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ノーベル賞の原資は尽きないのか? 知られざる運用の実態 高リスク・高リターンの株式でも運用か

2020-12-26 13:15:08 | 連絡
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2019年10月10日
小原 擁
おはら・まもる
日経ビジネス記者
2006年同志社大学経済学部を卒業し、毎日新聞社入社。宮崎支局、西部経済部、東京経済部を経て、19年4月から日経BP。西部時代は流通、運輸、金融などを、東京では金融庁、証券・メガバンクをそれぞれ担当。日経BPでは銀行など金融業界を主に担当する。 石川県金沢市出身。生まれてまもなくメキシコに移住し、7歳まで暮らした。が、現地言語のスペイン語は話せない。静かにしているように見える時も、心の中で中南米のサンバを踊っていることがある、ネアカ。
※このプロフィールは、著者が日経ビジネス電子版に記事を最後に執筆した時点のものです。
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7日から始まった「ノーベル賞受賞発表ウイーク」で、9日、日本中が歓喜に沸いた。
 スウェーデン王立科学アカデミーは9日、2019年のノーベル化学賞を、旭化成の吉野彰・名誉フェロー、米国大教授2人の計3氏に授与すると発表し、その偉業に日本中が喜びの声に包まれた。
 日本人のノーベル賞受賞は27人目で、授賞式はスウェーデンの首都ストックホルムで12月10日に開かれる。賞金は900万スウェーデンクローナで、現在のレート(1スウェーデンクローナ=約10.8円)で換算すると、約9720万円。この賞金は、受賞した3氏が分け合う形になる。受賞の名誉は、お金に換えられない価値であることには違いない。とはいえ、気になるのはこの賞金をどうやって捻出しているのかという点だ。
 答えを先に言えば、それは財団の資産運用益だ。
ノーベル賞は、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和、経済学の各分野で人類・産業の発展に貢献した功績を残した人物に贈られる。ダイナマイトの発明で巨万の富を得たアルフレッド・ノーベル氏の遺言と資産に基づいて氏の死後の1901年にスタートし、ノーベル財団がノーベル氏の資産を管理・運用している。そして賞金や授賞式の運営費は、財団の運用益でまかなっている(経済学賞はスウェーデン国立銀行が賞金を捻出)。
 財団は、独立性を保つため、国など公的機関からの寄付は受け付けず、民間からの寄付も厳格に限定している。極端に言えば、ノーベル賞の継続性は、財団の資産運用力が支えているというわけだ。
そのことを裏付けるように、賞金額は運用実績に応じてこれまで増減してきた。例えば、01年以降が1000万クローナ(約1億800万円)だったが、運用がうまくいかなかったことなどによる財務悪化を理由に12~16年が800万クローナ(約8640万円)に減額。17年からは財務が改善したとして900万クローナに引き上げている。
 財団のリポートによると、ノーベル財団が保有する資産は43億3800万クローナ(約468億円、18年末時点)。気になる運用ポートフォリオ(構成割合)をみてみると、株式投資が44%、債券投資が15%、ヘッジファンドなどオルタナティブ投資が33%などとなっている。一見、株などのリスク資産への投資の割合が比較的高く、かなりの不安定な運用になっているようにみえる。
資産運用に詳しいファイナンシャルプランナーの渡邉亮さんは「手堅く運用していると思います。株と債券の割合は9:1が最適なポートフォリオと語る投資家もいる中、オルタナティブ投資、不動産投資も交ぜていますし、機動的に運用割合を変えられるルールも設定されているので、世界的な経済ショックにも対応できています。ただ、確かに最近は株式の割合が高いので攻める運用をしているなとは感じます」と語る。
 財団は当初、安全な投資先で運用するようにとのノーベル氏の遺言を守り、資産の大部分が低リスク・低リターンの債券で運用をしていた。しかし、2度の世界大戦、経済恐慌などを経て資産が底をつく懸念が出たこともあり、高リスク・高リターンの株式でも運用できるように制度を変更。世界の経済発展を背景に、資産を順調に増やすことができた。
 従来よりもリスクを負った資産運用スタイルへ変更した結果が、今日のノーベル賞を陰で支えている。



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