えたのは、着陸されて15分が過ぎての事であった。
「防空隊!陸戦隊!は迎撃にあたれ!!」
「各警務隊は市民の安全性を最優先!」
「シェルターへ誘導せよ!」
「交通規制、各種通信規制を発令せよ!」
「ちょっ!長官!」
「火星基地が……火星基地が壊滅したとの事です!」
「何だって!?火星がか?」
「………何故、今まで解らなかったのだ!!」
「……火星の事はあとまわしだ!!」唾を撒き散らし、現在、連邦防衛軍の長官を務める芹沢は当たり散らしていた。
「げ!月面基地の艦隊を地球へ降下させよ!」
「月面の艦隊で叩き潰せ!!」
「長官!お言葉ですが、それでは一般市民が!」
「君は馬鹿かね!?」
「奴らの本体は未開発エリアだ!!」
「犠牲者は最小限だ!!」
「月面の艦隊であの本体を叩けば、残りは防空隊と陸戦隊で駆逐出来る!」
「直ちに出撃、あの本体を潰させろ!」
「いや!地球から叩き出せ!」
「それと、観艦式の艦隊には至急、地球へ帰還せよと!」
「波動砲で吹き飛ばしてくれる!!」
ー旧英雄の丘記念公園ー
大地の母、雪や佐渡先生をはじめ相原、島と初代ヤマトのクルーで僅かに生還した十数名は、懐かしい話に華を咲かせていたが、この丘からさほど離れていない未開発エリアに聳(そび)えるように着陸した高さにして30キロメートルを超える超巨大な物体、そして都心部での出来事とに、手にする酒や飲み物、肴やオードブルを銃に持ち替え、軟禁状態の元長官の藤堂を連れた出し、旧地下都市へと身を潜めた。
「……長官。お久しぶりです。」雪は呼吸を整え、口を開いた。
「ああ。森君、それとみんな無事だったか。」
「長官。私たちも反攻作戦に参加すべきと考えます。」
「バルチザンか!?」
「ええ。正規軍とは言えませんからね。」
「幸い、この公園の下は御覧の通り、正規軍にもあの異星人らにも、見つからず、こうして武器も非常食ですが食料も有る。」
「ここを拠点に旧地下都市を利用すれば、上手く行けば・・・」
「……あるいはヤマトを。」
「まぁ。とにかく腹ごしらえしましょう。」
「腹が減っては戦は出来ないってね。」顔を煤(すす)だらけにした太田が言った。
太田の一言に緊張が解れたのか、みんなは食事の支度をした。
発電機の燃料も貴重な事から薪(たきぎ)を集め、火を起こし非常食を口にしながらコーヒーを湧かした。
「パチパチ」と火花を散らし、周りを暖める。
円を描くように座り、作戦を話し合った。
夜が更けて来たようだ。
ひんやりと隙間風が通り過ぎてゆく。
時折、地響きと爆発音が伝わって来る。
連邦防衛軍も夜通し、抵抗戦を行っている事が解った。
「今は、政府や正規軍に任せ、少し休む事を提案する。」
再び太田が口を開いた。
それもそうだなと、火を絶やさないように交代で仮眠を取る事にした。
「作戦開始は早朝だ。」
「交代で休むとしよう。」
一足先にソファーに横たわる島が言った。
「私が見張るから、みんなは休んで。」と雪が告げた。
第七話へ
つづく。
◆
実写版:宇宙戦艦ヤマトーspace.battleship.yamatoー
・森 雪:黒木 メイサ
・島 大介: 緒形 直人
・藤堂 平九郎:橋爪 功
・相原:マイコ
・南部 康雄:矢柴 俊博
・真田 志郎:柳葉 敏郎(回想シーン)
・沖田 十三:山崎 努(回想シーン)
・古代 進:木村 拓哉(回想シーン)
・佐渡先生:高島 礼子
・太田:大和田 健介
※順不同
・土方 竜:北大路 欣也
・森 大地:松坂 桃李
・祭 薫子(船務長):米倉 涼子
・山本 飛鳥(航空隊エースパイロット):沢尻 エリカ
・相沢(レーダー・通信長):井ノ原 快彦
・エリカ・グレイスリー(技術・解析):秋元 梢
・艦医:桜:深田 恭子
・徳川 太助(機関長):田口 浩正
・大郷 司(戦術長):菅田 将暉
・神谷 冬樹(航海長):速水 もこみち
・サーダ:鈴木 京香
※順不同 私のイメージです。
◆
この物語は、もし私がspace.battleship.yamato(実写版)の続編を作るとしたら的に、二次創作したspace.battleship.yamatoの物語です。
私的設定が混ざっています。
使用している画像はイメージです。
また一部、過去に集めた拾い画を使用しています。