竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

いよいよ総選挙、国防軍・憲法改悪政権か脱原発政権か

2012年12月06日 | 原発
いよいよ衆議院総選挙がはじまった。12月4日に公示され12月16日投票である。昨年3月11日の東日本大震災と原発事故を経験した我が国において、どう考えても政治の焦点になるべきは「原発をどうするか」であるはずだった。ところが事故から1年8ヶ月、あれほどの大惨事を目撃したはずの日本国民の多くが「3.11はなかった」かのようなコメントをしている。事故はいまも日本経済にボディーブローを与え続けている。適切な対応をうてなければ、やがて日本がノックダウンするのだが、政治もマスコミ各社もそれに触れない。
一つでこうなるのだから、二つ目は何がなんでも阻止しなければならない。経済人ほどそう考えるのが普通だが、この国の経済界はあと三つでも四つでも怖くはないぞという人々でかためられているらしい。かくして経済問題が最重要、原発なんか小さなことだ・・というおかしな人が大手を振ってのし歩いている。

国防軍と憲法改悪への急展開
この「3.11の反動」のような空気の中で登場したのは、まず橋下維新だった。表向きは「脱原発」も標榜しつつ、民主もイヤ、自民に戻るのもイヤという人々の受け皿となり第三極を形成するかのように見えた。
対抗する自民党は、ハト派的雰囲気の谷垣総裁を切り捨てて、超タカ派の安倍晋三を新総裁に持ってきた。公然と自衛隊を国防軍にすると宣言し、憲法改悪(9条改悪)を主張する。にわかに、その自民党支持率が一番高いという。日本の有権者の意識は、本当にわからない。
その有権者の意識の変化を読んで、橋下維新は大博打を打った。石原新党との合体である。政策的には、ほとんど180度違う政党を吞み込むつもりで丸呑みした。そこで脱原発の衣もかなぐり捨てた。関西では絶大な強さを誇る維新も、東京ではそんなに支持される見込みがなかったからだろう。こうして、第三極は安倍晋三顔負けの「右寄り」タカ派路線に向かって行った。
これは、脱原発や平和を守るという心のある有権者にとっては良いことだった。維新に見切りを付けることができたから。ただ、問題は脱原発勢力が千路に乱れバラバラで選択肢がまとまっていないことだった。私は10月頃から「脱原発の大合流」を提案し、そのような市民の声がマスコミにも登場するようになった。

突然実現した脱原発の大合流
「脱原発の大合流」を呼びかけ、いくつかの政党とも話はしていたが、実際の受け止めとしてはとうてい無理な道だろうという感じだった。国民の生活の小沢代表が「オリーブの木」を提案し、七党による「国民連合」という会合が持たれていることは聞いていたが、そこに呼ばれることもなく、実際「茶飲み話だ」というような噂しか聞こえていなかった。
市民側が想定していたのは、みどりの風、国民の生活が第一、そして減税日本、新党日本、新党大地、社民党までもが加わる大きな勢力による「オリーブの木」だった。私はそれを「みどりの木」と呼んでいた。それができれば、民主党の中からさらに一団が飛び出して合流し、さらには民主党内菅グループとも連携し、総選挙後には最大勢力になる可能性もありと。
しかしそのためには、日本の選挙制度上は、政党を一度解党しなければならないという難問があった。新しい政党であれ、すでに有権者に慣れ親しまれている名前を変えて選挙に出ることはリスクである。
しかし、橋下維新が石原新党との合流で「脱原発」を手放したとき、間髪を入れずに嘉田滋賀県知事が「日本未来の党」の立ち上げを発表した。すぐに「国民の生活」の小沢代表、減税日本の山田代表などが「合流」を決定し、「みどりの風」も衆議院議員は「未来」で戦うことを決めた。不完全ではあるが私たちが訴えた「大合流」が実現することになったのである。「日本未来の党」の出現は、私たちの予想さえ乗り越えた、日本政治の中での画期的出来事だったのである。

これまでの作業が集積されている脱原発総選挙ページ
http://miraisenkyo.wordpress.com/

しかし、けして安楽な道ではなかった
11月27日「日本未来の党」は誕生した。公示日の1週間前である。それから「国民の生活」「減税日本」「みどりの風」などとの選挙区調整、立候補者の追加などが行われた。政策もまだ固まってはいなかった。正直な感想として、圧倒的に時間が足りなかったと思う。
嘉田知事は「卒原発」を訴え、11月30日には政策を訴えるホームページが立ちあがっていたが、その詳細はまだ有権者にはしっかり伝わってはいない。選挙対策の本部は選挙経験のある「国民の生活」に置かれたが、選挙区の調整、とくに比例ブロックの順位の取りまとめは遅れに遅れた。これがまとまったのは、公示日の届出時間ギリギリの17時近かった模様である。
私は翌日発表された比例区名簿を見て、その激しい水面下の攻防にあらためて驚いた。近畿比例ブロックの1位だったはずの福田依里子(みどりの風)が最後位の14位になっていた。このほかにも、選対の取りまとめをしている「国民の生活」の現職議員たちが軒並み比例順位の最後。身を捨てての取りまとめだったのだろうか。彼らの再選は、ほとんど難しいことになった。
「みどりの風」で南関東ブロック比例に立候補予定だった山崎誠は、急きょ予定しなかった選挙区からの立候補を求められ、古巣の神奈川8区ではなく、となりの神奈川7区で戦うことを選んだ。まったくのゼロからの出発である。
大合流としても完全ではない。「社民党」との合流はなく、「みんな」とも競合となる。これらは比例区選挙にはとても不利だ。一般的に比例ブロックでは10%で2人、5%で1人程度の当選者しか獲得できないからだ。「未来」単独の指示率は、まだ全国平均で5%にも届いていない。
(写真は山崎誠と嘉田代表)

社民党にとっては、もっと厳しい選挙に
その社民党には、「未来」の登場は実はとても厳しい逆風となった。もともと支持率は1%程度で比例ブロックでの議席獲得は難しい状態にあったところに、「未来」というほとんど政策が同じ対抗馬が登場した。議会内では共闘しましょうというのはきれいごとであって、選挙戦では熾烈な足の引っ張りあいになる。少なくとも小選挙区でのぶつかり合いだけでも避けねばならないが、長野5区では池田幸代があえて「未来」候補にぶつかった。
それでも「未来」候補の少ない中国、近畿ブロックなどでは社民党にも比例議席獲得の可能性があった。そこに、中国ブロックでは飯田哲也、近畿ブロックでは民主党からの離党組が「未来」で参入した。社民党中国ブロック比例の金子哲夫、同近畿ブロック比例の服部良一の二人の当選は、これで危うくなった。
二人とも脱原発にとって重要なキーパーソンであり、ぜひとも国会に戻ってほしいのだが・・・。

果たして脱原発政権は実現するか
大きな「未来」という流れはできた。しかし、「社民党」や「みどりの風」の候補者には厳しい選挙になっている。みんなで「未来」と書こうと大々的に応援することで、みどりの風を含む「未来」候補は浮かび上がれるかもしれないが、そのぶん社民党は沈む。中途半端は、どちらも失うという状況になってしまった。
しかし、各地で応援している人にとって、お世話になった議員に手のひらを返すようなことはできないだろう。山崎誠が、これまで自分を支持してくれた人々のいる神奈川8区から立候補する気になれなかったように、自らの身を切り刻むことになってもお世話になった社民党候補を応援する。それが脱原発の優しさなのであろう。それが「脱原発」の原動力でもあるのだろうと思う。
しかし残念だが、その優しさが、今回の選挙で大きな大敗北を招き寄せるかもしれない。冷徹な現実として言えば、「未来」の121人を全員当選させることに撤することの方が、脱原発政権実現には近づくのであるが、私自身そこに一歩が踏み出せない。

「脱原発つうしんぼ」と「脱原発基本法」
そして、私たちが各選挙区で有権者が脱原発総選挙議員を選ぶ手法として提案した「脱原発つうしんぼ」と「脱原発基本法」について最後にコメントしておこう。どちらも大変なエネルギーをかけて作成されたものだ。とくに「脱原発基本法」は、その立法過程で、小沢「国民の生活」と民主党内「ロードマップの会(菅グループ)」を結びつけた。決して同席しない、お互いに会わないという両者を片方は提案者、片方は賛同者として、舞台に登場させた。脱原発政権ができるとすれば、「未来」を中心とした勢力に、民主党内「菅グループ」がどういうスタンスを取るかによって決まる。「未来」「みんな」「菅グループ」でうまくして200議席以上になるようだと、脱原発政権は現実的になってくる。それは「未来」の卒原発のロードマップを実行に移し、脱原発基本法を成立させる政権ということである。
それに比べて「脱原発つうしんぼ」には大きな問題点があった。議員アンケートへの回答に点数をつける手法はわかりやすかったが、共産党が軒並み100点となったことである。投票を共産党に誘導するような結果になってしまった。しかし小選挙区制度のもとで、小選挙区で共産党が議席を得ることは難しい。比例ブロックでは、ある程度の成果を上げるかもしれないが、それも「未来」を中心に勢力をまとめようとするときには足を引っ張ることになる。
ちなみに共産党は脱原発基本法には賛成しておらず、これは再稼働を認める法律だというスタンスである。この設問を脱原発つうしんぼに組み込んでいれば、共産党に100点候補者は一人もいなかったことになる。
投票日まであと10日ばかりだが、皆さんの1票の参考にしていただきたい。

脱原発つうしんぼと脱原発基本法の回答を合体させた「総選挙でグッバイ原発」
http://vote4it.info/


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2 コメント

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無力な私の 意見を 貼り付けています (村石太ダー&コピペ星人&キンキュウジタイダー)
2012-12-08 19:48:29
TPPも消費税増税も 失業者ですね。
安倍トウシュ 外交とか 国防長官とか で お疲れすぎなのかなぁ
国税 県税 市税 歳出 歳入
国防軍 で プログ検索中です。
日本の防衛費については もう何十年前から 言われていますね。
しかし 敗戦国の日本で~パールハーバー~広島・長崎~
後 日本の庶民は あまり 世界の軍事関係に詳しくないし~
国防軍 と いきなり? 力を 入れすぎる?のも 恐ろしいというか?
世界が 平和で ありますように。
政治研究会(名前検討中
洋画 パールハーバー を 見ました。愕然としました。
ホタルの墓というアニメで 泣きました。映画でしか戦争を知らない私です。
思えば 明治 大正 生まれの方が この世界から いなくなってきていますね。シベリア 八甲田山~
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マッカーサー占領憲法 (憂国烈士)
2014-11-19 02:31:53
 >公然と自衛隊を国防軍にすると宣言し、憲法改悪(9条改悪)を主張する。にわかに、その自民党支持率が一番高いという。日本の有権者の意識は、本当にわからない。
 国防軍というものは世界中のどこの国にもあるものです。世界で唯一わが国だけが持ってはいけない、という主張を行うはのは、わが国の軍人のみが悪事を行うという誤った認識をもっているからです。そう、あなたは日本人を差別するレイシストです。われわれ自民党支持者は、いかなる差別にも反対です。だからアンタの考えは断じて間違っています。
 あ、そうそう、呼称にはこだわっていませんが。別に「国防軍」でなくとも、わが国軍が「人民解放軍」でも「人民武力省」でもいいのですよ(笑)。
 無辜の国民が外国で自由を奪われた際、国軍が奪還に行くのが世界の常識です。習志野の駐屯地では、精鋭たちが懸命の訓練を続けています。ですがそれを禁止しているのが、マッカーサー占領憲法の、あの唾棄すべき9条です。アンタは拉致被害者の人権に、ご家族の悲しみに全く頭が回らないのでしょうね。どうか人間として、当り前の感情を取り戻してください。そうすれば、あんな雑文憲法がいかに平和を脅かす代物か、数秒で分かるはずです。どうぞ今回の衆議院選挙では、わが自民党に投票してください。
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