ロシアのプーチン政権は17日までに、プーチン大統領による年末恒例の大規模記者会見を今年は行わないことを決めた。
ウクライナ侵略を巡る厳しい質問の矢面に立つ事態を避けたとの見方が強い。
プーチン氏は今年、内政・外交方針を示す年次教書演説や、国民と対話するイベントも実施していない。
一連の恒例行事の見送りは、ウクライナでの軍事作戦がロシアの想定通りに進んでいないことを改めて示唆している。
年次教書演説と、プーチン氏が国民の質問に答える国営テレビ番組「直接対話」、国内外の多数の記者が参加する大規模記者会見の3行事は、原則的に年1回実施され、プーチン氏の考えを知る場として各国の外交官やメディアから注目されてきた。
しかし露政権は今年、春ごろに行うことが多かった年次教書演説と、6月に行うことが多かった「直接対話」を年末まで実施していない。
ペスコフ露大統領報道官は今月中旬、大規模記者会見を今年は実施せず、代わりに個別の行事後の記者会見などでプーチン氏が考えを示すと説明。
年次教書演説も来年になる可能性が高いとした。
さらに「直接対話」に関しても、ペスコフ氏は夏前から「準備中だ」としてきたが、11月時点でも「日程が決まれば発表する」と説明。
今年は実施されない公算が大きい。
一連の行事見送りの背景には、軍事作戦の長期化や露軍の損害拡大、部分的動員への不満が露国民に強まっていることに加え、戦況の先行きはプーチン氏にも説明が困難なことがあるとの見方が強い。
楽観的な見通しを示して実現しなかった場合、プーチン氏の求心力の低下は避けられない。
米シンクタンク「戦争研究所」は14日、「プーチン氏は当初、年次教書演説で勝利を宣言する思惑だったが、相次ぐ露軍の敗退で計画が台無しになった可能性がある」と指摘。
戦争の成果と代償との不釣り合いや、露軍の失敗に関し、プーチン氏には国民にうまく説明する自信がないことも一連の行事見送りの要因になったはずだと分析した。
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