ハンドマイクをスタンドマイク化したことは前にご紹介した。 これは大変うまく行った。 だが、これはあくまでハンドマイクをマイクスタンドに固定しただけなので、本格的なスタンドマイクに興味あった。
そこでネットでスタンドマイクを検索したが、良いマイクはやはり値が張る。
それなら安いスタンドマイクを買って無線機で使えるようにすれば良いではないか、と考えるのは至極当然である。
で、買ったのは、これ; 某社のPC入力用スタンドマイク。 グースネック(鵞鳥の首)というスタイルのマイクだ。 フレキシブルチューブで好きな向き好きな角度でマイクを使える。 某サイトで送料無料で¥500以下だった。 段階別評価では、良い評価と悪い評価が半々くらい。 ダメだったとしてもフレキシブルチューブだけでも他の用途に使える、という打算もあった。 これが最大の理由かな・・・
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分解してみると中は、2本の極細のケーブルが入っていて単にオン・オフ スイッチで繋いでいるだけ。 ECMの+ーの電線とモノラルプラグが繋いであるだけの簡単な構造だ。
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多分であるが・・・PCには小さい音の入力を増幅するアンプ回路が内蔵されているんじゃなかろ~か。 だからマイク側にアンプは要らないのかも知れない。 無線機も内部にアンプに相当する回路が入っているのだが、マイクAとマイクBを取り替えて使うような場合、こまごまと無線機のパラメータを変更せねばならないのだ。 マイクゲイン、とかスピーチプロセッサとか、場合によっては出力パワーを上げるとか・・・
そこでネットサーチしてマイクアンプ回路を見つけ出した。 これだ; プラグインパワー方式のマイクアンプだ。
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これを部品配置図に展開して製作した。
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このマイクを使う無線機は、わが愛機FT-891Mで、マイク入力はRJ-45コネクタとなっている。 無線機のインピーダンスは600Ω(200Ωから10KΩまで可)と書いてあった。 このマイクのインピーダンスは2.2KΩとなっている。 ここんところがちと気になるところではある・・・でも200~10KΩのインピーダンスで良いなら2.2KΩでも良い筈だろう、ということで前に進んでみる。
RJ-45付の8芯のLanケーブルがあったので、これをそのまま利用した。 配線の色の順番も参考サイトと同じだった。 が、8芯のLanケーブルは固い! 癖が強くてスタンドマイクがケーブルに引っ張られて思った位置に固定できない。 スタンドマイクは超軽いプラスチック製なので、ケーブルの所為でコケちゃったりする。 これも何とかせにゃならん!
実際に必要なのは8芯のうちの5芯のみなので(Up、Downなどの機能は使わない)、不要な3本のケーブルを根元近くでカットし、5本のケーブルのみに熱収縮チューブを被せて収縮させた。 8芯よりは柔らかくなり、扱いやすくなった。
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さて、配線・・・
PTTは2本の線をショートさせればよいだけ。 だが、せっかく作るんだから、PTTを押したら赤いLEDランプが付くようにしたい。 ということで、出来たのが上の部品配置図である。
いざ配線してFT-891Mに接続してみると、保護回路が働いて無線機の送信赤ランプが点滅する。 ありゃ~、これは以前経験したぞ!! 保護回路が働いているんだ。 今回は電源を落として再投入しても治らない。 オリジナルのおにぎりマイクに変えてから電源をいれたら治った。
・・・で、無線機に繋いだまま、よ~く5芯の線について調べてみると・・・
無線機からの給電線(白緑線)とマイクGND(青線)には5Vの電圧がかかっている。 給電線(白緑線)とPTT GND(白茶線)にも5Vの電圧。
最初、これら5Vの電圧は、PTTを押した時にのみ給電される、と考えていた。 だから、1系統のオンオフスイッチで、PTT回路さえ開閉すれば、PTTオンの時には赤いLEDランプを点灯できる・・・と。
そこで電源ラインをカットして両端を2系統スイッチに繋いだ。 電源ラインと並列にLED回路を入れた。 だが、これが問題を引き起こした。 無線機電源オンで、PTTを押さなくてもLEDが点灯してしまうではないかっか!
当たり前だ! 電源ラインをカットしてスイッチをオフにしても、LED回路はGNDに繋がってるから導通状態じゃないの! 馬鹿だね~・・・
四苦八苦してPTTとLEDは2系統スイッチで同時に導通するようにはなったが、この回路を無線機につなぐと、無線機の保護回路が働き送信ランプがチ~カチカ、チーカチカするのだ。
う~む、FT-891Mは、この電源ラインとマイクGNDが常に通電状態にあることを期待しているんではないか? PTTラインに電流が流れた場合に無線機は内部で受信状態から送信状態に切り替える、が、電源ラインとGNDが不導通の状態があると、”異常”だ!と判断し保護回路が働くのではなかろ~か?
そしてそれは当たっていた。 電源ラインをカットして間にスイッチをいれると、無線機電源オンで回路がオフ状態であるので、これを異常と判断するのだ。
そこで、電源回路は常時通電、PTT回路のみスイッチで開閉するように変更したところ、保護回路は働かなくなった。 結局・薬局、PTTオンでのLEDの点灯は一旦あきらめることにした。 上の部品配置図ならうまく行くようには思うのだが・・・(電源回路は常時通電で、並列接続したLED回路の方をスイッチングすれば・・・)
最終テスト:
実際にスタンドマイクに声を入れて、メモリーに録音して音声を聞いてみた。
・・・小さい・・・声が小さい・・・半固定VRを目一杯右に回してみても、左に回してみても、音量は増えない。 蚊の鳴く様な小さな声が録音されていた。 無線機のマイクゲインをいじってもさほど改善しなかった。 マイク変更の都度、無線機のマイクゲイン、コンプレッションレート(PRC)、モニター音量、など、セットオプションをいちいち変更するのはメンドーである。
元のおにぎりスタンドマイクで同様に録音してみると、なんとまあ、立派な音声が録音されるではないか。 やはり標準マイクは素晴らしい。
このマイクアンプの増幅率がこんな程度なのか、あるいは、スタンドマイクにくっ付いているコンデンサーマイクの質が悪いのか、インピーダンスの違いなのか(ECMマイク2.2KΩ、無線機600Ω)、よう分らん!
また、作業場にゴミが増えてしまった。 いつか暇をみて、別買いしてあるコンデンサーマイクに取り替えてみる、とか、別のマイクアンプ回路を試してみることにしよう。 マイクスタンドも重厚なものに作り替えたい。
インピーダンスについて、もちっと勉強してみっか・・・アンテナではあんなに必死にインピーダンスを整合させたんだから、マイクでも・・・なのかも・・・ ロー出しハイインの逆をやってるよね・・・