ONE FINE DAY

「昨日のことは忘れてほしい」
「もう遅い。日記に書いた」

台風

2024-08-30 | 美術
台風が近づいてきているらしいので、
今日は無理せずに水彩とプールに行かなかった。
それで、読書三昧。
「白鯨」に疲れると、
伊藤廉著の「絵の話」を読む。

先日娘と行った古本市でみつけた本。
初版は1946年に子供向け新聞に寄せた著者のエッセイを集めた改訂版。
戦後まもなくの困難な時代を生きる小学生に、
世の中にはうつくしいものもあることを知らせるために書かれた。
伊藤氏はルオーに師事した画家でもある。
子供向けといっても、この本に書かれている絵や彫刻や建築の話は、
大人が読んでも十分に満たされる内容です。
一気に読むのはもったいなくて、少しづつ読んでいる。
今日は「ギリシャの神殿」を読んだ。
イタリアのパエストゥムというところにある
BC460年頃に建てられた通称「ポセイドン神殿」
本には半ページに白黒写真が載っている。
その佇まいの荘厳さにうっとりしてしまった。
イギリスを旅したときに、田舎を車で走っていると、
朽ちた建物がそのままあって、そこで降りて石に触れることもできた。
ローマの街には、コロセウムはもちろん様々な遺跡が
車やバスが通る道の脇にあった。
そういうところにある石に触れると、
体の中を悠久の風が吹きぬける気がした。
この写真はそんなことを思い出させてくれた。


それぞれの闘い〜春陽会誕生100年〜

2023-09-21 | 美術
今日は親友Aと待ち合わせて、東京ステーションギャラリーで絵を観てきました。
充実した日本画壇の画家たちの作品、見応えがありました。

どの作品も素晴らしかった中で、特に印象に残った作品がありました。
藤井令太郎「アッカドの椅子Ⅱ」1967
ここには3脚の椅子が描かれています。
一つには緑色をした服を着た顔のない人が座っています。
一つは黄色い椅子。もう一つ真ん中にもあります。
割と大きな絵で、色彩もダイナミックな構図も魅力的でした。

アッカドは、
メソポタミア(現在のイラク)南部を占めるバビロニアの北半分の地域、またはそこに興ったアッカド帝国の都
画家が旅した時に見た椅子なのでしょうか?
想像力をかき立てられます。

展覧会をゆっくり楽しんだ後、二人でランチしながら4時間もおしゃべりして
楽しいひと時を過ごしました。

しかし、私は東京駅から千代田線の二重橋前駅まで行くのに迷いに迷って
6000歩も汗だくで歩き回ってしまいました。
親友Aは帰ってからバッグに見知らぬ封筒が入っているが、私が入れたのかと聞いてくるし、結局それは自分で買ったお葉書セットだと判明。
そんな先行き心配な二人ですが、なるようになると励ましあったのでした。
笑うしかない。

デイヴィッド・ホックニー展

2023-09-15 | 美術
今日プールで泳ぎながら、ふとホックニーの絵が頭に浮かんだ。
先日娘と行ったホックニー展で買ってきた葉書の一枚。
机の目の前に置いてある大好きな一枚だ。
今年86歳になるイギリスの画家。今回の展覧会ではIPADで描かれた絵が多かった。
いくつになっても新しい手法への挑戦はやまない。
世界は美しいものにあふれている
というのは彼の言葉。
彼の絵を見ると、ワクワクして嬉しくなるのは、
彼の生き方そのものが現れているからだろう。
上の写真のポスターを記念に買ってきて部屋に飾った。
椅子に座った二人のホックニーが自分の書いた(多分IPAD)花の絵を見ている。
全ての花の置かれたテーブルにはチェック柄のカバーが敷かれているのにきずいた。





チロチロとくすぶる羨望と嫉妬の炎

2021-08-15 | 美術

昨日、ヨーロッパ在住の方のブログを読んでいたら、
中にはバカンスにいかれている方も少なからずいらして、
その中のある方が、
ベルギーを旅してブルージュの「メムリンク美術館」のことを書かれていた。

暑さと、コロナと、今度は雨と、
もろもろ重なり感性(感受性)などというものが自分にあったのかどうかすら
忘れかけ、ただボーッとしていることの多かった時に、
この記事(メムリンク美術館訪問)は私の中の何かを刺激した。

好きな映画ですら滅多に観ることはできず、
ましてや美術館に行くなんて夢のまた夢。
(いや、日本の美術館だって開いているのかもしれないが、
今は東京に出かける気持ちにはなれない)

そんな時に、メムリンクの美術館????

もう何だか羨ましすぎて、
胸をかきむしりたくなりました、ほんと(笑)

仕方ないから、
大好きな北方ルネサンスの画家
ハンス・メムリンク(1430/1440~1494)の絵を集めてみました。

静けさに満ちた絵だと私は思います。
そこがたまらなく好きです。






ファンデル・フース

2015-08-18 | 美術
一回お休みして(ウェイデンだった!ショック!)
お盆休みがあって、昨日は3週間ぶりの講座でした。
ディーリク・バウツ(ブウツでもボウツでもよし)と、
ファンデル・フースをとりあげました。

ウフィッツ美術館のボティチェリの部屋に、
大きな北方の画家の絵があったこと印象深く覚えています、
なんと、その絵について先生がはなしてくれました。
3連祭壇画の真ん中にはキリスト生誕、羊飼いの礼拝が描かれています、
下の方に(ちょうど私の目の位置)天使が二人膝まづいて祈る前に、
花瓶がふたつあって、そこに花がさしてあります。
その花瓶が上手いな~、きれいだな~とうっとりしました。

さてこの絵は、ファンデル ・フースという北方の画家が描きました、
メディチ銀行のフランドル支店長をしていたポルティナーリという人が
いよいよメディチ銀行も上手く回らなくなってきて、
フィレンツェに戻らなければならないというときに、
記念に描いてもらったものです。
「ポルティナーリ祭壇画」はロレンツォ・ボティチェリ時代の
少し傾きかけた花の都に運ばれて、
ルネサンスの画家たちが目にすることができた
北方絵画の傑作だったのです。

ミケランジェロはウェイデンの「キリスト降架」のマリアの涙を見て、
「生っちょろい!女子供に好かれるだけの絵だ!」と言い放ったとか?

いろいろなご意見もあったでしょうが、
この絵がルネサンスの画家に与えた影響が小さくなかったことも確かでしょう。

両脇の画面にはポルティナーリ夫婦とその子供たちが描かれて、
子供達の守護聖人が背後に描かれています。
中央、土の上に置かれた生まれたばかりのキリスト、
祝いに駆けつけた?天使たち、
3人の羊飼い。
そしてマリア。
みんなどこを見ているのでしょう?

フースという画家は35歳で鬱病を発症し、
修道院に入ってその後の人生を送ったそうで、
彼の絵に特徴的なのは、
画面の中で誰一人視線を交わしていないことだそうです。

ウィフィッツで私が撮った写真です。
なおちゃん、機会があったらよく見てきてね!