2018年がいよいよ始まりました。
「光陰矢の如し」と言いますが、本当にあっという間に月日が過ぎて行きます。
「矢の如し」というのは、行ったらそれきり戻って来ないという意味ですが、本当に1年間に撃てる「矢」はそんなにはないのだと実感します。
1年365日なんて、52週と1日しかないのです。
1日一つのペースで仕事を仕上げても365件、1週に一つのペースの仕事なら1年間に52件しかできないということです。
それなのに100件とか200件とか仕事を抱えたら・・まあ、そういうことです。
人間の能力には限界がありますので、そのことを慮りつつ、今年は無理しないで行きたいのですが・・・。
(トップ写真は、2018年元旦の日の出。我が家の窓に、綺麗に登場しました。)
2017年の10大ニュースと今年のテーマ
実は昨年末最後のブログを書こうと「10大ニュース」なんぞ書いていました。
ぐずぐずしている間に年を越してしまったので、もういいとうっちゃったのですが、ちょっとタイトルだけ見てみましょう。
1、 トランプ氏が米大統領就任(1月)。イスラム圏からの入国制限、シリア爆撃、北朝鮮を威嚇挑発、エルサレムをイスラエルの首都と宣言、地球温暖化防止条約からも離脱と、世界中に難題をばらまいた。
2、 再エネ特措法が改正され、FIT売電を行うには送配電事業者による接続許可が第一の条件となった。(4月)
3、 共謀罪(改正組織犯罪処罰法)が成立(8月)。犯罪に準備・計画段階を名目に、誰かれお構いなく検挙、処罰できる状態に。
4、 衆議院の解散総選挙が行われ、立憲民主党が誕生、野党第一党に躍り出る。(10月)小池氏に排除された議員らが「立憲民主党」を結成、100人近い反安保法制、憲法改悪反対の国会議員を擁する政治勢力を誕生させた。
5、 日産、スバルをはじめ、原発機器メーカーの神戸製鋼、三菱マテリアルまで、データ改ざん不正(10月)。日本のものづくりの信頼性が失墜。
6、 世界中で排外的政策を掲げる政党が躍進。オーストリアでは排外主義政権が誕生(10月)、ドイツでもメルケル政権が過半数を取れず混乱へ。
7、 核兵器禁止条約の国連での採択に貢献したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が、ノーベル平和賞を受賞。(10月)
8、 北朝鮮による相次ぐミサイル発射。最終的に米本土に届く飛距離の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功した。(11月)
9、 原発の運転差し止め判決相次ぐ。とくに12月には、伊方原発差し止め訴訟で、火山対策が不備との理由で、画期的差し止め。
10、 東海道、山陽新幹線で台車に亀裂事故。異常を察知しても、運転を止めない、止められない仕組みで、新幹線の安全性に疑問符。(12月)
うーむ、10月以降に7つ。9月以前にはそんなにニュースなかったけと思ったら、都議選での都民ファースト躍進など「小池旋風」が、立憲民主党に消されたんですね。個人的には「立憲民主党」の誕生は大きなニュース。これまで、「政策的には合わなくても自民に勝つために応援」という選択肢だったが、スッキリと政策的に応援できました。多くの有権者が本当に望んでいたのは、こういうことだったのではないでしょうか。
しかし全体を通して明るいニュースは、あとは原発差し止めとICANのみ。全体的に暗い1年でした。一番の原因に違いないトランプを吹き飛ばすカードはないのでしょうか。
今年に期待することなら、一番は、トランプのロシアゲートでの失脚でしょう。そして朝鮮半島での南北対話進展。ドイツでメルケル政権の劇的な復活でしょう。しかし、追い詰められたISは世界各地で自爆テロ、パレスチナでの暴発、アメリカのイラン攻撃など、真逆の緊張に向かうかもしれません。
国内に目を転じれば安倍政権。もう一つの暗い影です。本当に憲法改正の発議をするのでしょうか。9月には自民党総裁選。3期目の再選を可能にしたとはいえ、岸田も石破も、本当のところはそうはさせじと動き出すでしょう。今年は総選挙はない・・ということになっていますがどうなりますか。意外に内閣不信任が成立したりして。
そして再生可能エネルギー、電気の世界では「変な市場」が動き出します。
ベースロード電源市場と容量市場・非化石価値取引市場
ベースロード電源市場は、石炭と原発の安い電気を新電力に買わせてあげるという「ありがたーい」市場です。正式には2019年4月から動き出しますが、4月に電気が使えるようになるには、前の年に買付けは終わってないといけません。どうやら買付入札は、今年の7月から始まるようです。
ベースロードとは電気の需要の中の変動しない一定割合の部分のこと。買付側は新電力、市場に電気を出すのは旧一般電気事業者(旧電力)と電源開発(J-Power)です。実際には原発なんてほとんど動いていないので、J-Powerの石炭火力の電気がどーんと出てくるようです。
買付方は事実上長期契約、少なくとも1年以上かと。これを買付けて、自治体等の電力入札に応札し、取れれば良いですが、外れたらどうするんでしょうね。電源確保したが、売り先はない・・みたいな新電力が倒産するのでしょうか。
それでなくとも、新電力の倒産が相次ぐ年と予想されています。今の日本の電力システムを前提にする限り、小売電気事業の利益はとても薄いです。FIT再エネの電気を取り扱うと、仕入れが4割、託送料金3.5割。粗利は3割もなく、その中で需給調整から営業から、やらないといけない世界です。再エネが高いからではありません。FIT再エネの仕入れ価格を、「市場価格連動」という形で、政府が高く設定してしまったからです。
「ベースロード電源市場」に対応するのが「容量市場」です。ベースロードが変動しない部分なら、容量市場は需要が変動する部分。ここは天然ガスです。天然ガスは変動対応ということで、必要な時に運転し、必要ないときは休止するということです。
例えば2000億円かけて作って半分は休止しているとなると、コスト回収期間が倍になります。休止がもっと多いと、耐用年数の間にコスト回収できないかもしれません。それでは天然ガス火力なんか作っても意味ないでしょ、ということになるので、「休止期間中」もお金が稼げるようにしようというのが容量市場です。容量市場の発電所と認定されれば、kWh(発電量)にではなくkW(設備容量)に対してお金が支払われます。
誰がそんなもん払うの?というと消費者です。支払いの形はまだわかりませんが、電気料金の明細項目の中に「容量賦課金」みたいなのができるのでしょう。これは容量市場なんか使わないという新電力にも無理やり強制される可能性があります。
最後に「非化石価値取引市場」です。これは実電気の市場ではなくCO2を排出しないという価値の取引市場です。「非化石証書」が発行されることになっていて、再エネ証書と原発証書に分類されます。「非化石」だけだと原発か再エネかわかりませんのでご注意ください。
この市場の用途は、明らかに石炭だと思います。日本はCOP21の国際約束で、今世紀後半には人為的なCO2排出はゼロにすると合意した今も、石炭火力の増設計画を続々と積み上げています。その数49件、2300万kW以上です。原発23基分です。この数は、日本の長期エネルギー需給見通しの2030年の再エネ比率22〜24%と絶妙に符合しています。つまり、再エネ証書で石炭をクリーンにしようということでしょうか。そんなことをすると、再エネの方が化石燃料としてCO2を出していることになるんですがね・・・。
2018年、GPPの大チャレンジ
さて2015年に自分の会社「イージーパワー」を設立してから今年で4年目になります。1年目は、なかなかお金が借りられず再エネ発電所づくりに待ったをかけられました。12月末にやっと西武信金からの融資が決まり、それが山梨県大泉発電所で、いま順調に発電をしています。
翌年の夏には城南信金の融資が決まり、千葉県匝瑳市のソーラーシェアリング発電所に着手できました。この発電所の運転開始は昨年の2月で、やっとまがりなりに発電事業者となりました。
普通なら、ここでしばらく大人しく発電事業を着実に増やしつつ大きくしていくところですが、時代がそれを許してくれませんでした。電力自由化の大きな波がやってきたのです。電気を作る「発電」ができるのであれば、それを消費者に届ける「小売」にも道をつけたいと思いました。電気の運用ルールは、これまで旧電力に一方的に握られ、発電コストや経営に関する数字も不確かでした。それを確かめ、再エネ電気供給の方法を見つけるには、自分自身が「業」として、小売を担ってみるしかないと思ったのです。
幸いに「取次」という参入方法があり、電気の営業と供給の分野には2017年中に突入することができました。それがGPP(グリーンピープルズパワー)という会社です。昨年の2月3日に設立しました。
果敢に突っ込んだ理由は、一つには2016年にスペインのREE(レッドエレクトリカ)を訪問したことです。風力発電をベースに、他の電源をうまく組み合わせながら再エネ比率の高い電気をスペイン全土に供給していました。それならば、需給調整の機能さえ持てば、日本でもやれないことはないぞと思いました。
もう一つは、市民電力連絡会です。これは、小規模(ほとんどが50kW未満)再エネ発電所を作り運用している団体のネットワークです。全部集めると数メガの発電所になるでしょう。すでに他の新電力に販売を開始した発電所もあるのですが、この電気をネットワーク内部の消費者に供給する、究極の地産地消もやりたいと思いました。これを実現するにも、自社で需給調整の機能を持たないと、なかなか他社依存では無理だなと思ったのです。
しかし、前段の文章でも書いたように、小売電気事業は薄利です。少量から少しずつ始めるということは難しいのです。2017年は大赤字を覚悟して、M社の取次として少量のユーザーで供給を始めてみました。本当に電気が届けられるのか、事務処理量はどの程度なのか、いろいろと確かめたかったからです。
しかし、2018年は黒字化に向けて一気に動かなければなりません。
目標は1000ユーザー、10MWの契約です。そのためには、人手も必要になります。儲かっていない(いやいや大赤字です)のに人員を増やすなという忠告は相当に受けました。でもそれでは目標達成は絶対にできないのです。
イージーパワーも初年度は大赤字でした。それでも発電を開始できれば黒字化すると読めていました。小売電気事業も同じで、黒字化できるレベルに到達させれば良いのです。
苦しい創成期を3年と置きました。その創成期に社員たちを無給で働かせるわけには行かないので「その期間」の運転資金を増資によって集めることにしました。増資はGPPからの公募増資となりますので、近日中にGPPのホームページ上に案内を出します。
倒産と廃業の相次ぐ小売電気事業ですから、正直とても危ない事業です。絶対儲かりまっせーみたいなことは言えません。電力システムというブラックボックスをこじ開けてみようという竹村の果敢なチャレンジを応援してやろうということであれば、少額で(万が一、戻ってこなくても大丈夫な程度で)ご協力ください。
では、本年もよろしくお願いいたします。
「光陰矢の如し」と言いますが、本当にあっという間に月日が過ぎて行きます。
「矢の如し」というのは、行ったらそれきり戻って来ないという意味ですが、本当に1年間に撃てる「矢」はそんなにはないのだと実感します。
1年365日なんて、52週と1日しかないのです。
1日一つのペースで仕事を仕上げても365件、1週に一つのペースの仕事なら1年間に52件しかできないということです。
それなのに100件とか200件とか仕事を抱えたら・・まあ、そういうことです。
人間の能力には限界がありますので、そのことを慮りつつ、今年は無理しないで行きたいのですが・・・。
(トップ写真は、2018年元旦の日の出。我が家の窓に、綺麗に登場しました。)
2017年の10大ニュースと今年のテーマ
実は昨年末最後のブログを書こうと「10大ニュース」なんぞ書いていました。
ぐずぐずしている間に年を越してしまったので、もういいとうっちゃったのですが、ちょっとタイトルだけ見てみましょう。
1、 トランプ氏が米大統領就任(1月)。イスラム圏からの入国制限、シリア爆撃、北朝鮮を威嚇挑発、エルサレムをイスラエルの首都と宣言、地球温暖化防止条約からも離脱と、世界中に難題をばらまいた。
2、 再エネ特措法が改正され、FIT売電を行うには送配電事業者による接続許可が第一の条件となった。(4月)
3、 共謀罪(改正組織犯罪処罰法)が成立(8月)。犯罪に準備・計画段階を名目に、誰かれお構いなく検挙、処罰できる状態に。
4、 衆議院の解散総選挙が行われ、立憲民主党が誕生、野党第一党に躍り出る。(10月)小池氏に排除された議員らが「立憲民主党」を結成、100人近い反安保法制、憲法改悪反対の国会議員を擁する政治勢力を誕生させた。
5、 日産、スバルをはじめ、原発機器メーカーの神戸製鋼、三菱マテリアルまで、データ改ざん不正(10月)。日本のものづくりの信頼性が失墜。
6、 世界中で排外的政策を掲げる政党が躍進。オーストリアでは排外主義政権が誕生(10月)、ドイツでもメルケル政権が過半数を取れず混乱へ。
7、 核兵器禁止条約の国連での採択に貢献したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が、ノーベル平和賞を受賞。(10月)
8、 北朝鮮による相次ぐミサイル発射。最終的に米本土に届く飛距離の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功した。(11月)
9、 原発の運転差し止め判決相次ぐ。とくに12月には、伊方原発差し止め訴訟で、火山対策が不備との理由で、画期的差し止め。
10、 東海道、山陽新幹線で台車に亀裂事故。異常を察知しても、運転を止めない、止められない仕組みで、新幹線の安全性に疑問符。(12月)
うーむ、10月以降に7つ。9月以前にはそんなにニュースなかったけと思ったら、都議選での都民ファースト躍進など「小池旋風」が、立憲民主党に消されたんですね。個人的には「立憲民主党」の誕生は大きなニュース。これまで、「政策的には合わなくても自民に勝つために応援」という選択肢だったが、スッキリと政策的に応援できました。多くの有権者が本当に望んでいたのは、こういうことだったのではないでしょうか。
しかし全体を通して明るいニュースは、あとは原発差し止めとICANのみ。全体的に暗い1年でした。一番の原因に違いないトランプを吹き飛ばすカードはないのでしょうか。
今年に期待することなら、一番は、トランプのロシアゲートでの失脚でしょう。そして朝鮮半島での南北対話進展。ドイツでメルケル政権の劇的な復活でしょう。しかし、追い詰められたISは世界各地で自爆テロ、パレスチナでの暴発、アメリカのイラン攻撃など、真逆の緊張に向かうかもしれません。
国内に目を転じれば安倍政権。もう一つの暗い影です。本当に憲法改正の発議をするのでしょうか。9月には自民党総裁選。3期目の再選を可能にしたとはいえ、岸田も石破も、本当のところはそうはさせじと動き出すでしょう。今年は総選挙はない・・ということになっていますがどうなりますか。意外に内閣不信任が成立したりして。
そして再生可能エネルギー、電気の世界では「変な市場」が動き出します。
ベースロード電源市場と容量市場・非化石価値取引市場
ベースロード電源市場は、石炭と原発の安い電気を新電力に買わせてあげるという「ありがたーい」市場です。正式には2019年4月から動き出しますが、4月に電気が使えるようになるには、前の年に買付けは終わってないといけません。どうやら買付入札は、今年の7月から始まるようです。
ベースロードとは電気の需要の中の変動しない一定割合の部分のこと。買付側は新電力、市場に電気を出すのは旧一般電気事業者(旧電力)と電源開発(J-Power)です。実際には原発なんてほとんど動いていないので、J-Powerの石炭火力の電気がどーんと出てくるようです。
買付方は事実上長期契約、少なくとも1年以上かと。これを買付けて、自治体等の電力入札に応札し、取れれば良いですが、外れたらどうするんでしょうね。電源確保したが、売り先はない・・みたいな新電力が倒産するのでしょうか。
それでなくとも、新電力の倒産が相次ぐ年と予想されています。今の日本の電力システムを前提にする限り、小売電気事業の利益はとても薄いです。FIT再エネの電気を取り扱うと、仕入れが4割、託送料金3.5割。粗利は3割もなく、その中で需給調整から営業から、やらないといけない世界です。再エネが高いからではありません。FIT再エネの仕入れ価格を、「市場価格連動」という形で、政府が高く設定してしまったからです。
「ベースロード電源市場」に対応するのが「容量市場」です。ベースロードが変動しない部分なら、容量市場は需要が変動する部分。ここは天然ガスです。天然ガスは変動対応ということで、必要な時に運転し、必要ないときは休止するということです。
例えば2000億円かけて作って半分は休止しているとなると、コスト回収期間が倍になります。休止がもっと多いと、耐用年数の間にコスト回収できないかもしれません。それでは天然ガス火力なんか作っても意味ないでしょ、ということになるので、「休止期間中」もお金が稼げるようにしようというのが容量市場です。容量市場の発電所と認定されれば、kWh(発電量)にではなくkW(設備容量)に対してお金が支払われます。
誰がそんなもん払うの?というと消費者です。支払いの形はまだわかりませんが、電気料金の明細項目の中に「容量賦課金」みたいなのができるのでしょう。これは容量市場なんか使わないという新電力にも無理やり強制される可能性があります。
最後に「非化石価値取引市場」です。これは実電気の市場ではなくCO2を排出しないという価値の取引市場です。「非化石証書」が発行されることになっていて、再エネ証書と原発証書に分類されます。「非化石」だけだと原発か再エネかわかりませんのでご注意ください。
この市場の用途は、明らかに石炭だと思います。日本はCOP21の国際約束で、今世紀後半には人為的なCO2排出はゼロにすると合意した今も、石炭火力の増設計画を続々と積み上げています。その数49件、2300万kW以上です。原発23基分です。この数は、日本の長期エネルギー需給見通しの2030年の再エネ比率22〜24%と絶妙に符合しています。つまり、再エネ証書で石炭をクリーンにしようということでしょうか。そんなことをすると、再エネの方が化石燃料としてCO2を出していることになるんですがね・・・。
2018年、GPPの大チャレンジ
さて2015年に自分の会社「イージーパワー」を設立してから今年で4年目になります。1年目は、なかなかお金が借りられず再エネ発電所づくりに待ったをかけられました。12月末にやっと西武信金からの融資が決まり、それが山梨県大泉発電所で、いま順調に発電をしています。
翌年の夏には城南信金の融資が決まり、千葉県匝瑳市のソーラーシェアリング発電所に着手できました。この発電所の運転開始は昨年の2月で、やっとまがりなりに発電事業者となりました。
普通なら、ここでしばらく大人しく発電事業を着実に増やしつつ大きくしていくところですが、時代がそれを許してくれませんでした。電力自由化の大きな波がやってきたのです。電気を作る「発電」ができるのであれば、それを消費者に届ける「小売」にも道をつけたいと思いました。電気の運用ルールは、これまで旧電力に一方的に握られ、発電コストや経営に関する数字も不確かでした。それを確かめ、再エネ電気供給の方法を見つけるには、自分自身が「業」として、小売を担ってみるしかないと思ったのです。
幸いに「取次」という参入方法があり、電気の営業と供給の分野には2017年中に突入することができました。それがGPP(グリーンピープルズパワー)という会社です。昨年の2月3日に設立しました。
果敢に突っ込んだ理由は、一つには2016年にスペインのREE(レッドエレクトリカ)を訪問したことです。風力発電をベースに、他の電源をうまく組み合わせながら再エネ比率の高い電気をスペイン全土に供給していました。それならば、需給調整の機能さえ持てば、日本でもやれないことはないぞと思いました。
もう一つは、市民電力連絡会です。これは、小規模(ほとんどが50kW未満)再エネ発電所を作り運用している団体のネットワークです。全部集めると数メガの発電所になるでしょう。すでに他の新電力に販売を開始した発電所もあるのですが、この電気をネットワーク内部の消費者に供給する、究極の地産地消もやりたいと思いました。これを実現するにも、自社で需給調整の機能を持たないと、なかなか他社依存では無理だなと思ったのです。
しかし、前段の文章でも書いたように、小売電気事業は薄利です。少量から少しずつ始めるということは難しいのです。2017年は大赤字を覚悟して、M社の取次として少量のユーザーで供給を始めてみました。本当に電気が届けられるのか、事務処理量はどの程度なのか、いろいろと確かめたかったからです。
しかし、2018年は黒字化に向けて一気に動かなければなりません。
目標は1000ユーザー、10MWの契約です。そのためには、人手も必要になります。儲かっていない(いやいや大赤字です)のに人員を増やすなという忠告は相当に受けました。でもそれでは目標達成は絶対にできないのです。
イージーパワーも初年度は大赤字でした。それでも発電を開始できれば黒字化すると読めていました。小売電気事業も同じで、黒字化できるレベルに到達させれば良いのです。
苦しい創成期を3年と置きました。その創成期に社員たちを無給で働かせるわけには行かないので「その期間」の運転資金を増資によって集めることにしました。増資はGPPからの公募増資となりますので、近日中にGPPのホームページ上に案内を出します。
倒産と廃業の相次ぐ小売電気事業ですから、正直とても危ない事業です。絶対儲かりまっせーみたいなことは言えません。電力システムというブラックボックスをこじ開けてみようという竹村の果敢なチャレンジを応援してやろうということであれば、少額で(万が一、戻ってこなくても大丈夫な程度で)ご協力ください。
では、本年もよろしくお願いいたします。
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