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NHKの大河ドラマ『青天を衝け』が終わりましたね。
普通の大河ドラマは、中盤や終盤に差し掛かったところが物語のピークで、最後は
ややダレるのが定番です。
しかし今年の『青天を衝け』は、倒幕から徳川一橋家の家臣、さらに直参へ、日本から
パリへ。帰国後は明治新政府へ、そして民間で大実業家へと、渋沢栄一が歩を進めるごとに
盛り上がりました。
当然ここがピークと思っていたら、私にとっての最大の見どころは、最終回(41話)と
その前の週の40話の現役引退後の栄一の歩みでした。
40話の『栄一、海を越えて』では、実業界を引退した栄一が70歳を目前に、政府から
乞われて、全国の商業会議所会頭を率いて団長として訪米。
急速に悪化する日米関係改善のため、そしてアメリカが取った日系移民排斥運動の中止を
求めて、老体に鞭打って、全米60カ所の都市を訪問。
当時のタフト米国大統領も謁見するほどのもてなしでした。
番組では、排斥運動が最も盛んだったサンフランシスコでの演説の場面がありました。
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「日本人は敵ではありません。我々は、あなた方の友だ。日本人移民は、
役に立ちたいという覚悟をもってやってきたのです。それをどうか
憎まないでいただきたい。
互いが心を開き手を結びみなにとってうれしい世の中を作る。それを
世界の信条にしたい。私はあえて言いたい。NO WARだ。NO WARだ。
その心が広がりますように。」
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演説が終わると、激しく対立しているアメリカ人たちが立ち上がって拍手する。
感動的でした。
そして最終回「青春はつづく」。
満州事変勃発直前、豪雨で被害を受けた中国への募金活動を盛り上げるために、栄一に
白羽の矢が立ちました。 病床にいた栄一にどうしても手を貸して欲しいと、
栄一の自宅に中継機器を持ち込んで、栄一はラジオを通じて募金を呼びかけました。
この演説がまた素晴らしかった・・・ 栄一が亡くなる2か月前のことだそうです。
この二つの演説のシーンに、渋沢栄一の真価を見た気がします。
大隈重信が栄一に向かって、
「どうして政治家にならなかった?」
とこぼすシーンがありました。
もし、栄一が政治の道を歩んでいたら、日本はどうなっていたのか?
しかしその場合は、日本の実業界はどうなっていたんだろう?
もうひとり渋沢栄一が欲しかったな。
すばらしい大河ドラマでした。
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