■5月8日 「トクリュウ」なる人名の略称みたいな新語を最近知った。
互いの素性も知らぬまま集合離散する「匿名・流動型犯罪グループ」のこと。
SNSで実行役を募った特殊詐欺や広域強盗などが該当し、過去3年間で約1万人が検挙された。
さすがに殺人事件まではと思いきや、栃木・那須町で夫婦の遺体が見つかった事件もそれに近い。
被害者の会社役員、宝島龍太郎さん(55)夫妻の娘と内縁関係にある関根誠端容疑者(32)が死体損壊の疑いで逮捕された。
この人物が首謀者でその下に既に逮捕された指示役の佐々木光容疑者(32)と仲介役の平山綾拳(りょうけん)容疑者(25)、さらに20歳の2人が実行役という構図も見えてきた。
平山容疑者は2人の実行役とクラブで顔みしりだったらしいが、1人250万円の報酬でよく手なずけたものだ。
犯行に必要な用具類も調達した。
道を外さず真っ当に生きていたら催し物を企画、運営する有能なイベンターになったかもしれない。
真っ先に自首したのはどういう「了見」だったのか。
遺体は窒息死の夫に比べ、妻の幸子さんの方が鈍器で殴られたような頭部の骨折など損傷が激しく怨恨(えんこん)の線も考えられるという。
現場にいて夫妻の遺体を運搬したとみられる実行役2人は、自分たちの両親と同年代で面識もない人にそこまで残虐になれるか。
下手人は特定されておらず、まだまだナゾは多い。
昔は思い余って暴力団に殺人を依頼した事件もあった。
変われば変わるもので日本の犯罪史上例のないバイト感覚の殺人グループの出現。
「トクリュウ」の中でも殺人も請け負うのが「特トクリュウ」…。なんて時代がこないように願うばかりだ。(今村忠)
記者:今村忠
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