磯輪日記

世界の段ボールビトを幸せに!
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世界一社風のいい会社を目指しています。

想いを込める

2015年03月30日 20時50分09秒 | オフ・タイム

もう一日、『マッサン』の話です。
それは、モノづくりに携わる者として強烈に心に残る場面でした。


戦争から帰ってきたマッサンの甥が、ウイスキーとは似ても似つかぬ
三級酒が横行している風潮を嘆くマッサンに、



 「酒に…本物も偽物もなぁでしょう。
  祖国に着いて、何年ぶりに酒を飲んだ。うまかった。涙が出た。
  その酒を…叔父さんは偽物じゃ言うた!

  本物って何ですか!?わしにとっちゃあの三級の酒が本物じゃ!

  偉そうなこと言うて高い酒造っても今の日本人は誰も飲めん!
  飲めん酒なんぼ造っても、そりゃ造っとらんのと同じことじゃ!」

と心の叫びをぶつける。

それを聞いたマッサン、

 「わしゃこの国に…新しいウイスキーの時代が来ることを信じて、
  やり続けてきた。これからも今までどおり、本場に負けん
  美味いウイスキーを造り続ける。
  じゃけど…大事なことを忘れとった。

  命の水じゃ。ウイスキーの語源はゲール語の命の水に由来するんじゃ。

  わしゃこれまで三級酒はウイスキーじゃなぁ思うとった。
  じゃけど…悟の話を聞いてよう分かった。命の水に本物も偽物もなぁ。
  一級も二級も三級品もなぁんじゃ。

  みんなに飲んでもらえる安うてうまいウイスキーを造るために、
  わしゃ…これから頑張る」


でも、安くても、香料も着色料も一切使わない美味しい三級ウイスキーづくりは
難航を極めます。

そんな時、北海道を訪ねてきた、代々造り酒屋を営んでいるマッサンのお父
さんが、



 「一つ言えるとすりゃ肝をつかむんじゃ。
  わしゃ、ウイスキーの事はさっぱり分からんが味も色も香りも
  全部いっぺんに何とかしよう思わんで、まず、肝を決めて、
  それをつかむんじゃ。
  
  わしの場合は米じゃった。

  その米を、肝に据えたんじゃ。この米の良さを最大限に生かせる
  麹はどれじゃいうて。改めて麹を探し始めたんじゃ」(笑)


このアドバイスをもとに、マッサンは三級ウイスキーの肝になる、原酒を
ブレンドする時にその中心に据える原酒、つまりキーモルトを探し始め
ました。


そうしてついに香料も着色料も一切使わない、安いけど美味しい三級ウイスキー
を完成させ、社運を懸けた、試飲会を開く事になりました。

そこに、オール巨人演じる大阪の百貨店の社長が登場します。この社長、
以前マッサンが作ったウイスキーを酷評した人です。

ひと口飲んだ澤田は、



 「あんた…変わったな。

  前にあんたの造った酒を飲んだ時には、この酒を造った人間は
  独り善がりやなと思うた。日本で初めてウイスキーを造った事
  自体に酔うとるなとそう感じたわ。
  せやけど、これは違うな。この酒は…伝える酒や。
  あんた、造る時にお客さんの顔を見ようとしたやろ?
  伝えたい思いを込めたやろ?」

 「うまいわ!はっきり言うて今の日本にこれだけうまい三級
  ウイスキーは他にはない。

  このメイド・イン。ジャパンはな、きっと時代を変える。
  あんた…新しい時代作ってしもうたな」




これにはマッサンも大喜び。
しかしそれで満足してしまうマッサンではありませんでした。


 「ありがとうございます。
  じゃけど…わしゃ、これでは終わりません。
  この三級ウイスキーは、わしにとっても、この国にとっても
  一つの通過点です。いつかわしゃこの日本に…本物のウイスキーの
  時代を作ってみせます。その日が来るまで…わしゃ絶対諦めません!」


作り手がつくりたいものをつくり、自分ひとり満足してしまう。
ありがちな姿勢です。

しかし『命の水』というウイスキーの原点に立ち返って、新しい時代を
切り拓く三級酒を作った。

かと言って、それで満足することなど決してなく、将来の日本の復興を
信じて、いつか来るその時に求められる次のなるウイスキーの開発を
目指す。


『i機』づくりを目指す我々ISOWAにとって、忘れちゃいけない
ことだと感じたので、もう1回『マッサン』ネタとなりました。



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2 コメント

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ふと思ったのは (Kevin)
2015-04-09 14:04:33
マッサンには、Marketingという概念が当初は無かったんでしょうね。

返信する
それに反して (磯輪)
2015-04-09 19:50:13
 kevinさん

そうですね。最後になって、やっとマーケティングに覚醒した
ってことでしょうね。

それに反して、鴨居の大将は最初からマーケティング。

対照的でしたね。
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