おみつ便り

ガーデニング.手芸.料理.日常感じたことなど

向田邦子エッセイ

2021-08-04 06:26:06 | 日々の思い

私は生前の向田邦子作品はテレビのドラマでは知っておりましたが、小説やエッセイは読んだことがありませんでした。

朗読会で読む短編を探していたところ向田作品と出会いました。

向田邦子全集第一巻でエッセイが133編載っているぶ厚い全集です。


日常のさり気無い有様が気負いのない文でサラッと書いてあるのですが、情景や人の観察がよく捉えてあり、一流作家の筆によるとさりげない日常もこのように書いて読者を惹きつけるのかと感心しました。
昭和の時代の家族の日常を垣間見る感じです。
亭主関白の頑固親父を中心に家事と料理が得意な明るい母親、祖母、弟妹を含む7人家族が
てんやわんやしながら役割分担をして暮らす日常がよく描かれています。人は社会に出る前に家庭で人間関係を築き、喜び、助け合い、我慢や辛抱を学んで
行くことがよくわかりました。
彼女は4人弟妹の長女で小さい頃から母親の手伝いをしていたので、料理上手で家庭的な人でもありました。
出版社勤めのあとTVドラマの脚本を書き作家へとすすんでいくのですが、育った家庭環境がよく、作家になっても女史にはならず誰からも愛される女性で美食家でよく人を招いて料理を振る舞っていたようです。

飛行機事故で突然亡くなられ残念ですが、作品は生き続けています。

この全集には昭和の良き香りがします。