昨日、いわゆる従軍慰安婦問題に対する橋下徹大阪市長(日本維新の会代表)の発言が大きく報じられた。
ひとことで言えば、「従軍慰安婦制度は必要悪」「いまの沖縄でも米軍は売春制度を使え」というもの。
いかに、昨日の東京新聞記事から発言要旨をひろう。
◇橋下氏発言要旨
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する発言は次の通り。
【午前】あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている猛者集団に休息を与えようとすると、慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる。
なぜ、日本の従軍慰安婦制度だけが取り上げられるのか。当時は世界各国が持っていた。ベトナム戦争でも朝鮮戦争でも制度としてあった。
韓国とかいろんなところが宣伝し、欧米社会に「日本はレイプ国家だ」とみられている。ただ、暴行、脅迫をして拉致した事実は裏付けられていない。
戦争の悲劇の結果なので、慰安婦になってしまった方には、心情を理解して優しく配慮していくことが必要だ。
【午後】軍を維持し、規律を保つために、当時は必要だった。国を挙げて暴行、脅迫、拉致をした証拠が出てくれば反省しなければいけないが(二〇〇七年に第一次安倍政権が)証拠はないと閣議決定している。
慰安婦制度は、今は認められないが、風俗業は必要だと思う。だから(大型連休初めに)沖縄に行った時(米軍の)司令官に会い「もっと風俗業を活用してほしい」と言った。
そしたら司令官は凍り付いたような苦笑いになって「米軍では禁止だ」と言った。「そういう建前みたいなことを言っているからおかしくなる」と伝えた。「そうしないと海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロールできない」とも伝えた。建前論だと人間社会は回らない。
元慰安婦の方が大阪市役所に来るときに、暴行、脅迫、拉致されたのかお聞かせ願いたい。(強制連行が)あるという話になれば、それを否定している人も文句を言わなくなる。
橋本市長にとって、女性は男のストレスのはけ口としか見えていないのだろうか。
米軍司令官ですら唖然としたこの発言に対しては、世界中から抗議の声が巻き起こっている。公職についている立場で、国際感覚では「公職追放」に値するという指摘もある。一方で「橋本市長発言にも一理あり」的な発言が一部、とくに「男」の間では聞こえてくる。
足を踏んでいる者は、踏まれている者の痛みはわからない!というが、この発言は社会の中に潜んでいた「鈍感さ」と「痛み」を顕在化させたようにも思う。
緑茶会が関係する、神奈川勝手連のMLでも、一人の男性の発言から議論が沸騰し、多くの女性たちが声を上げた。
その中で、とても胸を打ち心を動かされる文章があった。「拡散」をしたいとお願いしたら、ご本人が公開できるように少しの修正を加えて公開を承諾してくださったので、その文章をここに紹介したい。(ご本人のお名前も、匿名での批判はしたくない!というご希望であり、そのまま掲載しています。)
私自身は足を踏んでいる側(男)にいるわけで、痛みそのものを感じることは到底できないだろうが、その痛みを想起することを忘れることがないよう、つねに自分に言い聞かせて行きたい。
*************************************
5月13日、橋下徹大阪市長は従軍慰安婦制度について「当時は軍の規律を維持
するために必要だった」と言ったという。また、5月初めには、沖縄で、米軍幹
部に対し、海兵隊員に風俗業者を活用させるよう求め、「海兵隊の猛者の性的
エネルギーをコントロールできない」と伝えたと報じられた。この人は、自分の
人権問題を言いながら、他者の人権問題には容赦なく差別発言や弾圧行動をくり
かえす。怒り心頭、本当に許せない。
私は1歳から13歳まで横須賀で育ちました。朝鮮戦争が終了した頃でした。
学校は米軍基地に一番近い学校・長浦小学校。週3日、米軍基地のゲート前を
通り、横須賀中央にある進学塾通いをしていたので、ライフル銃をもってどぶ
板通りを闊歩する米軍のSPを日常的に目にしていました。そして、米兵に身
をまかせなければいけない女性たち、パンパン・オンリーと称された女性たち、
一緒に学んでいた国際児。戦後の貧困の中で、家族、兄妹のために身を売って
いた女性たち(長女が多いのです)の過去を、コミュニティは時が経過しても
忘れてくれません。戦後日本の犠牲になった女性たちに世間はいかに冷たいのか、
大人たちの発言から感じました。横須賀での思い出はたくさんありますが、自分の
国が占領されている屈辱と一番弱い女性と子供に矛盾が押しつけられているこ
とを身を持って知りました。
横須賀での体験もあったので、80年代はアジアの米軍基地、および米軍基
地があった場所を調査のために何回も訪れました。なかでも、フィリピンの
スービック海軍基地(1990年代初めに閉鎖)に隣接するオロンガポは基地の町、
米軍のR&Rの町でした。ここでは、米兵は横須賀や沖縄よりさらに安く女性
が買え、ビールが飲めるのです。海上の狭い船な中で、抑圧された日常のスト
レスを発散させる米兵の姿と薬ずけになり身を売るオロンガポの女性たち、
あの横須賀がそこにはありました。
この後、1987年から1994年まで、現地のNGOと連携して「オロンガポの
女たちと手を結ぶ会」を結成し支援運動をしていたので、オロンガポには10数回
行きいろいろな経験をしました。基地売春をしている女性の家にも1週間泊まら
せてもらいました。オロンガポでは、例えば、少女たちが監禁されその小さな女
性器の中にさまざまな異物が挿入されていたというような非道な事件がつぎつぎ
とおきました。
売買春は売る方も、そして買春においこまれる買う方も、人間としての尊厳を
踏みにじられた行為だということです。オロンガポや沖縄では米兵とも話をしま
したが、貧困家庭出身の彼らが軍隊というピラミッドの底辺でいかに抑圧され
ていて、その抑圧を女性たちにはきだしているかも知りました。米国の世界支配
の駒として使われている兵士たちをコントロールする手段としての基地買春はあ
ってはならないものです。
朝鮮半島から強制的につれてこられ買春を強要された従軍慰安婦、「敗者の
贈物」として国策で占領軍にさしだされた日本の女性たち、米軍基地が存在す
るところには必ずある基地買春、そして現在の日本のセックス産業。それぞれを
つきつめていくと、同根の構造が見えてきます。
橋下大阪市長のブレインだった、維新の会の国会議員・中田前横浜市長の女性
への差別もひどいものでした。このように人権意識の全くないリーダーたちに、
ひきいられている維新の会に政治的力をもたせたら、絶対にいけないと女性
として思います。
脱原発かながわ勝手連
遠野はるひ
ひとことで言えば、「従軍慰安婦制度は必要悪」「いまの沖縄でも米軍は売春制度を使え」というもの。
いかに、昨日の東京新聞記事から発言要旨をひろう。
◇橋下氏発言要旨
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する発言は次の通り。
【午前】あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている猛者集団に休息を与えようとすると、慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる。
なぜ、日本の従軍慰安婦制度だけが取り上げられるのか。当時は世界各国が持っていた。ベトナム戦争でも朝鮮戦争でも制度としてあった。
韓国とかいろんなところが宣伝し、欧米社会に「日本はレイプ国家だ」とみられている。ただ、暴行、脅迫をして拉致した事実は裏付けられていない。
戦争の悲劇の結果なので、慰安婦になってしまった方には、心情を理解して優しく配慮していくことが必要だ。
【午後】軍を維持し、規律を保つために、当時は必要だった。国を挙げて暴行、脅迫、拉致をした証拠が出てくれば反省しなければいけないが(二〇〇七年に第一次安倍政権が)証拠はないと閣議決定している。
慰安婦制度は、今は認められないが、風俗業は必要だと思う。だから(大型連休初めに)沖縄に行った時(米軍の)司令官に会い「もっと風俗業を活用してほしい」と言った。
そしたら司令官は凍り付いたような苦笑いになって「米軍では禁止だ」と言った。「そういう建前みたいなことを言っているからおかしくなる」と伝えた。「そうしないと海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロールできない」とも伝えた。建前論だと人間社会は回らない。
元慰安婦の方が大阪市役所に来るときに、暴行、脅迫、拉致されたのかお聞かせ願いたい。(強制連行が)あるという話になれば、それを否定している人も文句を言わなくなる。
橋本市長にとって、女性は男のストレスのはけ口としか見えていないのだろうか。
米軍司令官ですら唖然としたこの発言に対しては、世界中から抗議の声が巻き起こっている。公職についている立場で、国際感覚では「公職追放」に値するという指摘もある。一方で「橋本市長発言にも一理あり」的な発言が一部、とくに「男」の間では聞こえてくる。
足を踏んでいる者は、踏まれている者の痛みはわからない!というが、この発言は社会の中に潜んでいた「鈍感さ」と「痛み」を顕在化させたようにも思う。
緑茶会が関係する、神奈川勝手連のMLでも、一人の男性の発言から議論が沸騰し、多くの女性たちが声を上げた。
その中で、とても胸を打ち心を動かされる文章があった。「拡散」をしたいとお願いしたら、ご本人が公開できるように少しの修正を加えて公開を承諾してくださったので、その文章をここに紹介したい。(ご本人のお名前も、匿名での批判はしたくない!というご希望であり、そのまま掲載しています。)
私自身は足を踏んでいる側(男)にいるわけで、痛みそのものを感じることは到底できないだろうが、その痛みを想起することを忘れることがないよう、つねに自分に言い聞かせて行きたい。
*************************************
5月13日、橋下徹大阪市長は従軍慰安婦制度について「当時は軍の規律を維持
するために必要だった」と言ったという。また、5月初めには、沖縄で、米軍幹
部に対し、海兵隊員に風俗業者を活用させるよう求め、「海兵隊の猛者の性的
エネルギーをコントロールできない」と伝えたと報じられた。この人は、自分の
人権問題を言いながら、他者の人権問題には容赦なく差別発言や弾圧行動をくり
かえす。怒り心頭、本当に許せない。
私は1歳から13歳まで横須賀で育ちました。朝鮮戦争が終了した頃でした。
学校は米軍基地に一番近い学校・長浦小学校。週3日、米軍基地のゲート前を
通り、横須賀中央にある進学塾通いをしていたので、ライフル銃をもってどぶ
板通りを闊歩する米軍のSPを日常的に目にしていました。そして、米兵に身
をまかせなければいけない女性たち、パンパン・オンリーと称された女性たち、
一緒に学んでいた国際児。戦後の貧困の中で、家族、兄妹のために身を売って
いた女性たち(長女が多いのです)の過去を、コミュニティは時が経過しても
忘れてくれません。戦後日本の犠牲になった女性たちに世間はいかに冷たいのか、
大人たちの発言から感じました。横須賀での思い出はたくさんありますが、自分の
国が占領されている屈辱と一番弱い女性と子供に矛盾が押しつけられているこ
とを身を持って知りました。
横須賀での体験もあったので、80年代はアジアの米軍基地、および米軍基
地があった場所を調査のために何回も訪れました。なかでも、フィリピンの
スービック海軍基地(1990年代初めに閉鎖)に隣接するオロンガポは基地の町、
米軍のR&Rの町でした。ここでは、米兵は横須賀や沖縄よりさらに安く女性
が買え、ビールが飲めるのです。海上の狭い船な中で、抑圧された日常のスト
レスを発散させる米兵の姿と薬ずけになり身を売るオロンガポの女性たち、
あの横須賀がそこにはありました。
この後、1987年から1994年まで、現地のNGOと連携して「オロンガポの
女たちと手を結ぶ会」を結成し支援運動をしていたので、オロンガポには10数回
行きいろいろな経験をしました。基地売春をしている女性の家にも1週間泊まら
せてもらいました。オロンガポでは、例えば、少女たちが監禁されその小さな女
性器の中にさまざまな異物が挿入されていたというような非道な事件がつぎつぎ
とおきました。
売買春は売る方も、そして買春においこまれる買う方も、人間としての尊厳を
踏みにじられた行為だということです。オロンガポや沖縄では米兵とも話をしま
したが、貧困家庭出身の彼らが軍隊というピラミッドの底辺でいかに抑圧され
ていて、その抑圧を女性たちにはきだしているかも知りました。米国の世界支配
の駒として使われている兵士たちをコントロールする手段としての基地買春はあ
ってはならないものです。
朝鮮半島から強制的につれてこられ買春を強要された従軍慰安婦、「敗者の
贈物」として国策で占領軍にさしだされた日本の女性たち、米軍基地が存在す
るところには必ずある基地買春、そして現在の日本のセックス産業。それぞれを
つきつめていくと、同根の構造が見えてきます。
橋下大阪市長のブレインだった、維新の会の国会議員・中田前横浜市長の女性
への差別もひどいものでした。このように人権意識の全くないリーダーたちに、
ひきいられている維新の会に政治的力をもたせたら、絶対にいけないと女性
として思います。
脱原発かながわ勝手連
遠野はるひ
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