By - NEWS ONLINE 編集部 公開:2022-02-27 更新:2022-03-09
ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(2月25放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。ロシアによる軍事侵攻が開始されたウクライナ情勢について解説した。
〇G7が緊急首脳会合、ロシアへの追加制裁を表明
先進7ヵ国(G7)は2月24日、ウクライナ情勢をめぐり、テレビ会議を開いた。G7首脳は会合後に発表した声明で、ロシアのウクライナ侵攻を「最大限に非難」するよう国際社会に呼びかけるとともに、G7として、ロシアに「厳しく、協調した経済・金融制裁」を追加で科すと表明した。
新行)G7首脳テレビ会議後の岸田総理のコメントをお聴きください。
「「「
岸田総理大臣)今回のロシアの侵攻は、ウクライナの主権および領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の重大な違反であり、認めることはできません。力による一方的な現状変更の試みとして、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、ロシアを厳しく非難いたします。私からこうした日本の立場を説明し、G7の一員として、完全に連帯して対応して行くと表明し、G7首脳で緊密に連携して行くことを確認した次第です。
」」」
新行)G7首脳はロシアの軍事侵攻について、
「影響はヨーロッパにとどまらず、ルールに基づく国際秩序への深刻な脅威だ」
と、世界的な危機であることを強調しました。“はるぞう”さんからメールもいただいています。「
G7はロシアへの追加制裁を発表しましたが、どこまで効果があるのか疑問です。G7とロシアで、今回の事態の落としどころを早く見つけて欲しいです」
といただきました。
宮家)厳しい制裁をするというのは当然の話です。でも、いくつか難しい話をすると、歴史を振り返れば、すべての目的を達成できるような強力な制裁が、常にあるわけではないのです。
制裁は必ずしも成功するものではない。だからこそ、本当に効果的なものを行わなければならないのです。
〇「SWIFT」(注1)からロシアを追い出す ~ドルが使えずロシアにとって厳しい制裁になる
(t注1)
SWIFT(スイフト)
スイフト(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication SC)は、銀行間の国際金融取引に係る事務処理の機械化、合理化および自動処理化を推進するため、参加銀行間の国際金融取引に関するメッセージをコンピュータと通信回線を利用して伝送するネットワークシステムです。
全銀協は、日本のスイフト参加金融機関の集まりである日本スイフトユーザーグループの事務局として、スイフトの諸サービスの促進および改善に関する参加金融機関の意見を集約し、スイフトに対し意見を述べているほか、参加金融機関向けのスイフト関連イニシアティブ等に関するセミナーの開催を支援し、スイフトと日本の参加金融機関との橋渡し役として活動しています。
全銀協は、日本のスイフト参加金融機関の集まりである日本スイフトユーザーグループの事務局として、スイフトの諸サービスの促進および改善に関する参加金融機関の意見を集約し、スイフトに対し意見を述べているほか、参加金融機関向けのスイフト関連イニシアティブ等に関するセミナーの開催を支援し、スイフトと日本の参加金融機関との橋渡し役として活動しています。
宮家)最も効果的なやり方を考えた場合、
ロシアはどういう国かと言うと、日用品はつくれませんが、武器はつくれるので、武器は対ロ禁輸しても仕方がない。
一方、ロシアは資源大国ですから、石油や天然ガスを売っています。
どのように売っているかと言えば、ドルかユーロで売っているわけです。
されば、決済システムからロシアを弾いてしまえば、彼らは決済できなくなります。つまり、収入がなくなるということです。
新行)収入がなくなる。
宮家)「国際銀行間通信協会(SWIFT)」という、国際的な決済システムから追い出す。その利点としては、ロシア経済が壊滅とは言わなくても、相当厳しい影響を受けるだろうと思います。もちろん貿易問題も含め、経済や金融等々、それから半導体などの技術的なものを抑えることができるでしょう。
(編集部注:EU、フランス、ドイツ、イタリア、英国、カナダ、米国は26日、SWIFTからのロシアの特定の銀行の排除で合意した)
〇ロシアが人民元を使い、長期的に見ると「ドル離れ」になる可能性も
宮家)ただし、当然ながら副作用もあります。例えば、ドルやユーロを使わせないとすると、私がロシア側だったら、「ルーブルはいま下落しているから、決済は人民元でやろう。中国を使うか……」と考えます。
でも中国の人民元は兌換性がないですから、国際的には普及しないと思いますが、ある程度の息継ぎをすることはできます。
新行)短期間であれば。
宮家)しかし、これがあまりに長く続いた場合、ドルやユーロなしに重要物資やエネルギーを取引しようということになります。そうなると相当、先の話にはなりますが、「ドル離れ」が起きます。このように考えると、「いつまで制裁を行うか」というのは、我慢比べになって来ます。「厳しい制裁」と言っても、おのずから限界はあるのです。
〇ウクライナの状況を息をのんで見つめる中国
宮家)もう1つ言えるのは、「中国はこの状況を、息をのんで見ている」ということです。もし中国が台湾で何かを行ったり、同じような物事が起きた場合に、どこまで西側が厳しい制裁を行うかを見ています。
新行)台湾国防部の情報では、中国の軍用機9機が防空識別圏に侵入し、台湾軍機が緊急発進したという発表も出ています。
宮家)なるほど。間接的であれ、ウクライナと台湾が連動している部分はあるのかも知れないですね。
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