TIME誌より
旅客機2機がワールドトレードセンターに突っ込んだ。
NY Manhattan のみに放映されているTV局の New York 1(One)では、まだ事実のみで、テロとは伝えていなかった。
テレビ画面の向こうにものすごい煙が見える。
何が起こったのか、早く情報がほしい。
でもこんな時メディアは、事実以外は伝えないのだ。
あせりの中でこのことをじみじみと感じた。
・ こんな時、何をすればいいのだろうか。
セントラルパークが、眼前に広がりその向こうには、
アッパーウエーストのオノヨーコの住むダコタハウス、
シュワルツネッカー、メリルストリープの住むコンドミアムが広がっている。
180度の展望のあるマンハッタンでも数少ないコンドミアムで、ただ一人私は、しばし呆然としていた。
この夢のような展望が、恐怖に変わろうとは。
このただならぬ出来事。
次は、このビルが狙われるのではないか。
飛行機が突っ込んでくるのではないか。
急に恐ろしさにいてもたってもいられなくなった。夫への連絡の方法はない。
私は、いまフラワーアレンジメントのデプロマ取得のため、講義合格後の170時間インターンシップが終わり、NYの有名な高級フラワーショップで、個人的な修行に入っていた。
夫の会社からの連絡に立たなくてはならない。
即座にそう思い、フラワーショップに、休みの連絡をした。
パスポートと銀行カード、有り金全部をウエストポーチに入れ、とりあえずエレベーターで、1階に行く。
コンシェルジェに様子を尋ねる。
ドアマンも、コンシェルジェもおろおろしている。
「 Oho!! クレイジィー」と。 「パ-ルハーバーだ!!」と。
(アメリカが攻撃されてのは、パールバー以来の2回目なのだとか。)
とりあえず、帰国のためのお金をおろさなくては。
階下の銀行 City Bank に行く。セキュリティがかかっていて、カードでは、いくらもおりなかった。
窓口に行く。すでに10人くらいの行列があった。$500おろそうとした。
窓口の黒人女性が、ものすごい早口で何かをわめく。「帰国にお金がいるので、$500おろしてほしい」と訴えた。誰もが、パニック状態だった。
2日後に冷静になって数えたら、$50しかなく真っ青。
いくら数えても$50なのだ。銀行記載は確かに$50になっている。
窓口のお姉さんは、「セキュリティ上$50が限界」と言っていたのだ。
当分の食料もいる。
隣のフードエンポリアム(大型スーパー)に行く。
おお何と、ここも長蛇の列だよ。
30人位の列が4列もできている。
仕方なく列の後ろにつく。