竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

いよいよ総選挙目前

2009年08月16日 | 政治
8月15日敗戦の日を過ぎ、いよいよ総選挙公示の18日が近づいてきた。
マスコミでは自民、民主の舌戦が連日流されている。しかし、自民の戦法は「責任力」というわけのわからない概念をふりかざすことで、民主党の政策の財源の不確定性、外交政策の不安定制、経済対策の欠如の三点をつくというもののようだ。

これに関連して、先週の日経新聞で「経済の麻生」という記事を読んだ。漢字が読めず失言を繰り返すことで、信頼を失い支持率を失った麻生総理であるが、この未曾有の金融危機に対し、きちんと株価を回復させ、経済も回復基調に乗せている。やっぱり「経済の麻生」だった、ということへの評価が低いのでは・・と。婉曲な麻生よいしょ記事である。

これに対し、今日のNHK日曜討論では、民主党岡田幹事長がうまく切り返していた。自民党の経済対策は「企業のための経済対策」で、企業は救うが国民は救わない。民主党の政策は、児童手当などで国民の生活を救うことで、内需を拡大し、ひいては経済を回復させる対策なのだと。

いま、金子勝の「閉塞経済ー金融資本主義のゆくえ」(ちくま新書)を読んでいるが、まさに同じことが書かれている。経済対策といっても、誰のため、何のためのというところが違うと、その対策はますます企業に富を集中させ、国民の中の格差を拡大させ、憲法25条が権利を保証した「最低限度の生活」すらできない人を増大させる。いまその数500万人ともいわれる。

マスコミは不思議と無批判に民主党の「子ども手当」や「高速道路無料化」、農業への「戸別所得補償制度」などをバラマキと書いている。自民党の言い方そのままである。バラマキというならば、麻生内閣の行った定額給付金がその最たるものだろう。2兆円も無計画に、富めるものにも貧しいものにもばらまいた。いや、住むところさえない、多くの本当の貧窮者にはこのお金は届いていない。

このほかにも、民主党の政策の中には、中小企業の法人税引き下げ、公立高校の無料化(私立高校の生徒のいる世帯には学費支援もあり)、介護労働者の賃金を現在より4万円引き上げるというものもあり、国民の負担の軽減という点では、大変良くできていると思う。

私の事業に関係するところでは、2020年までにCO2は25%削減(ちゃんと1990年比)という目標が掲げられ、そのために排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税の導入を検討となっている。「検討」というのが少々軟弱であるが。

総選挙後は、これらの政策が実施に移されるということになるはずだが(もちろん民主党が勝利して、ということだが)、じつはいろいろなところに自民党の爆弾が仕掛けられているように思う。

まずは経済である。国民生活から救済して行くということは重要なことだが、現在の経済状況の深刻さはそれだけで解決できるものとは思えない。単に売上が落ちているというのではなく、明らかにこの不況下でも伸びている業種、売上半減どころではない減り方をしている業種と、きわめて鮮明に色分けができるのが特長である。
つまり、単なる不況ではなく、消費構造の変化、それにともなう産業構造の変化が起こっている。これを従来のように、全ての事業を救うのだ、といって効果のないバラマキを繰り返してきたのが自民党の経済政策。もう10年も前から土建屋さん、建築業は多すぎることがはっきりしていた。でも国会議員(与党)のかなりを土建屋さんあるいはその代理人が占めているから、この業種を厳しい競争の中に放り込まず温存してきた。そのぶん不良債権は減るどころか、水面下で再生産される。

エネルギー業界もそうだ。10年後にいまと同じ石油業界や電力業界があるとは思えない。どういう産業を伸ばし、不要な産業をどういう業種転換して、国民の雇用を確保するのか。実は長期的な戦略が必要である。
自民党の爆弾というのは、いまの少しばかりの景気回復は見せかけで、この秋、さらに来年の春、もっと深刻な不況がやってくるのではという気もするからだ。売上が半減したような業種の下請け孫請けへの二次的影響が表れるのはこれからだからだ。驚くような倒産が来るかもしれない。たとえば電通が倒れる、みたいな。

いまは一服している石油の高騰は必ず再びやってくる。1バレル200ドル台の高値も不思議ではない。投機資金の影響もあるが、ベースには枯渇の問題があるのだから、これは今後周期的に現れてくる。そのときに1バレル100ドル台で事業計画を立てている電力や石油各社はどうなるのか。電力は、これまで意地になって資金を投入してきた原発が地震によって軒並み止まるという「必然の不幸」が待っている。10年以上前から指摘されているのに、軌道修正しなかったために、危うい崖っぷちを走っているような状態になってしまったのだ。

民主党がこのあたりの動きを読まないでいると、アメリカでオバマが共和党からプレゼントされたような、とんでもない危機が訪れる可能性がある。

もう一つは、自民党にも批判されている高速道路の無料化とがガソリン税等の暫定税率の廃止だ。地球温暖化対策に逆行する。こんなことをやっていると2020年に25%削減などとてもできない。これらの税を廃止して、これら以上に高い地球温暖化対策税をとるという作戦であるならわからないわけでもない。
ただ、国民にガソリンを使わせないようにするには、ガソリンを安くしてはダメだ。できる限り、早くエネルギー転換を勧め、ガソリン車を走らせる人は希少価値の趣味人のようにすることが望ましい。いまの「たばこ」のようにしてしまう。どうしても吸いたい人は、かつての3倍の値段を出しても買うのだ。
ほとんどの国民は電気自動車、ズーンというガソリンの排気音が楽しみたい人は、リッター500円くらいのガソリンを買ってねという具合だ。

最後の爆弾が選挙制度だ。
民主党のマニュフェストには国会議員の定数削減がある。国会議員に対する国民の風当たりを気にしてのものだが、ほとんど意味がない。国会議員を減らしても、金額にして数億、良くて数十億円。財源確保は兆単位でやらねばならないのに焼け石に水。いまはろくでもない議員ばかりが目立つので、「いらない」という意識もわからないではないが、基本的に半分は敵になる。何百人もの議員を政府側(内閣)に入れるという政策からすると、内閣をチェックする国会議員による審議そのものは手薄になる。何よりも、現在の選挙制度では、少数意見を入れた多様な意見が反映されないという小選挙区制の問題点が浮き彫りになっているが、この傾向がますます顕著になる。
ちょっとした国民の揺れで、また民主党は大敗というようなことも起こり、政権が安定しない。

選挙制度に関しては、私も関係する「平和への結集をめざす市民の風」では抗議声明も出して、賛同も募っている。
http://kaze.fm/wordpress/?p=276

私自身、政権交代を期待するものではあるが、問題のある政策には、きちんと批判と反論をして行くことが、民主主義を保証することであると思う。






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