昨日の記事ではフラップって何?について簡単に触れました。この速度計の色使いを説明する上でフラップはキーワードになってくるから。
今日は速度計のマーキングについて本題に入りましょう!
まず、内側と外側の目盛について
内側の目盛はMPH(Mile per hour)で、アメリカの車の速度表示と同じです。1マイル=時速1.6km 何故飛行機の速度計にMPH表示があるのかは・・・よく分からない![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_shock2.gif)
外側の目盛はKNOTS(ノット)で、1ノット=時速1.85km 飛行機の速度はこのノットを使います。これからお話することは、この外側の目盛っす。
はじめに白色弧線について!!
この白色の弧線はフラップ操作範囲の速度を示しています。
下限は車輪とフラップを全部下ろしたときの失速速度(この速度のことをVsoと言います。V=Velocity<速度>) 訓練機のVsoは74ノット(時速137km)
上限はフラップ下げ速度(Vfe=flap extended)この速度以上ではフラップを下げてはいけません。訓練機のVfeは122ノット(時速226km)
失速速度はとっても重要な速度です。何故って?失速すれば飛行機は操縦不能となり、高度が低い場合は地面に激突してしまいます(逆に高度が高いと回復操作によりリカバーできる)
フラップを下げるときのコールアウト(声に出して言う)に、”チェック・エア・スピード!”というフレーズがあります。エア・スピード(速度計表示の速度)がフラップ操作範囲か声出し確認してフラップレバーを下げます。
昨日の記事で触れましたが、フラップを下げるってことは、着陸に向けてアプローチ開始するよ!!という意思表示です。ということは、高度はどんどん降下していきます。さらに、ある高度に達したら車輪を下げます。車輪を下げるということは、着陸するぞ!!という意思表示です。フラップ+車輪を下げて着陸へ向けて降下します。着陸操作で重要なのは適正速度をきちんと守る!!遅すぎたり、早すぎたりしては理想の着陸は出来ない・・・・(これが難しいんだけど) っで、もし遅すぎたりして失速速度に達してしまうと、高度が低ければ墜落ってことに・・・![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock1.gif)
つまり、失速速度は生死を分ける速度?!ってことか。
次に緑色弧線の範囲は通常の速度範囲を示しています。
下限はフラップと車輪を上げた状態<クリーンコンディションとも言う>の失速速度(Vs1) 訓練機のVs1は84ノット(時速155km)
上限は最大巡航速度(Vno=normal operation) 訓練機のVnoは195ノット(時速361km)
また、黄色弧線は警戒範囲の速度域を示します。
スムース・エアー(気流安定時)の中でのみ許される速度域で、意図的に入れてはいけない速度です。
220ノット近辺になる赤色の線は超過禁止速度(Vne=never exceeded)です。この速度を超えてしまうと飛行機の強度は保証されません・・・訓練機のVneは223ノット(時速413km)
とまぁ、こんな感じで飛行機の速度計は運用上重要な速度が一目で分かるようになってます。
あ、因みに80ノット付近の赤線と100ノット付近の青線は突然片側エンジンが故障した場合に重要な速度です。
赤線:最小操縦速度 (Vmc=minimun control)を示します。この速度は左側のエンジン(右回りのプロペラを持つ双発機では左側のエンジンが不作動になったとき最も飛行特性を悪くする)が突然不作動に陥った時、機体の姿勢を持ち直すことができて、最小の操縦操作で直線飛行を維持できる速度です。訓練機のVmcは81ノット(時速150km)
青線:1エンジン不作動時の最良上昇速度(Single Engine Best Rate of Climb Speed = Vyse)を示します。1エンジン不作動時に最大上昇率が得られる速度になります。訓練機のVyseは100ノット(時速185km)
試験科目の一つに1エンジン不作動のままのILS進入(精密進入)およびVyseを利用しての着陸復行があります。。。
以上、自分の復習も兼ねて飛行機の様々なスピードについて書いてみました。車やバイクと違ってたくさん重要な速度がありますね。3次元の世界を飛行するには、航空力学的に飛行機そのものの強度を理解したり、各種制限スピードを理解したりと覚えるべきことがたくさん。空の世界に飛び込む前には想像だにしなかった![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyob_hat.gif)
ぽちっと押してもらえるとモチベーションUPします![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/choki.gif)