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「偽衛星信号」でロシアのドローンを誤誘導 ウクライナの新たな電子戦が奏功2023.04.27David Hambling

2023-05-07 13:21:33 | 連絡
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David Hambling Contributor  

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戦場用に改造したDJIのドローンを手に持つウクライナ兵。
DJIの民生用ドローンはロシアとウクライナの双方で軍事作戦にも利用されている(2023年2月18日撮影、John Moore/Getty Images)
<下記URL
参照
>
ウクライナは新たな手法の電子戦によってロシアのドローン(無人航空機)を次々に墜落させている。
偽の信号でドローンの衛星誘導システムを欺き、誤った位置に導く「スプーフィング(なりすまし)」という手法だ。  
ロシアの侵攻を受けるウクライナでは、双方が相手側のドローン使用を阻もうとするなか、いたるところで電波のジャミング(妨害)が行われている。
これまで、対ドローンの電子戦のやり方は主に2つあった。
①電波ノイズを発生させてドローンの制御信号を妨害し、操縦を不可能にするという方法と、
➁GPSをはじめとする衛星測位システム(GNSS)の周波数に干渉し、ドローンの衛星ナビゲーションを使えなくするという方法だ。
➂そして、第3の方法として、GNSS信号のスプーフィングによるドローンの誤誘導も行われているとみられることが、ロシア側の報告からわかった。

ロシアの支援を受ける民兵組織が運営する「ノボロシア支援調整センター」は1月14日の記事

で、ロシアのある部隊でドローンの損失率が異様に高くなったことを報告している。

「クラスノホリフカ(ウクライナ東部ドネツク州)の南方エリアに展開している第5旅団の偵察隊は、3日間で5機のクワッドコプター(回転翼を4基備えたドローン)を喪失した。
具体的にはDJI
軍事利用で注目のドローンメーカー中国DJIの危険な綱渡り
の「Mavic 3」3機とAutel(オーテル、道通)の「EVO II Dual」2機である。
失われたときの状況はどれも似通っている。
まず最初にすべての衛星との通信が途絶え、しばらくして復活したかと思うと、クワッドコプターはすぐに落下に近い速度で急降下した」
オペレーターたちはやがて何が起こっているのかを理解した。
ドローンは飛行禁止区域に入っていると「だまされ」、動作を停止していたのだった。
DJIなどのドローンメーカーは「ジオフェンシング」と呼ばれる仮想フェンスを設ける技術を利用して、空港周辺などの禁止区域にドローンが入らないようにしている。
ウクライナ側はおそらく、スプーフィングによってロシアのドローンをジオフェンシングを越えたと誤認させ、墜落させた。
レジリエントナビゲーション・タイミング財団のデーナ・ゴワード理事長は、報告されているドローン墜落の様子には衛星ナビが欺かされたことを示す特徴があるとし、「スプーフィングの結果だったのはかなりはっきりしている」と述べている。
GNSSのスプーフィングは技術的に十分確立している。
テキサス大学のトッド・ハンフリーズ教授は2013年、偽のナビゲーションデータを送り込むことによって、大型ヨットを事実上乗っ取れることを実証した。コースを外れていることを乗組員に気づかれずに、望みどおりの針路をとらせることが可能だったという。
GNSSには米国のGPSのほかに欧州のガリレオ、ロシアのGLONASS(グロナス)、中国の北斗がある。
ロシアはスプーフィングを防御手段として用いているもようだ。
モスクワを走る車は、表示されるGPSの位置情報が実際の場所から何千キロメートルもずれると報じられたことがある。
プーチンの周囲もGNSSスプーフィングが張り巡らされていて、これによってドローン攻撃から守られているとみられる。
また、黒海を航行する船舶のナビゲーションシステムでも、現在の位置が、30数キロメートル内陸にあるロシアのゲレンジク空港と表示されたという。これもロシアのスプーフィングの結果と考えられる。
 ゴワードは欧州安保協力機構(OSCE)の特別監視団の報告から判断すると、ロシアはおそらくウクライナでの戦争以前からGNSSスプーフィングを行っていたと推測する。
ただ、ウクライナ側がロシア側にスプーフィングを仕掛けたのは今回が初めてだった可能性がある。
 ウクライナが現在用いているスプーフィングの技術は、もともとロシアで開発されたものだった可能性もあるという。
「ロシアは2016年からスプーフィングについて吹聴してきたので、その技術を輸出していてもまったくおかしくない」(ゴワード)
 ノボロシア支援調整センターの記事はロシアのドローンオペレーターの話として、スプーフィングは衛星信号に頼らない手動操縦モードに切り替えることで対処できるものの、切り替えはドローンが墜落する前に素早くやる必要があるとも伝えている。
記事によれば、似たようなかたちのドローン損失は「劇的に増えた」といい、1月2日以降、第5旅団の偵察隊はドローンの操縦を手動に限定したという。
記事では、スプーフィングの利用は急速に広まっているとみられ、ほかのエリアのドローン使用者にも脅威になっていると注意を喚起している。
もっとも、DJIなどのドローンがスプーフィングで墜落しているという事実は、コンシューマー向けドローンが、各種の干渉に対してきわめて脆弱だということをあらためて浮き彫りにしただけだとも言える。
ドローンに対抗する電子機材がウクライナ側、ロシア側の双方でよく使われるようになっていることから、現在広く使われているドローンは今後役に立たなくなるとみる向きもある。
ウクライナのドローン専門家は4月、英紙ガーディアンに「3〜4カ月後にはDJI(のドローン)は使い物にならなくなっているだろう」との見方を示している。
一方で、電波ノイズを除去する耐妨害性受信機を備え、スプーフィングなどへの耐性を高めた軍用GPS信号「Mコード」に対応した高度なドローンは、引き続き使用されるだろう。ウクライナの自爆型ドローンは、すでにロシアのGPSジャミングを突破しているとみられる。
ウクライナには戦場用の高度なドローンを製造するスタートアップの健全なエコシステムがあるのに対して、ロシアのドローン調達プロセスは惰性的で腐敗が横行し、依然として西側諸国の電子製品に依存しているのが実情だ。



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