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老後資金を増やす金融機関が売りたがらない「最強の金融商品」 金利が上昇すればさらに有利#2024/05/04#髙橋 洋一

2024-05-07 16:28:14 | 連絡
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2024/05/04 6:00#髙橋 洋一(たかはし・よういち)
数量政策学者・元内閣官房参与
1955年東京都生まれ。
東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。
博士(政策研究)。
数量政策学者。
嘉悦大学大学院ビジネス創造研究学科教授、株式会社政策工房代表取締役会長。
1980年、大蔵省(現財務省)入省。
大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員を経て、内閣府参事官、内閣参事官等などを歴任。
小泉内閣・安倍内閣で経済政策の中心を担い、2008年に退官。
主な著書に、第17回山本七平賞を受賞した『さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)などがある。
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最小リスクで資産を増やすにはどうすればいいのか。数量政策学者・元内閣官房参与の髙橋洋一さんは「株式投資は、数学と経済の知識があって将来を見通せる人でないと利益を得るのは難しい。
私がお勧めするのは、個人向け国債の変動金利型10年満期だ」という――。
※本稿は、髙橋洋一『60歳からの知っておくべき経済学』(扶桑社新書)
 
の一部を再編集したものです。
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()安定した利回り、元本割れリスクなし
国債を保有している高齢者は多いといわれており、関心の高い読者もいるだろう。
金融機関が積極的に売り出さないほど、利回りの安定した金融商品、それが国債だ。
しかも、途中で換金できるうえ、元本割れのリスクも基本的にないというメリットがある。
 個人が買える国債には、大きく二種類ある。
「個人向け国債」と「新型窓口販売方式国債」(新窓販国債)だ。
それぞれ、償還期限や受け取る利息などによって、さらにいくつかに分かれている。
個人向け国債には、「固定金利型3年満期」「固定金利型5年満期」「変動金利型10年満期」がある。
固定金利型では、満期までの間は利率が変わらないため、発行段階でもらえる利息を把握できる。
一方、変動金利型は、需要と供給の実勢に応じて半年ごとに適用利率が変動し、受け取る利息が増減する。
()「新窓販」ならいつでも売却できる
新窓販国債には、「2年固定利付国債」「5年固定利付国債」「10年固定利付国債」がある。
こちらは、財務省が市場実勢に基づき金利を決定するという特徴がある。 
ほかにも、個人向け国債は「1年経過ルール」というものがあり、発行から1年を経過するまでは換金できない。
一方、新窓販国債にはこのルールがなく、購入後はいつでも売却できるという違いがある。
どれがいいか迷ったときは、現在の低金利の状況を考えると、個人向け国債の変動金利型10年満期がお勧めだ。
10年満期と謳っているが、実際には満期の前に売却・換金ができるため、10年という区切りにあまり意味はない。
重要なのは「変動金利」という部分で、景気が良くなれば金利が上昇し、悪くなれば下落する。
といっても、国債の金利を頻繫に変更すると利払い計算が大変だから、変動金利型10年満期は半年ごとに金利が変わるように設計されている。
これは、半年満期の短期国債を10年間、20回乗り換えていくことと同じだ。
()変動金利型をお勧めする理由
ほかにも勧める理由として、購入後の金利上昇に備えられることがある。 
固定金利型の国債だと、購入後の金利が満期まで変わらないため、金利が上昇しても受け取る利息は変わらない。
例えば、金利が0.1%の5年固定利付国債を購入した場合、5年間で金利が0.3%まで上がっても、0.1%しか利息を受け取れない。
一方、変動金利型の国債では、半年ごとに金利が見直されるため、金利が上昇すれば受け取る利息も増える。  
もちろん、金利が下落するリスクもつきまとうが、現在の低金利なら、金利が上昇する可能性のほうが大きいだろう。そのため、老後の資産運用としては、変動金利型10年満期が有利というわけだ。 

また個人向け国債は、発行から1年が経過すれば国が額面価格で買い取ってくれる。
そのため、国家が財政破綻しない限り、償還まで保有していれば元本割れのリスクがない。
中途換金時に調整額で売却損が出る可能性はあるから、そこだけ気をつけておこう。
()売却損が出てもすぐに取り戻せる
一方、新窓販国債は、国が買い取る中途換金制度がないため、換金するときは市場で売却する。
金利が上昇した場合は国債の市場価値が下がり、売却損が出るおそれがある 
 金利の上昇で国債の価値が下がるのはなぜか。
その理由は、購入後に金利が上昇すれば、市場ではみんながより高い金利の国債を欲しがるため、低金利の国債には買い手がつきにくくなるからだ。
そもそも国債では、元本割れは大した問題ではない。
売却損が出たとしても、その売ったお金で金利が上がった国債をまた買えば、損失分はすぐに取り戻せるからだ。  
といっても、これはプロの投資家の考え方で、素人が手を出すなら、やはり個人向け国債の変動金利型10年満期が、身の丈に合った金融商品といえるだろう。
()素人が株価を予測するのは非常に難しい
退職後の生活資金が不安で、株式投資で配当金を得て生活費に充てよう、と考えている人もいるだろうが、それは簡単なことではない。 
なぜなら、株価の予測は非常に難しく、予測が外れた場合に損失が生じる可能性があるからだ。
例えば、2021年2月に日経平均株価が3万円を超え、2024年1月時点では3万5000円まで上昇している。
5年前にこうなることを予測できた人は、果たしてどれほどいるだろうか。
 

株価上昇のきっかけは、当時の安倍首相が景気対策を講じたことだった。
その後、株価が上昇すると予測した一部の投資家が株式を購入し、企業の収益予想も好調ということで、さらに株価が上昇していった。
()勝ち組が笑い、負け組が泣くシビアな世界
 株式投資は、将来を見通せる人が利益を得る仕組みになっている。そうした能力がない人は、指をくわえながら株価が上がっていくのをじっとみて悔しがるしかない。
 株価の動向を予測するためには、数学や経済の知識を使いながら、社会の動きをかなり先まで見通さないといけない。確実な予測は難しいし、勝ち組と負け組ではっきり差が出るシビアな世界だ。 
そんな金融商品を勧める証券外務員が、どれほど数学や経済の知識を持っているのかは甚だ疑問だ。
彼らの金融リテラシーが低ければ、顧客に対して誤った情報を提供したり、相手の無知につけ込んでひどい金融商品を売りつけるケースもあるだろう。
現時点では、どんな経済学のツールを駆使しても、株価を確実に予測することはできない。しかし、株価の傾向くらいなら読むことができる。逆にいえば、まったく勉強をしていなければ傾向すらつかめない。そうした人は、退職金で余裕ができたからといって、いきなり株式投資には手を出さないほうがいい。 
()「低金利だから株価が上昇した」わけではない
そもそも株価がどうやって決まるのか、ご存じだろうか。
基本的には、企業の将来の収益予想を金利で割ったものが株価になる。
具体的には、「予想収益÷金利=株価」という式で表される。金利が5%なら0.05での割り算、つまり20倍の掛け算と同じだ。
計算式は「予想収益÷0.05=予想収益×20」となる。金利が低下すると、分母が小さくなり株価も上昇するというメカニズムだ。
無知なテレビのコメンテーターやエコノミストは、金利の低さだけで株価上昇を説明しようとする。しかし、そういう短絡的な話ではない。日本は低金利時代が長らく続いてきたから、それだけで株価の上昇は説明できない。「アベノミクスで企業収益が上がるだろう」と予測した投資家が、こつこつ株式を買っていたから、それに比例して株価が上昇したというのが正確だ。
 
また、「日銀が株式を買っているから株価が上がった」という人もいる。たしかに日銀は日本の上場投資信託(ETF)を買い取っていたが、実際に株価が上昇し始めたのは2020年10月からであり、日銀のETF購入と株価上昇には直接的な関係はない。
それに、日銀が積極的にETFを購入していた時期、日本の国内株式の時価総額は約700兆円だった。そのうち、日銀の購入金額は6兆円で全体の株価に対して1%未満だったため、購入額を少し増やしたところで株価全体には大きな影響はなかった。
()株式に手を出すなら算数や数学の知識が必要
株式に関する誤解が生まれやすいのは、日本ではそれについての教育が不足しているからだ。株式投資を真剣に学ぶなら、割引率などの基本的な算数や数学の知識が必要だ。
例えば、高校の数学で学んだ数列も株式投資に応用できる。「連続する項同士の比が常に等しい」という等比級数の公式を覚えるだけではつまらないが、金融や株式の事例を交えて説明すれば興味が湧いて理解も深まるだろう。
算数や数学の知識は実生活でも役立つため、投資に興味がある人はぜひ勉強してみることをお勧めしたい。
ただし、株式投資では、投資先の企業の内情を全て把握できるわけではないので、不明点やリスクもある。そう考えると、これまで自分の仕事で培ってきたことに関わる事業へ投資するほうが、わかりやすいし賢明かもしれない。



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