皆様、3月以来ひさびさのブログとなりました。
こんなに日にちが空いてしまったのは、電力小売事業に多大な時間を取られていたせいなのです。
(電気のお客様になっていただいた皆さんには、こんな言い方ですいません。)
この2年くらい、電力小売をやるぞやるぞ!と言い続けてきました。
昨年の秋からは、本格的に小売事業に開始にむけて準備を始め、今年に入ってからは、まさに電力小売と格闘の毎日でした。
電力小売といっても、資本力ゼロでのスタートです。
電力仕入れや託送料金の支払い、需給調整など、まだ自力ではできません。
今年はまず、小売電気事業者である「みやまスマートエネルギー株式会社」の取次点としてスタートする道を選びました。
ユーザー数が1000人を超えるくらいになれば、独立、独り立ちも可能になると思います。
さて、その電力小売会社の名前は「グリーンピープルズパワー株式会社」といいます。
本当は短い「緑民電気」くらいにしたかったのですが・・。
設立は2月3日。
3月から本格的に営業開始でした。
そして、この7月4日から、いよいよ電気の取次供給がスタートしました。
昨日、グリーンピープルズパワー株式会社から、そのプレスリリースを出しましたので、まずはご覧ください。
http://www.dreamnews.jp/press/0000155966/
3月から電気の相談会はじまる
この7月4日までの軌跡を少したどってみましょう。
3月から営業開始といっても、たくさんの営業マンがいて、バーっと街に繰り出していくようなものとは違います。
事実上営業スピーチができるのは私一人、あっちこっちに動き回るのではなく、お客さんの方から私がいるところに来てもらおうと思いました。
そう考えて編み出したのが「電気のお悩み相談会」です。
いろんな地域のカフェをお借りして、そこでお茶を飲みながら「電気の話」をしましょう・・と。
その話の中で、「グリーンピープルズパワー」の電気が良いなと思ったら、ぜひユーザーになってくださいと。
その第1号は、平塚の「みかんや」さんでした。
私の知り合いの方々に連絡をして、真っ先に手を上げていただきました。
なにぶんにも初めてのことで、この「みかんや」さんでの電気の相談会のスタイルが、いまや多くの相談会の雛形になっています。
一方的な講演ではなく、その場で聞きたいことについてやり取りでき、具体的な電気の明細書を見ながら、自身の電気の使い方がどうなっているのかを読み解くことができる・・。
電気がぐっと身近なものになってくるのだと思います。
<「みかんや」での「電気の相談会」>
「みかんや」のTさんは、電気の申し込みも第1号、そして電気の供給も、この7月4日から開通の「第1号」となりました。
3月21日には、河合弘之監督の映画「日本と再生」の上映会を、四谷区民ホールで開催しました。
3月11日から自主上映会解禁でしたので、かなり早い上映会でした。
会場はほぼ埋まり、その後の「グリーンピープルズパワー」のお客様となられた方、相談会を主催してくださった方などがいらっしゃって、これも良いスタートになりました。
映画上映の後には、河合監督もかけつけ、グリーンピプルズパワーにもエールを送ってくださいました。
<四谷区民センターでの「日本と再生」上映会にて>
4月には、アースデイ2017でも「パワーシフトマルシェ」に出店。
アースデイ会場で2日間、全部で5回の「電気のお悩み相談会」を実施しました。
ここには、延べ40人くらいが参加、うち25人が申し込みの検討に入っています。
<アースデイ2017での「電気のお悩み相談会」>
従量電灯BとCでは大違い
さて、電気を売ろうと本気で突撃してみると、いろいろなことがわかります。
電気の販売価格は、ある意味で決まっています。東電という相手があるので、それ並みかそれより安いか。
電気のコスト構造は、ある意味で単純です。
1)電気の仕入れ価格
2)託送料金
3)再生可能エネルギー発電付加金
4)燃料費調整額
5)営業経費
その中に需給調整費とその他経費
これだけです。
このうち1)と2)が大半を占めます。
「グリーンピープルズパワー」の電気は再生可能エネルギーを重視します。
比率100%とは行きませんが、「みやまスマートエネルギー」のバックアップも受けて40%比率を目指すことになっています。
その再生可能エネルギーは、いわゆる「FIT」(固定価格買取制度)に基づいて販売される再生可能エネルギーで、その仕入れ価格は「市場価格連動」ということになっています。
では、市場とは何かというと、JEPX(電力卸売取引市場)のことです。
実は、この市場のシェアは、販売されている電力量の2%程度でしかありません。
それ以外の98%は、既存の電力会社の発電所の電気や、公営水力や企業内発電所で既存電力会社との販売契約に基づいて引き渡されている電気です。
市場に出てこない、これらの電気の多くは、市場の売買に関係なく、事実上安い固定価格で提供されています。
小さな市場では、この6月には400以上になった小売電気事業者が電気を買いに来て、競争していますから、どう考えても1)の仕入れ価格は安くなりません。
ちなみに、最終的にいくらになるかは1年を終えてみないとわかりません。
とんでもない高騰はしないだろうと言われていますが、保証はありません。
FIT再生可能エネルギーを多く活用しようとすると、この不安定な仕組みに依存するしかないのです。
2)の託送料金とは、電気送るために使う「送配電網」の使用料金のことです。
これは「送配電事業者」、東電管内であれば「東電パワーグリッド」に払います。
よくマスコミでは、高圧の託送料金は4円/kWh、一般家庭の託送料金は9円/kWhなどと報道しています。
じつは、この数字は平均値でしかありません。しかも平均値と実際の料金には、何倍もの開きがあったりするので、この平均値はほとんど意味をなさないくらいのものです。
<東電パワーグリッドの託送料金表>
託送料金は写真のような単価表に基づいて計算します。
契約容量に基づく基本料金と、使用量に基づく電力量料金があります。
つまりユーザー一人一人で全員、託送料金単価は違ってきますし、全く同じ電気の使い方をしない限り、同じユーザーでも毎月違ってきます。
しかもその変化の仕方が、プラスマイナス5%に入るなんてものではなく、ときには2倍にも3倍にもなるというもので、尋常ではないのです。
詳細な分析はここではやりませんが、託送料金比率が電気料金全体の50%を超えるものはザラです。
従量電灯Bの電気料金の場合、もともと比較する相手の東電の電気料金が安いのです。
例えば25円/kWhのところ、託送料金が15円/kWhなんてこともあります。
電気の仕入れ価格を10円にしても、もう上記の3)4)5)の費用はありません。
これが、多くの新電力で「一般家庭への電気は扱わない」「従量電灯Bのユーザーには売らない」と言わせてしまう最大の根拠です。
従量電灯Cのユーザーは、東電の電気料金が普通は30円/kWhを超えています。
この5円の価格差は、従ってとても大きいということになるのです。
低圧電力の託送料金はもっとすごかった
一般の人には馴染みがないでしょうが、従量電灯Cの電気を使っているお店などでは、業務用エアコンなどでたいてい200ボルトの動力契約=低圧電力という契約をされています。
従量電灯と低圧電力(動力)の二本立てが多いのです。
低圧電力もコスト構造は同じです。
ただ、託送料金の比率がもっとすごい。
電気料金自体は低圧電力の方が安いのに、託送料金は常に従量電灯より高額です。
先ほどの15円/kWhなどというのはザラで、20円、40円になるものもあります。
東電と同じ価格で供給すると、確実に逆ザヤ、つまり損をするのです。
どうして、東電本体(東電エナジーパートナー)が、こんな料金体系で電力供給できているのか不思議でなりません。
よく、高圧や特別高圧では損をして、低圧、従量電灯のほうで利益を上げているのだ・・などと解説する人がいます。
どう考えても、低圧や従量電灯でも利益があげられるはずがない・・という数字なのです。
販売単価と比べてみると
低圧電力(動力)では、販売単価の基本料金の約65%、電力量料金の約33%でした。
平均してみると、50%前後になります。
従量電灯では、B、C共に基本料金の75%、電力量料金の26%から38%になります。
電力料金で開きが出てくるのは、1段から3段までの従量料金制になっているからです。
たくさん電気を使う人ほど、託送料金の影響を受けなくなっています。
低圧電力(動力)の場合は、そもそもの販売単価において「基本料金」の比率が大きくなっています。
従量料金の4倍程度高くて、さらにその66%が託送料金なので、契約量(kVA)が大きいとそれだけで託送料金はドーンと大きくなります。
普通は契約量が大きいと儲かる構造なのですが、低圧電力は必ずしもそうならないのです。
この低圧電力の、新電力による供給困難問題は、グリーンピープルズパワーにも少なからぬ影響を与えています。
従量電灯はなんとか供給できても、低圧はダメということになると、電気の契約が一つは東電に残り、一つはグリーンピープルズパワーというふうに2契約になってしまうからです。
これでは、これまでの経理の流れを複雑化させるということになるからです。
本日はここまでとして、次回は、さらに不可解なオール電化(電化上手)メニューについてご報告したいと思います。
本当に電気料金は不可解です。
そのことを皆さんにも、もっともっと知っていただき、公平なルールと透明性の確保を声を大に叫んでいただきたい!
こんなに日にちが空いてしまったのは、電力小売事業に多大な時間を取られていたせいなのです。
(電気のお客様になっていただいた皆さんには、こんな言い方ですいません。)
この2年くらい、電力小売をやるぞやるぞ!と言い続けてきました。
昨年の秋からは、本格的に小売事業に開始にむけて準備を始め、今年に入ってからは、まさに電力小売と格闘の毎日でした。
電力小売といっても、資本力ゼロでのスタートです。
電力仕入れや託送料金の支払い、需給調整など、まだ自力ではできません。
今年はまず、小売電気事業者である「みやまスマートエネルギー株式会社」の取次点としてスタートする道を選びました。
ユーザー数が1000人を超えるくらいになれば、独立、独り立ちも可能になると思います。
さて、その電力小売会社の名前は「グリーンピープルズパワー株式会社」といいます。
本当は短い「緑民電気」くらいにしたかったのですが・・。
設立は2月3日。
3月から本格的に営業開始でした。
そして、この7月4日から、いよいよ電気の取次供給がスタートしました。
昨日、グリーンピープルズパワー株式会社から、そのプレスリリースを出しましたので、まずはご覧ください。
http://www.dreamnews.jp/press/0000155966/
3月から電気の相談会はじまる
この7月4日までの軌跡を少したどってみましょう。
3月から営業開始といっても、たくさんの営業マンがいて、バーっと街に繰り出していくようなものとは違います。
事実上営業スピーチができるのは私一人、あっちこっちに動き回るのではなく、お客さんの方から私がいるところに来てもらおうと思いました。
そう考えて編み出したのが「電気のお悩み相談会」です。
いろんな地域のカフェをお借りして、そこでお茶を飲みながら「電気の話」をしましょう・・と。
その話の中で、「グリーンピープルズパワー」の電気が良いなと思ったら、ぜひユーザーになってくださいと。
その第1号は、平塚の「みかんや」さんでした。
私の知り合いの方々に連絡をして、真っ先に手を上げていただきました。
なにぶんにも初めてのことで、この「みかんや」さんでの電気の相談会のスタイルが、いまや多くの相談会の雛形になっています。
一方的な講演ではなく、その場で聞きたいことについてやり取りでき、具体的な電気の明細書を見ながら、自身の電気の使い方がどうなっているのかを読み解くことができる・・。
電気がぐっと身近なものになってくるのだと思います。
<「みかんや」での「電気の相談会」>
「みかんや」のTさんは、電気の申し込みも第1号、そして電気の供給も、この7月4日から開通の「第1号」となりました。
3月21日には、河合弘之監督の映画「日本と再生」の上映会を、四谷区民ホールで開催しました。
3月11日から自主上映会解禁でしたので、かなり早い上映会でした。
会場はほぼ埋まり、その後の「グリーンピープルズパワー」のお客様となられた方、相談会を主催してくださった方などがいらっしゃって、これも良いスタートになりました。
映画上映の後には、河合監督もかけつけ、グリーンピプルズパワーにもエールを送ってくださいました。
<四谷区民センターでの「日本と再生」上映会にて>
4月には、アースデイ2017でも「パワーシフトマルシェ」に出店。
アースデイ会場で2日間、全部で5回の「電気のお悩み相談会」を実施しました。
ここには、延べ40人くらいが参加、うち25人が申し込みの検討に入っています。
<アースデイ2017での「電気のお悩み相談会」>
従量電灯BとCでは大違い
さて、電気を売ろうと本気で突撃してみると、いろいろなことがわかります。
電気の販売価格は、ある意味で決まっています。東電という相手があるので、それ並みかそれより安いか。
電気のコスト構造は、ある意味で単純です。
1)電気の仕入れ価格
2)託送料金
3)再生可能エネルギー発電付加金
4)燃料費調整額
5)営業経費
その中に需給調整費とその他経費
これだけです。
このうち1)と2)が大半を占めます。
「グリーンピープルズパワー」の電気は再生可能エネルギーを重視します。
比率100%とは行きませんが、「みやまスマートエネルギー」のバックアップも受けて40%比率を目指すことになっています。
その再生可能エネルギーは、いわゆる「FIT」(固定価格買取制度)に基づいて販売される再生可能エネルギーで、その仕入れ価格は「市場価格連動」ということになっています。
では、市場とは何かというと、JEPX(電力卸売取引市場)のことです。
実は、この市場のシェアは、販売されている電力量の2%程度でしかありません。
それ以外の98%は、既存の電力会社の発電所の電気や、公営水力や企業内発電所で既存電力会社との販売契約に基づいて引き渡されている電気です。
市場に出てこない、これらの電気の多くは、市場の売買に関係なく、事実上安い固定価格で提供されています。
小さな市場では、この6月には400以上になった小売電気事業者が電気を買いに来て、競争していますから、どう考えても1)の仕入れ価格は安くなりません。
ちなみに、最終的にいくらになるかは1年を終えてみないとわかりません。
とんでもない高騰はしないだろうと言われていますが、保証はありません。
FIT再生可能エネルギーを多く活用しようとすると、この不安定な仕組みに依存するしかないのです。
2)の託送料金とは、電気送るために使う「送配電網」の使用料金のことです。
これは「送配電事業者」、東電管内であれば「東電パワーグリッド」に払います。
よくマスコミでは、高圧の託送料金は4円/kWh、一般家庭の託送料金は9円/kWhなどと報道しています。
じつは、この数字は平均値でしかありません。しかも平均値と実際の料金には、何倍もの開きがあったりするので、この平均値はほとんど意味をなさないくらいのものです。
<東電パワーグリッドの託送料金表>
託送料金は写真のような単価表に基づいて計算します。
契約容量に基づく基本料金と、使用量に基づく電力量料金があります。
つまりユーザー一人一人で全員、託送料金単価は違ってきますし、全く同じ電気の使い方をしない限り、同じユーザーでも毎月違ってきます。
しかもその変化の仕方が、プラスマイナス5%に入るなんてものではなく、ときには2倍にも3倍にもなるというもので、尋常ではないのです。
詳細な分析はここではやりませんが、託送料金比率が電気料金全体の50%を超えるものはザラです。
従量電灯Bの電気料金の場合、もともと比較する相手の東電の電気料金が安いのです。
例えば25円/kWhのところ、託送料金が15円/kWhなんてこともあります。
電気の仕入れ価格を10円にしても、もう上記の3)4)5)の費用はありません。
これが、多くの新電力で「一般家庭への電気は扱わない」「従量電灯Bのユーザーには売らない」と言わせてしまう最大の根拠です。
従量電灯Cのユーザーは、東電の電気料金が普通は30円/kWhを超えています。
この5円の価格差は、従ってとても大きいということになるのです。
低圧電力の託送料金はもっとすごかった
一般の人には馴染みがないでしょうが、従量電灯Cの電気を使っているお店などでは、業務用エアコンなどでたいてい200ボルトの動力契約=低圧電力という契約をされています。
従量電灯と低圧電力(動力)の二本立てが多いのです。
低圧電力もコスト構造は同じです。
ただ、託送料金の比率がもっとすごい。
電気料金自体は低圧電力の方が安いのに、託送料金は常に従量電灯より高額です。
先ほどの15円/kWhなどというのはザラで、20円、40円になるものもあります。
東電と同じ価格で供給すると、確実に逆ザヤ、つまり損をするのです。
どうして、東電本体(東電エナジーパートナー)が、こんな料金体系で電力供給できているのか不思議でなりません。
よく、高圧や特別高圧では損をして、低圧、従量電灯のほうで利益を上げているのだ・・などと解説する人がいます。
どう考えても、低圧や従量電灯でも利益があげられるはずがない・・という数字なのです。
販売単価と比べてみると
低圧電力(動力)では、販売単価の基本料金の約65%、電力量料金の約33%でした。
平均してみると、50%前後になります。
従量電灯では、B、C共に基本料金の75%、電力量料金の26%から38%になります。
電力料金で開きが出てくるのは、1段から3段までの従量料金制になっているからです。
たくさん電気を使う人ほど、託送料金の影響を受けなくなっています。
低圧電力(動力)の場合は、そもそもの販売単価において「基本料金」の比率が大きくなっています。
従量料金の4倍程度高くて、さらにその66%が託送料金なので、契約量(kVA)が大きいとそれだけで託送料金はドーンと大きくなります。
普通は契約量が大きいと儲かる構造なのですが、低圧電力は必ずしもそうならないのです。
この低圧電力の、新電力による供給困難問題は、グリーンピープルズパワーにも少なからぬ影響を与えています。
従量電灯はなんとか供給できても、低圧はダメということになると、電気の契約が一つは東電に残り、一つはグリーンピープルズパワーというふうに2契約になってしまうからです。
これでは、これまでの経理の流れを複雑化させるということになるからです。
本日はここまでとして、次回は、さらに不可解なオール電化(電化上手)メニューについてご報告したいと思います。
本当に電気料金は不可解です。
そのことを皆さんにも、もっともっと知っていただき、公平なルールと透明性の確保を声を大に叫んでいただきたい!
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