自分のマンションのエレベーターに乗った。
挨拶をして、ボタンを押してあげようかと、行き先階を聞いた。
返事がない。70歳と思しき男性。背が高く立派な風貌。だけど何と覇気のない顔。
定年後の人生。
楽しげな人生予告を見せられても、だれもがそれに乗れるとは限らない。「個人」尊重の時代。
きちんとした「人生マップ」はなく、自作自演で生きていかなければならない。規則通りの人生を送ってきて、今更自由な人生が与えられても乗り切れる人ばかりとは限らない。
退職後の自由な時間のある人生なんて、私たちの高度成長期に必死に働いてきた人には、経験のない事。
「自立、活動的な老後」 妻は、すでにそのステージを手に入れ、夫まで、そこに入れてあげる隙間などない。
忙しくしていないと許されないような強迫観念。人に迷惑をかけまいとする気負い。日々は、孤独で、ストレスが多いのだろう。
同じマンションの人に、ご挨拶も出来ないほど。
進むべき道は、まず、挨拶をすることから始めては、どうだろうか。
NYでは、37階に住んで居た。エレベーターに乗ると、必ず挨拶が帰ってくる。そしてにこやかな笑顔。これは、「あなたに敵愾心をもっていません。」という合図。(この笑顔を、好かれたと思う日本女性がいるのも困るが。)
気持ちがいい。それだけに他人に気を配らなければならない合衆国なのだが。
わたしの庭