駅から徒歩5分、円形敷地(2軒分)、電気・ガス・水道なし、現地見学自由。こんな住宅地が西武池袋線の高麗(こま)駅近くの線路脇にあります。国指定史跡「高麗村 石器時代住居跡」です。
約4500年前の縄文時代(新石器時代)中期の遺跡ということですから、この竪穴(たてあな)式の住居で暮らしていた人々は、奥武蔵の最初の住人だったといってよいでしょう。そもそも「高麗」(こま)と呼ばれるこのあたり一帯は、大和朝廷が、朝鮮半島の高句麗(こうくり)からやってきた渡来人を移り住まわせて、先進文化を定着させた 1300年以上の長い歴史があるのですが、実ははるかそれ以前から、古代人が暮らしていたのです。北に日和田山(ひわださん)、南に多峯主山(とうのすやま)を眺め、すぐ近くを高麗川(こまがわ)が蛇行して流れるこのあたりが、気候・風土的に、いかに暮らしやすい土地であったのかが、うかがわれます。
縄文遺跡というと、世界遺産に認定された青森の「三内丸山遺跡」が有名ですが、奥武蔵の縄文遺跡も必見です。この「”高麗村” 石器時代住居跡」は、周辺に展開する「”高麗” 石器時代住居跡」遺跡の中の一つですが、発掘されて完全な形で残っているのは、ここだけです。年中無休。入場料は、小人はもちろん大人も無料です。所要見学時間は、約1分。説明板をゆっくり読んで、周囲を回り、写真を撮っても、せいぜい5分。お金も時間もかかりません。観光でお近くへお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
以下、東京から現地を訪れた小学生たちと先生の会話です。
「縄文人って、駅近のいいところに住んでいたんだね。東京へのアクセスはちょっと悪いけど。」
「あのね、当時は、電車も走ってなかったし、東京もなかったんだよ。」
「あ、そうか。走っていたのはSLで、東京は江戸だったんだ。」
「えーとね、君たちは生まれてなかったから知らないのも無理ないけど、当時はSLも江戸もなかったの!」
「え⁉ 先生は生まれていたんですか。」
縄文遺跡は、想像力も歴史知識も豊かにしてくれること間違いなしです。
(写真上)©国指定史跡「高麗村石器時代住居跡」の説明板
(写真上)©囲いの中が住居跡です。
(写真上)©住居跡
(写真上)©史跡入り口
(写真上)©本当に駅近。左は高麗駅のホーム。
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