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長谷川 幸洋
ジャーナリスト。
1953年千葉県生まれ。
慶応義塾大学経済学部卒、77年に中日新聞社入社、2018年3月、東京新聞・中日新聞論説委員を最後に退社。
ジョンズホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)で国際公共政策修士。
財政制度等審議会臨時委員、政府税制調査会委員などを歴任。
規制改革推進会議委員。
『日本国の正体 政治家・官僚・メディア---本当の権力者は誰か』(講談社)で第18回山本七平賞。
『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)、『官僚との死闘700日』(講談社)、「ケント&幸洋の大放言!」(ビジネス社)など著書多数。
テレビ朝日「朝まで生テレビ!」、BS朝日「激論!クロスファイア」、読売テレビ「そこまで言って委員会NP」などテレビ、ラジオ出演多数。
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改正議論本格の前に確認しておこう
〇「戦争放棄」は日本の専売特許?
今週も憲法改正問題について書く。多くの人は憲法9条と聞くと、つい戦争放棄などを定めた条文に目が行ってしまう。
だが、実はそれよりも「国連憲章」をしっかり読んだほうがいい。
平和を実現する考え方は、そこに示されているからだ。
日本国憲法には、国連憲章の考え方が色濃く反映されている。
象徴的なのは、他国への武力行使を原則として禁じた憲章第2条4項だ。
それは、こう記している。
「「「
すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
(
)
」」」
ここにある「武力による威嚇又は武力の行使」という言葉には聞き覚えがあるだろう。
憲法9条にも出てくる文言だ。
9条1項は次のように書いている。
「「「「
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
」」」
これを読んだだけでも、憲章2条4項と憲法9条1項の類似性は明白である。
それも当然だ。時系列を振り返ると、米国が中心になって作った国連憲章に連合国が調印したのは1945年6月だった。
2カ月後に日本が降伏し、連合軍総司令部(GHQ)最高司令官だったマッカーサー将軍は翌年2月に日本政府に憲法草案を提示した。
政府はマッカーサーの草案を多少、手直ししたが、骨格はそのまま受け入れた。
占領軍の指示は拒否できなかったからだ。
それで「戦争放棄」や「戦力不保持」「交戦権の否認」などが決まった。
「戦争放棄を掲げた日本の憲法は世界のお手本だ」などと語る人々もいるが、戦争放棄は日本国憲法が世界に先駆けて掲げたわけではない。
先に国連憲章が戦争を禁止している。
付け加えれば「戦争の違法化」は国連憲章が最初でもない。1928年のパリ不戦条約で初めて明示された。
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