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稲沢へ行く用があったので、荻須記念美術館を思い出して、帰りに立ち寄って
みました。
そしたら何と運のいいこと! 「没後20年展」が開かれていました。
ラッキー!
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もうずっと昔に一度訪れた記憶はありますが、「来た」ということ以外は何も
憶えていません。
建物は重厚で、エントランスもとても趣があります。いい感じです。
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荻須さんはパリを愛していたんですね。それも冬のどんよりした空の下のパリを。
錆付いていく石、壁の描き方が何ともステキです。
90点あまりもの作品が展示されていましたが、私が一番気に入ったのが、この
『洗濯場(オーベルヴィリエ)』でした。
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荻須さんの絵は、「どんよりした冬の空」のパリだから、地味な色使いが多い
ようですが、この絵は比較的明るい色調です。でも「錆付いていく石、壁」の
風合いはしっかり表現されている。中央やや左上に描かれているフランス国旗
もいいですね。
ちょっと小さな展示室に入ると、周囲を荻須さんの絵に囲まれ、まるで自分が
1930年代のパリの街角に佇んでいるような錯覚に陥るほどです。
こんなにすばらしい展覧会なのに、来場者は数えるほどしかいない。
何て贅沢な鑑賞でしょう!
裏に再現されている荻須さんのパリ時代のアトリエ。あんなところで創作活動
していたんですね。
そして荻須さんを紹介したビデオも観ました。
荻須さんが実際にキャンバスに向かって描いている場面がありましたが、
ビックリしました。
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絵の具を混ぜる様子、筆で色を付ける様子。初めて観ましたが、その迫力、
スピード、タッチ。驚きでした。目つきも鋭く、まさに獲物を狙うタカの目って
いう雰囲気でした。
美術館の周りも公園になっていて、すばらしい環境です。
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ものすごく得した、満たされた気分をたっぷり味わえました。
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12月17日までの特設展です、出かけてみて下さい。
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裏の小さな公園もステキでした。
後でツノ坊と話していたのですが、
「あの公園の芝生に座って、コンビニ弁当でも
買ってランチするのが一番だったね」
と二人して悔しがりました。
でも芸術の秋を満喫しました。
美術には自信があったのに、世の中が(美術の先生が)評価してくれず、村瀬くん同様悪い成績だった私ですが、自分が気に入れば、それがいい絵だと
勝手に思っています。
秋をじゅうぶん堪能できそうですね