空華 ー 日はまた昇る

小説の創作が好きである。私のブログFC2[永遠平和とアートを夢見る」と「猫のさまよう宝塔の道」もよろしく。

エッセイ - net中傷

2020-02-22 08:23:20 | 文化

 私は新聞を三つぐらい同じ日に読むことがあるのですが、新聞にはそれぞれ得意分野があるような気がする。読売は人情の機微に関することはよく書けていると思う。【東京新聞は社会の矛盾や、権力の分析や批判に優れていると感じています】
例えば、2020年1月6日朝刊では、デマ広げるnet中傷のような記事が書かれていて、現代社会の人間模様が赤裸々に書かれていたと思う。
インターネットが「煽り」の装置になっているという。
東京都内で働く男性は 17年の夏、突然ネット上の情報配信サイトにデマを流され、実名で掲載されたという新聞の情報には驚いた。
ネット上でデマ情報は拡散、SNSで匿名の中傷が増殖したという。ひどい話だと思い、考えさせられた。
さらに読売新聞のその記事の最後には「ネットでは批判の的にしたいと思われたら、誰でも攻撃の対象になってしまう。」と書かれていた。
私はそれから、時々、netの検索を使って、中傷とか集団ストーカーとか見るようにしている。今の日本にはそういうことをする人が少なからずいるのですね。

あおり運転とか子供の虐待とかいじめとかハラスメントとか、何かマナーも倫理も崩壊してしまったのかと思ったり、それはごく一部ではないかという思いに悩まされていて、そちらに気を取られていたら、このnet中傷の問題もそれに匹敵するものだということが分かってきました。
匿名だからということで、かなりの悪口を書く。中傷ですね。これは犯罪ですよ。私は学生の頃、法律を専攻したから、まずこれは法哲学的に言って、相当な犯罪です。井戸端会議や、バーで酒を飲んで悪口を言うのと違うのです。
Net中傷というのは、公の場に対する拡散を目的としているのでしょう、内容によっては、刑法の条文で言えば、名誉棄損罪、脅迫罪になることは間違いないです。

私はここで、日本人の倫理観がためされていると思いますよ。だって、悪口が拡散するというのは、その内容を吟味せずに、ただの噂のような形で公の場に広がるということが分かっているのに、何故、簡単にそれに同意してしまうのでしょう。
なぜ、そこで、話をストップできないのですしょうか。
まず中傷する人には人格に問題があります。
相当なコンプレックスの持ち主です。ですから、ジェラシーの罠にひっかかることもある。
ストレスのはけ口をどこかに向けようとして、カモを見つけて飛びかかることもあるでしょう。中傷のことを巧みに描いたシェイクスピアの「オセロウ」でも、ご覧になって中傷の悪質性を考える段階にきていると思いますよ。
それから、そういう悪口がnetにあった場合、そういう人の言うことに、同意してさらに拡散を広める人は教養の狭い人です。教養の高い人は悪口はいけないということをお釈迦さまがおっしゃったことを知っています。お釈迦さまの直接の言葉は知らなくても、日本の優れた伝統にあることを知っています。

【これはね、ネット中傷とは話題が飛ぶのですが、原発の事故のあとの時の話ですが、
原子力村の人達が本などで、非難されていましたが、私も何冊か読みましたけれど、物凄く沢山のそういう本を出していた有名国立大学の先生がこう言っていましたよ。
「あなた方にも責任がある」と。】

これと同じことが言える。中傷や悪口に同意して拡散するのを和の精神とはきちがえて、いる人も増えているということです。「それは違うのでは」とか「そんなことは言わない方がいいのでは」とか、それが出来ないなら、沈黙するとかすることが出来なくなっているのではないでしょうか。

私が前から言っているように、金銭至上主義社会からくる、倫理の崩壊が一部の人から、、広がりを示している。若い一部の人にまで広がり、それが、学校現場でいじめの道具になっているという報道を見るとがっかりしてしまう。

そういう人は「今は人類の危機」ということが分かっていない。SNSは良く使えば、
人類は良い方向に行くチャンスをつかむことがあるかもしれないということが分かっていない。匿名をいいことに、人の中傷や悪口を言うような人は、昔なら卑怯な奴といわれ、
倫理的に最も愚かな人ということになる。何故なら、netを使って、人類を良い方向に向けようと思っている人も沢山いらしゃる、それを邪魔しよとするのですから。
そういうことが教育されていない。
まともな古典のような本を読んでいる人なら、そういうことをしない。

ハラスメントも同じ。


昨年にはある大手の自動車会社の若い社員が上司のパワーハラスメントによって自殺したと報道された。有名な電気会社でも、似たようなことがあった。

そして相模原市で起きた障碍者殺傷事件の裁判が始まっている。

日本には誠実な人、良い人、立派な人が沢山いるが、報道を見ていると、まるでインフルエンザのように、悪の菌がばらまかれ、子供まで危険にさらされていると報道されている。
子供への虐待もひどい。動物ですら子供を守る。
しかし、科学が発達するのは良いことだが、むやみやたらに、子供に与えるという風潮も問題ではないでしょうか。SNSが子供に良いかどうかという議論もないまま、売れればよいという風潮。
どういう使われ方をされるかで、科学技術はプラスにもなれば、マイナスにもなることは常識です。

科学技術が良い方面に使われば、それは素晴らしい。戦争に使われればどうなる。核兵器がその恐ろしい例でしょう。

これからは、AIロボットが出てくる。この使い方も今から議論しておく必要があるのではないでしょうか。


下記の詩を思い出して下さい。

ああ、弟よ、君を泣く、
君死にたまふことなかれ、
末に生まれし君なれば
親のなさけは勝りしも、
親は刃をにぎらせて
人を殺せと教えしや
人を殺して死ねよとて
二四まで育てしや

           【多数の言うことが正しいとは限らない良い例。公害でも原発でも、最初はそうでした】
与謝野晶子はこの詩のために、非国民と言われた。しかし、今は大詩人という評価である。
この詩を、今理解できる人はSNSを使って、中傷などしないと思う。
詩だけではない、この詩に匹敵する世界文学、この詩に匹敵する音楽、そういう芸術を理解する人は中傷などしないと思う。
最初の読売新聞にあるようなnet中傷が広まると、  netを使って良い方向に、人類の文化の向上のために使おうとする人達の邪魔をすることになる、そういうことにならないように、netを使おうではありませんか。
基本的にはこういう文明病を克服するには、古来 優れた人の言葉を参考にするのが一番いいと思う。
新約聖書にある「愛」それに、法華経に書いてある「大慈悲心」を日本の社会に広げていきましょうよ。

一年ぐらい前に起きた優秀な若い女性社員の痛ましい自殺を思い出します。世間で一流と評価されていて、給与もよく、外見からはいい所に入ったと思われるような所だったが、事実はひどい労働時間、その上パワハラということで、彼女は自殺した。

どうも、こういう情報を聞いていると、日本では、労働が過酷な所がかなりあると思わざるを得ません。

SNS,ネットでの中傷というのがはびこるのは、上記のような環境と無関係とは思えません。
そういう厳しい競争と優れた文化をなくしてしまつている中にいる組織人はストレスを抱えることになり、余裕がなくなり、外にはけ口を求め、匿名をいいことに、他人を中傷するという構造が見えてきます。
優れた文化を持ち、余裕のある人は良い言葉を使います。汚い言葉を使う人がいたら、私の言う言葉の正義のボランティア精神を持つ人はその人を暖かい気持ちで見てあげ、時には注意し、時にはそのストレスを和らげることを皆と話し合うことが必要かと思いますね。
こうした事は社会の病気、つまり維摩菩薩の言う「衆生病む、故に我、病む」という風にとらえた方が良い。
ネットの中も、道元の言う愛語の精神で行きましょうよ。それが世界平和にもつながると思いますよ。


【久里山不識 】
コロナウイルスの国難に関しては、既に医師、それぞれの専門家の方がその危機について語られています。医学に素人で、高齢者の私にはただ早く収束することを願い、多くの人々のご努力に感謝するのみです。ご病気になった方の一日も早いご快復と、亡くなった方のご冥福をお祈りします。

 

コルトナの朝〜辻井伸行 Nobuyuki Tsujii〜A morning in Cortona