関連ブログ記事・・・2021/4/30付「中国地方のミッシングリンク(幹線道路のネットワークの欠落部)はいつ解消?」
美作岡山道路のパンフレット(岡山県が制作)はこちら
上記ブログ記事で
> また、東寄りのルートで岡山県が整備している「美作岡山道路」は半分以上の区間が開通済みですが、中間部(赤磐市吉井町~美作市湯郷温泉間)の一部は2021年度にようやく新規事業化されるとのこと。
と書きましたが、このブログを書いている時点の未開通区間は以下の通りです。
1.瀬戸JCT<山陽自動車道と接続>~瀬戸IC間
2.吉井IC~英田IC間(事業名=吉井英田道路)
3.英田IC~湯郷温泉IC(事業名=英田湯郷道路)
上記以外の区間が開通した2018年度末時点での進捗率は、国土交通省のサイトに掲載されている「再評価結果(令和3年度事業継続箇所)」によれば、「事業進捗率=46%・用地取得率=95%」となっています。
なお、美作岡山道路は基本的に岡山県が事業主体ですが、瀬戸JCT寄りの1.2km区間は政令指定都市である岡山市に含まれるので、岡山市が事業主体となります。
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1.瀬戸JCT<山陽自動車道と接続>~瀬戸IC間
付近のGoogleMapはこちら
瀬戸IC~吉井IC間は2019年3月までに開通済みですが、瀬戸JCT~瀬戸IC間はまだまだ工事途上のため、山陽自動車道には直接入ることはできません。付近にはインターチェンジ自体がない(瀬戸JCT予定地から西隣の山陽ICまでは約4km、東隣の和気ICまでは約10km)ので、山陽自動車道にアクセスするには延々と下道の県道を走る必要があります。瀬戸IC~山陽IC間は長方形の三辺を通るような形なので、十数分はかかりそうです。
付近のストリートビューを確認すると、美作岡山道路側の接続するランプの橋脚はいくつか設置されているものの、山陽自動車道側の工事は「東行車線において、瀬戸JCT建設地の手前で山を削って分岐車線を作る工事(こちら<2023/4時点>とか)」くらいしか見受けられません。
2.吉井IC~英田IC間(事業名=吉井英田道路)
「吉井」は平成の大合併で赤磐市の一部になった旧吉井町、「英田」は同じく平成の大合併で美作市の一部になった旧英田町に由来します。
2021年度に遅まきながらようやく新規事業化されました。新規事業採択時評価結果によれば、この11.5km区間の全体事業費は約475億円を見込んでいます。
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-hyouka/r3sinki/1_r2_023.pdf
中間の柵原(やなはら)IC<名称の由来は平成の大合併前の柵原町域にあることから>は、美咲町飯岡(ゆうか)に設置予定です。
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/228151.pdf (完成イメージパース)
実は、新規事業化が遅れに遅れたのは、柵原ICが吉井川と吉野川の合流点付近の農地を潰して建設されるため、保水機能が低下して豪雨時に浸水が発生しやすくなるという懸念から、住民の反対運動が強まったためです。
岡山県公式サイト内で「美岡だより」(美岡=美作岡山道路の略)がVol.1からVol.78まで公開されていますが、
https://www.pref.okayama.jp/page/529016.html
「岡山県と美咲町が協同して美咲町王子地区、高下地区及び飯岡地区に配布しているものです」と明記されています。
Vol.1はまだ熊山IC~佐伯ICと湯郷温泉IC~勝央ICしか開通していない2015年5月の発行で、タイトルは「内水排除対策について(事例紹介等)」となっています。この時点から新規事業化まで6年近くかかったわけですね。
ただ、このブログを書いている時点で最新のVol.78(2023年6月発行)を見ると「⼟地等の売買契約を開始しました」とあり、柵原IC付近での本格的な工事開始は少なくとも夢物語ではなくなったようです。
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/347477.pdf
ちなみに、柵原IC予定地には、1991年に廃止された同和鉱業片上鉄道(柵原と備前市片上を結び、柵原にあった鉱山で採掘された鉱物を片上の港まで運んでいた)の美作飯岡駅跡が含まれます。2021/12時点のストリートビューでは、廃止後30年にして未だにプラットホームや駅前商店跡といった廃墟が残っていますが、全て跡形もなくなる日が近いかもしれません。
3.英田IC~湯郷温泉IC(事業名=英田湯郷道路)
この区間2.5kmは2017年度に新規事業化され、2019年度に着工しました。全体事業費は約91億円で、2021年度末時点の事業進捗率は27%となっています。
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-hyouka/r3sai/2_r3_155.pdf
2022年3月発行の「美岡だよりVol.73」に、現地の進捗状況の写真が掲載されています。
ただ、英田ICは、現在のこのエリアの幹線道路である国道374号から西に2kmも離れた山の中で、英田湯郷道路区間だけが開通しても利用する車は少なそうですね。吉井英田道路区間が開通して始めて生かされる立地です。