竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

07参議院選挙の考察・その1

2007年06月17日 | 追加カテゴリー

いよいよ参議院選挙が近づいてきました。今年の参議院選挙は、前にも書いたとおり、憲法がどうなるのか、とくに9条が書き換えられることになるのかが、実は決められてしまう選挙です。しかし、消えた年金問題や松岡農相自殺に象徴される政治と金問題で、支持率をすっかり失墜した安倍内閣の下で、参議院での与野党逆転がなるのか・・に大方の関心が移っています。

最大野党の民主党がもっと広範な支持を得ていれば、参議院での逆転は簡単だろうと思います。しかし実際には、失墜した自民党の支持率にいまだにダブルスコアで負けています。ざっと44対22というところでしょうか。

この大きな理由は、自民党と民主党に大きな政策の違いが見出せないということではないかと思います。国政という立場では、憲法や外交問題が重要な要素となりますが、自衛隊を正式な軍隊にして海外派兵したい自民党と、国連中心主義を柱に国連軍への参加も辞さないという構えの民主党では、そう大きな違いはありません。

民主党議員の大部分は基本的に改憲ですし、安倍改憲と一線を隠すのは「政治的戦略」に過ぎません。しかし、民主党支持者の中には、たくさんの護憲派や憲法9条堅持派がいますし、国会議員の中にもそれなりの数の改憲反対派がいます。

私はその比率が正しくどうなのかわかりませんが、相当にねじれていて、護憲の労働組合の人たちが、一生懸命改憲派議員の選挙をやっているという不思議な構造が、民主党の誕生以降の続いています。支持者が心のそこから、民主党を支持していない・・、そのことがダブルスコアの最大の原因かと思います。

もう一つの要素は政治と金の問題です。小沢さんはじめ元自民党の人たちがごっそりと民主党になっています。その政治資金の作り方、権力活用法は、基本的に自民党時代から変わっていないと思います。今回の政治資金規正法改正でも、与党案は5万円以上の寄付から公開というのに対し、民主党は1万円以上からというものでした。5万円と1万円にそんな違いはなく、なぜ1円から公開にできないのか・・と、これも以前に書きました。

基本的に自民党の亜流、本質的ではなくちょっとだけ改善・・これが民主党をして自民党とのダブルスコアをひっくり返せない大きな要因だと思います。この点が、今度の参議院選挙でドラスティックに変えられるかというと、私は望み薄だと思います。

したがって、有権者の票は散るのです。安倍総理が、参議院選挙の最大の焦点は憲法改正だとぶち上げたのは、そうなれば、護憲派の票は「より明確な」護憲である、共産党や社民党に流れると踏んだからだろうと思います。もちろん、彼にとって改憲が大きな目標であることは間違いありませんが、そのことを前面に出すことの計算があったわけです。

私は「平和への結集をめざす市民の風」という市民団体の事務局長でもあるのですが、社共中心の護憲勢力に投票を集中させるのか、それともまず政権交代を実現させるのかが、こういう市民団体の中でも議論になりました。民主党にとっては幸か不幸か、共産党も社民党もこの運動に冷ややかで、結局「平和共同候補」は実現できませんでした。おまけに、共同候補運動をめざしていた市民グループの中から、既成政党が共同できないのなら「自分たちで候補者を」と決意して確認団体立ち上げをはかった「9条ネット」まで、できてしまいました。

護憲勢力の票は割れ、憲法を守るために票を集めるという「護憲勢力の悲願」達成は、今回はありません。逆に社共は共倒れ、民主も選挙区では微妙なところで数万票が社共に食われ・・という具合で、もしかりに投票率が低いと、護憲勢力は激減、なおかつ与野党逆転もならずという最悪の結果もあり得る情勢が出現しています。

あのボロボロの安倍内閣をして、日本の対抗勢力は、まだこんな状態なのです。与野党逆転もならずというようなことになると、国民自身が選んだ結果ではありながら、結果に嫌気をさして、ますます「政治離れ」が進む。それは、改憲をめざす安倍政権にとっては、もっとも理想的な展開ということもできるのです。

私自身は、冒頭に述べましたように、民主党に何の幻想も抱いていないつもりです。しかし、大きな政治の流れの順番として、まず与野党実現、年金問題や政治と金問題をきちんと解決し、そして憲法問題にきちんと決着をつけるべきだと思います。

今回の選挙では民主党にダブルスコアをひっくり返してもらいたいものです。そのためには、消えた年金問題への国民の大きな怒りに、自身が水をさしたりすることがないように、残り少ない終盤国会で、変な妥協や、逆に審議拒否で議論を見えなくするような戦術を決して取らないで、安倍内閣の無知無能と強引さを際立たせて、これをひっくり返すには「国民の力」「有権者の力」が必要です・・と印象づける戦術を取ってもらいたいものだと思います。

個人的な役割としては、1人でも多くの「護憲派議員」を誕生させなければならないのですが、今回は比例区で社民・共産がそれぞれ2人程度、選挙区で東京、広島などで市民派無所属が議席を得るか否かという、とても厳しい選挙になることは目に見えています。

どういう考え方で投票したらよいのか・・悩みに悩んでいる人は、上記「市民の風」のサイトを訪問して一緒に考えてみてください。

http://kaze.fm/wordpress/


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