要介護5からの復活・菰野町周辺の四季

事故で脊髄の3.4.5番損傷。寝たきり状態から歩けるまでに復活。趣味の写真もまた始められるようになりました。

もう少し寿司屋の話を

2020-01-20 10:36:25 | 日記


入院時、退院してからのデイサービス。
私が元寿司職人だと話すと一様に驚かれました。
雰囲気がそれっぽくないみたいなのです。
28歳と、この道に入ったのが遅かったのも
関係しているのかもしれませんね。

皆さん一応にお持ちなのが
「回らない寿司屋」=「高級店」=「敷居が高い」、
といったこと。

絶対的な金銭面でいえば決して安いとはいえませんが、
コストパフォーマンスを含め様々な要素を加味すれば
むしろ安いとさえ思います。

絶対的な金銭面で安いといえば、先ずは回転寿司。
スーパー等のお持ち帰りの寿司。

大トロ一貫だか一皿が100円……などとCMでやっていますが、
これはもうどういう流通経路でどんなマグロで
原価はいくらなのか???????

乃婦寿司では大トロは一貫800円~1000円。
一貫は普通は一個(二個というところもあるようです)。
つまり、カウンターに座って大トロを注文(立喰いといいます)すると
1600円~2000円ということになります。
高い?

名古屋中央卸市売り市場のマグロ専門の卸売業者から仕入れた
最高のインドマグロを使っています。
気に入ったマグロが入荷すると一本買いして、
仕入れの都度冷凍庫から1/4とか1/8にカットしてもらっています。

一本買いなので中トロも赤身もありますが、
それらを含めて原価計算すると
大トロに関しては全く儲けは出ません。
手くずや筋の強い部分を削り取って作るトロ鉄火やネギトロで
何とか損しない程度にやっているというのが現状です。

長々とマグロを書いてきましたが
他のネタの場合は仕入れ値×2が基本。

あまり他の寿司屋で「立喰い」をしたことがないので、
本当のことは分かりませんが
「安くて美味しい」との評価をいただいています。

私が現役だった頃のカウンター風景。

テレビの下が私の定位置でした。

カウンターは定員9名。
立喰いですと一人で三名相手が精いっぱい。
他にもテーブルや座敷、出前をこなしながらです。

回らない寿司屋は高いし敷居が高いので……云々から
始めたのですが、話が少しずれてしまったようです。

初めてでしたらテーブルか座敷で盛り合わせや定食をお勧めします。
お昼でしたら日替わりランチもあります。

握り一人前に小鉢二品、茶わん蒸し、赤だし、フルーツで
税抜き1000円と大変お値打ちです。

何度か来店いただいて慣れてきたらカウンターへ。
何といっても寿司屋の楽しみ方はカウンターに尽きます。

職人と話をしながら軽く飲んで、
適当に寿司を食べて
大体ご予算は5000円~8000円見当だと思います。

最後に最も多い質問が、
「何から注文すればいいの?」。
たぶんTVの影響で(通)ぶった話の影響かと思いますが
「好きなものから好きなように頼んだらいいですよ」。
安くはないお金を払って食べるのに
何の遠慮も要りません!



Before the accident

2020-01-18 15:46:48 | 日記


2020/01/18。
69回目の誕生日です。

階段から足を踏み外すという
間抜けな事故から9年目になりました。

それ以前、元気だったころは
寿司屋の職人でした。
一部上場企業に勤めていたのですが、
同級生に誘われて職人の道に入ったのは28歳。

今、こんな体になって思うのは
つくづく職人っていいなぁ、です。
五体満足ならいつまでも続けられるのですから。

店は四日市市東富田町の国道1号線沿い。
以前は国道の東側にあったのですが、
25年ほど前に国道の西側にリニューアル。



回らない寿司屋です。
ネタは名古屋の市場まで仕入れに行っているので
新鮮で美味しいものを提供しています。
店の方針で利益率をギリギリまで抑えているので
いわゆる「回らない寿司屋」としてはお値打ちだと思います。

夕食前の店内の様子。


写真に写っているのは同級生。
後ろの壁の上の方にその日のネタの札。
仕入れによって毎日違う値段を表示。
全くの明朗会計なので
安心してご利用いただけます。

32年間の職人生活が突然のアクシデントで終止符。
今は時間のあるときに顔を出して
指のリハビリに寿司を握っています。
復帰できれば最高ですが
今の状態ではとても難しそうです。


  




食事の次は

2020-01-16 08:49:11 | 日記


とりあえず、作業療法を中心に書いていますが
もちろん、並行して理学療法も行っていました。
でも、もう少し作業療法のことを続けます。

OT(作業療法士)さんは20代中盤の女性。
食事のスプーンの件でもそうでしたが、
いろいろなアイデアをお持ちでした。

電動ベッドを使用していたのですが
指が動かないのでリモコンが使えません。
そこで彼女の考えたのは
リモコンのベッドを起こすボタンに突起をつけること。
これですとリモコンの上に
わずかしか動かない右腕を載せるだけで
リモコンは反応。

背中が起き上がるだけで戻すときは
人に頼まないとできませんが。
これだけでもずいぶん体が楽になったような気がしました。

相変わらず指でスプーンは持てませんが、
右腕の可動域は日々大きくなっていきました。

となると次は歯磨き。
スプーンを挟んだところを歯ブラシに変えてゴシゴシ。
もちろん満足に磨けないので
看護師さんか介護士さんが仕上げてくれます。

今にして思うのは、日々の何気ない動きが
一番のリハビリなのだ、ということ。

正直に言えば、
全介護で口を空いていれば食べさせてもらえたのが
満足に動かない右腕での食事は物凄い苦痛でした。
食事が終わるとグッタリ。

でも毎日三度三度続ける内に右指にも少しずつ変化が。
そして左腕にも……。

                        to be continued


食事くらい自分で

2020-01-14 09:47:24 | 日記


いよいよリハビリの開始です。
一日3時間。
私の場合は理学療法と作業療法でローテーション。
脳疾患などでうまく話せなくなった人は言語聴覚士も加わります。

理学療法は日常生活で基本となる身体機能のリハビリを行います。
作業療法は理学療法の応用として社会復帰のための動作のリハビリ。

私の場合はほぼ動けないので理学療法は
先ず立てるようになることからスタート。
作業療法はわずかに動く右腕を使って
食事を自分でできるようにする訓練から。

病院の一階にはリハビリ専用ルームがあるのですが、
当初は病室のベッドでのリハビリ。
理学療法は一人で立つ練習と車椅子へ移乗する練習。
車椅子への移乗に医療センターのときは4人がかりでしたが、
何とか2人でできないかと、
PT(理学療法士)さんに看護師さん、介護士さんを交えての訓練。

OT(作業療法士)さんは柄の長いスプーンを
右腕の上の部分にマジックテープの付いたバンドで固定。
固定した先の部分を一度直角に曲げ
さらに腕と平行になるようにもう一度曲げます。
そうすると右手の甲の部分の真上に
スプーンの匙の部分がきます。
この道具を使って早速食事の時間に訓練。

動くといってもわずかに上下できるだけですし
しかもスムーズに動かすことはできません。
バンドで固定したといっても
それほど安定しているわけではないので
ごはん(おかゆ)や汁物、おかずを掬うだけで一苦労。
OTさんは自分の食事時間なのに
付きっきりで取り付けたスプーンの微調整やら
掬った後、口に運ぶまでの訓練に。

初めは二三回口に運ぶだけでギブアップ。
腕はプルプルするし、匙までの距離を縮めるのに
口を思いっきり前に出そうとするので首の疲れること。

でも、毎日続けるというのはとても大事なことで、
やがて全ての食事を自分の手で食べられるように。
知らず知らずのうちに
腕の動きが良くなっていたのです。

そうなると曲げてあったスプーンも真っすぐに。
この時点ではまだ指は全く動かすことができないので
スプーンを掴むことさえできませんでした。

                        to be continued


鬱陶しいなぁ

2020-01-13 06:53:08 | 日記


私より数日後で入院してきたS氏。
70歳前後で話の内容からすると
中小企業の経営者。
この人がとんでもない妻コン。

入院の日にナースステーションに車椅子で入ってきて
車椅子を押してきた細君が出て行こうとすると
「行かないでくれ」と懇願。
ナースステーションは基本的に患者以外は立ち入り禁止。
細君が出て行くのは当然なのですが、
人目を憚ることなく泣き出す始末。

脳梗塞か脳溢血で心細かったのは分からないでもないけれど、
患者やナースなど数十人のいる中での出来事にビックリ。

食事の後は歯磨きをしてから順番に病室に戻してもらうのですが
待ちきれないのか、まだ食事の終わらない人が沢山いて
看護師さん介護士さんがそちらの世話にぼわれているのに
「早く戻してくれ」とわめきだす始末。

さらに夕食の後、細君が帰宅する段になると
「帰らないでくれ!」。
ナースステーション前のエレベーターに乗って
帰っていったのを分かっているはずなのに、
看護師に「携帯電話して戻ってもらってくれ」。

そして夜。
皆が寝静まった深夜にわめき散らす声が。
「殺される~。帰してくれ~。○○(細君の名前)、迎えに来てくれ~。」
夜勤の看護師さんにたしなめられるが
夜明けまでこの調子。

一週間ほどこんな調子で私はすっかり寝不足。
他の患者は大して気にしていない様子なのが不思議なので
看護師さんに聞いてみたら
「皆さん耳が遠いのであまり聞こえていないみたいよ」。

そういえば、病室でテレビを観るとき
普通はイヤホンを使うのですが、
入院時にそのことを看護師さんに尋ねると
みんな耳が聞こえないから
「イヤホンは必要無い」とのことでした。

このS氏、やがて入院生活に馴染んでいくのですが
それはそれで傍若無人ぶりを発揮。

全く迷惑なオヤジでした。