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ウクライナ これから起こる2大シナリオと「日本人が知っておくべきこと」3/14(月) 髙橋 洋一

2022-03-19 16:02:38 | 連絡
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現代ビジネス、3/14(月) 、髙橋 洋一(経済学者)
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〇ミサイルまではOKでも戦闘機はNG
今回のロシアによるウクライナ侵攻の本質は、率直にいえば、核保有国が戦争を仕掛けたことにある。
当然ながら、核保有五大国が拒否権を持つ国連は機能しない。
核保有五大国以外が核保有を禁止している核兵器不拡散条約(NPT)も、例外ばかりが増えて風前の灯火だったが、今回、核保有国が核をちらつかせたので、崩れたともいえるだろう。
こうした戦後の国際秩序枠組みが一挙に破壊された今回の暴挙を、どのように抑えるか。世界中の誰もがその解を持ち合わせていない。
核保有国のロシアが核をちらつかせるので、表向きNATOは手を出せない。特に難解なのは、どこがレッドラインかだ。時や場合で代わりうるレッドラインを求めて、NATO(北大西洋条約機構)は手探りの状態だ。
 経済制裁はこれまでのところレッドラインを超えていたない。
対空ミサイルや対戦車ミサイルの武器供与もこれまでのところレッドライン内だ。 
 ミサイルの供与までは可能なのに、なぜ戦闘機の供与がまずいのか。
対空ミサイルなどの供与は列車やトラックで運び込むため一般物資と同じで「攻撃」にならないが、戦闘機の場合はNATO内の空港基地から飛び立つので「攻撃」になるという。子供じみた説明だ。
この延長線で、NATOがウクライナの上空を飛行禁止区域に設定してしまうと、上空を飛行するロシア飛行機をNATOから飛び立った戦闘機が打ち落とすので、ロシアへの「攻撃」になるというナイーブなロジックだ。  
誰にも妙案はなく、NATO加盟国は互いにレッドラインを探りながら、
レッドラインの範囲内でNATOがウクライナに軍事支援しているのが現状だ。
〇プーチンが失脚しないと不可能な「第一のシナリオ」
ここからは、大別すると2つのシナリオが考えられる。
①一つは、NATOのレッドライン内の軍事支援が功を奏し、ロシアはなかなかウクライナを制圧できずに長期戦になることだ。そのうちにロシアへの経済制裁が効果を発揮し、ロシア国内にも厭戦ムードがでて、ロシアとウクライナの間の停戦交渉に至るというケースだ。これは望ましいシナリオだが、プーチン氏の強硬姿勢を見ると、同氏が失脚でもしないかぎり実現の可能性は低い。 
  なお、こうしたケースが実現する前に、ロシアが戦術核をウクライナの人口過疎地で使用することもありえる。
戦術核を用いなくても、ウクライナ国内の原発を人為的に制圧し、その後「事故」で原発制御を不可能にすれば、事実上、ウクライナ全土を「チェルノブイリ化」させることもできると筆者は見ている。 
もちろん、原発を攻撃するのはジュネーブ協定違反だが、
「事故」はグレーなので、ロシアがそれを行わないとも限らない。  
軍事的に考えれば、ロシアに不利な市街戦をキエフで行うくらいなら、郊外の原発施設を制圧する方が簡単で、その結果「事故」にすれば、プーチン氏の言う「ウクライナの非武装・中立化」は自ずと達成できる。
 ➁もう一つのシナリオは、ロシアの軍事攻勢によりキエフが制圧され、ウクライナのゼレンスキー政権が倒れることだ。
しかし、これは新たな火種の始まりにもなる。
こうしてみると、国内の一部の識者が言うように、ウクライナが早期に降伏して交渉に持ち込めればいいが、その可能性はかなり少ないといわざるを得ない。  
水面下での政治交渉はこれまでも今も行われているはずだ。しかし、それが功を奏しない現状がある。 
〇「自国のためには戦わない」日本人
まして今の段階では、プーチン氏側に交渉のインセンティブはまったくない。その証拠に、ロシアとウクライナとの間の停戦交渉では、ロシア側の代表団の面子を見る限り、まともに交渉しようという意思は感じられない。
ラブロフ外相の発言を聞いても、誰が聞いても呆れるほどの言い分であり、対外的に話をするつもりもない。  そうしたロシアの態度を一番わかっているのがウクライナだと筆者は思う。ウクライナの国家主権の意向どおりでいいと思っており、わざわざ日本が口を出すべきことではない。 
日本人の中には、あくまで非戦を主張し、話し合いを求める人の割合が多い。一部の識者はそうした人たちの意見を代弁しているようだ。  
「世界価値観調査」というものがある。世界各国において約5年間隔で250程度の質問について、1000人から3500人程度にアンケート調査が実施されている。2017-21の調査において、そのうちの一つの質問で、
「戦争になったら国のために戦うか?」という問いがある。それに対し、「戦う」と答えた人の割合をみると、日本は13.2%で、調査した86ヵ国中最下位だった。
  ただし、「国のために戦うか」という調査は、その国の民主主義指数とも関係がある。非民主主義国のほうが高いのだ。
これは、筆者が本コラム(2月28日「ウクライナ情勢を読み解く 「9条で日本を守れるのか?」という議論の正解を教えよう」)において再三指摘している「平和五条件」の中の、カントの「民主的平和論」からも推論できる。
つまり、非民主主義国家は戦争しやすいのと整合的だ。
というわけで、民主主義と自国の為に戦う比率の関係を調べると、下図(出典1)のとおりだ。 
中国国のために戦う人90%民主主義指数2.2=独裁的政権 
ロシア国=独裁的政権のために戦う人70%民主主義指数3.2=独裁的政権
ウクライナ:国のために戦う人60%対民主主義指数5.5
韓国:国のために戦う人68%対民主主義指数8.2
台湾:国のために戦う=対西大陸防衛意識髙い人78%対民主主義指数9
ノルウェー:国のために戦う=対ロ防衛意識髙い人89%
      対民主主義指数9.6
日本:国のために戦う=対西大陸・半島北部や対北大陸防衛意識髙い人12%
   対民主主義指数8.2
 
やはり、ある程度、非民主主義国家のほうが、自国のために戦う人の比率は高い。そうした関係を考えても、
日本での自国のために戦う人の比率は低すぎる。  
ロシアの脅威がある北欧をみると、かなりの民主主義国家であるにもかかわわらず、自国のために戦う人の比率が高い。
また、「ウクライナ情勢は台湾(有事)の鑑(かがみ)となる」と安倍晋三元首相がいうように、ウクライナに対応する台湾では、民主主義指数は高いが、自国のために戦う比率は高い。  
今回のウクライナの件で、アメリカといえども核保有国の暴挙にはなかなか手が出ないことがわかった。
日本はロシア、北朝鮮、中国という核保有国に囲まれている。 
 




2月28日の本コラムで述べたように、
日本でも核シェアリングくらいの議論は必要だと考える。戦後秩序の崩壊している中、国際政治の中でどのように振る舞えるかを議論するためには、核シェアリングは意味のあるテーマになるはずだ。 
(出典1)ウクライナ これから起こる2大シナリオと「日本人が知っておくべきこと」2022.03.14/髙橋 洋一
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/93367?page=2




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