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比マルコス大統領が中国大使召還 艦船へのレーザー照射問題で親中路線転換へ2023年2月15日大塚智彦

2023-02-16 10:05:10 | 連絡
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大塚智彦
インドネシア在住ジャーナリスト 1957年東京生まれ。
国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。
2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。
著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
 
 
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<習近平との1月の合意から一転、米との連携強化へ>
 
フィリピンのマルコス大統領は2月14日に在フィリピン中国大使を大統領官邸へ召喚し、13日に公表された中国海警局船舶によるフィリピン沿岸警備隊艦船へのレーザー照射事案に関して遺憾の意を示した。
通常外国の大使を召還して遺憾の意や抗議を示すのは外相と相場が決まっているが、元首である大統領が召喚して直接遺憾の意を示すのは異例で、それだけフィリピン政府がこのレーザー照射問題を重く見ていることの表れといえる。
〇「中国による頻繁で集中的な行為」に懸念伝える
 
マルコス大統領は中国の黄渓連大使をマニラのマラカニアン大統領公邸に呼び出してレーザー照射が「極めて重大であり遺憾である」との懸念を伝えた。
大統領府はさらに黄大使に対してマルコス大統領から「最近の比沿岸警備隊や比漁船に対する自国の海洋権益内で発生している中国による頻繁で集中的な行為に対して重大な関心と懸念がある」と伝えたことを明らかにしている。
これに対し在比中国大使館は声明を発表しその中で「黄大使とマルコス大統領は互いに対話とコミュニケーションを通じて両国の海洋問題を的確に扱うとの観点から意見を交換した」と述べるに留まった。
比政府はすでに中国政府に抗議の意味を込めた遺憾の意を伝達しているが、
中国外務省は「中国の領海に比艦艇が進入したことがそもそもの原因である」と一方的に正当化し、レーザー照射に関しても「現場での対応は抑制的であった」と表明。
フィリピン側の怒りにさらに油を注ぐ態度を示している。
〇1月のマルコス=習近平会談では
フィリピン外務省は1月にマルコス大統領が訪中して習近平国家主席と会談した席では、南シナ海問題については「友好的な協議を通じて対処する」と外交的解決の道筋を探ることで合意していたことを改めて確認している。
それに反するような今回の中国によるレーザー照射について、フィリピン側は「中国によるこうした攻撃的な挑発行動は憂慮される問題であり失望している」と不信感を露わにしている。
〇比EEZ内でレーザー照射
 
レーザー照射は2月6日に行われた。フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にある「シエラマドレ」というフィリピン海軍の座礁艦に比軍兵士が駐留しており、ここへ食料や生活物資を補給しようと向かっていた沿岸警備隊の艦艇「マラバスクア」に対し、中国海警局船舶「5205」が約7,4キロ離れた位置から行ったものだ。
「5205」はその後も「マラバスクア」の右舷後方約130メートルに接近して危険な航行を繰り返して妨害。
「マラバスクア」は進路変更を余儀なくされアユンギン礁から離れたという。
〇比は今後米国との関係強化で対応へ
 比外務省は重ねて「中国海警局船舶の行動はフィリピンの主権と安全保障に対する重大な脅威であり、我が国は自国のEEZ内で合法的に活動する権利を有する」と表明して中国のレーザー照射を改めて批判した。
外務省による中国政府への批判に加えて、マルコス大統領自身が中国大使を召還してまで遺憾の意を直接伝えた背景には、中国に対するフィリピン社会や国民の強い反発があり、比政府とマルコス大統領が世論の動向を重視していることがあるのは間違いないとみられている。
今後南シナ海での緊張がさらに高まる可能性もあり、マルコス大統領としてはレーザー照射問題でフィリピンの立場を支持することを表明していた米政府との関係強化を進めながら厳しい対応を続けることになりそうだ。



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