久々に行列してでも歓迎

ひとみの大学の同級生のはるちゃんが東京から一泊二日で遊びに
来てくれました。

大学に入学して一番最初に仲良くなったクラスメートで、テニス
部のキャプテンを務めたり、書道のとっても大きな大会で大きな
賞を取ったり。先日、ツノ坊も東京の展示会で彼女の表彰作品を
鑑賞してきたくらいですから。

就職に際しても、ひとみ経由でアドバイスを求められましたが、
その甲斐あって（と勝手に自分でそう思ってる）無事内定。
うれしいです。

そして何より、母娘で『磯輪日記』の熱心な読者とのこと。
はるちゃんのお母さんとは会ったことはありませんが、『磯輪
日記』の読者に悪い人はいませんから。


二日間、ひとみと遊び回って、最後は名古屋名物のひつまぶしを
ご馳走することに。

お店選び。アレコレ悩んだ挙句、浄心のしら河に決定。予約が
できるか電話で確認したら、

　「（土用の丑の）今の時期はちょっと無理です」

ということで、混雑を避けようと、相当時間をずらして、２時頃
店に向かうと・・・　　まだ、お店の前に大勢の人が右往左往して
います・・・　　

　「甘かった・・・」

駐車場整理のお兄ちゃんに、

　「すごいね」

と声掛けると、

　「そうですね、土用の丑の時期ですから。
　　それに明日から値上するので、それもあるかもしれません」

よりによって、大変な日に来てしまった・・・　

早速、店の外に用意してあるリストに名前を書くも、その時点で、
ウエイティングらしき名前が、我々の前に３０組くらいズラ～っと
並んでいます。

店の外には、待っているお客さん用のイスが２０脚くらいあり、
待っている人の熱中症対策か、ウォタークーラーに紙コップ。
新聞、雑誌はもちろん、さらには待ってる子どもが飽きないように、
大小のボールやミニテニスのラケットなど、遊具まで準備されて
います。

ここでハタと考えました。

　「待つ、待たない以前に、今２時で、お昼の営業時間が
　　２時半だから、こんなに待ってる人がいたら、営業
　　時間が終わってしまって、待ってても食べられない
　　んじゃないの？」

心配して、外で人員整理しているお店の人に聞いてみたら、

　「夜はそうはいきませんが、昼は待って頂けるお客様は
　　時間が過ぎても、必ず召し上がって頂けるように
　　しています。

　　たくさんお待ちのお客様の名前がありますが、諦めて
　　帰ってしまったお客様も結構いらっしゃいますから」


私たちだけなら、絶対に引き上げていましたが、はるちゃんは
今日しかひつまぶし食べられないので、ここは行列してでも
歓迎することに意を決し、店の外に並べられた丸イスに腰掛け
ました。

時々、店の中から店員さんが出てきて、

　「橋本さん？」

とか、

　「中島さん？」

とお客さんの名前を呼びますが、確かに返事が無い人がいて、
飛ばされる組がかなりいます。シメシメ

こうして２０分ほどした頃でしょうか、「磯輪さ～ん」という
天使の声が聞こえました。

元気いっぱい「ハイ！」と返事をすると、

　「どうぞ」

大喜び したら、その後、

　「中でお待ち下さい」

と続きます。

まだ、席へは案内してもらえないんですね。
お店の外で待つところから、お店の中で待つクラスに一段
アップしただけなんです・・・　

お店の中に入ってみると、結構待ってる人がいるんですよ、
これが。天使の声もぬか喜びに終わってしまいました。

本物の、つまりきちんとした待合スペース以外にも、レジ、
入り口の付近には臨時の待合用のイスが用意されています。

ここに座ってみて、店内を観察していたら、レジの裏に
エレベーターがあって、その前にもイスが隠れていました。

思わず、レジのおばちゃんに、

　「こんなところにもイスがあるんですね。
　　ひょっとしてエレベータの中にもイスがあったり
　　して」

ま、こんな冗談が言えるくらいですから、まだ私には余裕が
ありましたね。
それは、どの店員さんも、とても感じがいいんです。
笑顔で、かつ「長くお待たせして申し訳ありません」という
気持ちがちょっとしたひと言や態度に表れているからです。


本棚に用意してあった、以前私も取り上げてもらった『跡継ぎの平成』
というシリーズ本があったので、知ってる仲間を探しては
目を通したり、メニューを事前に研究したりして、何とか
さらに２０分ほどでしょうか、時間をつぶしました。

すると、「磯輪さ～ん」という二度目の天使の声が。
天使の声って言っても、実は二度とも、同じおっちゃんが
呼んでるんですけどね。


待った甲斐があり、すてきな掘りごたつの個室に案内され
ました。

案内してくれたおばちゃんに、

　「すごく混んでますね～」

と言うと、

　「でもお客さん、今日はまだ５０名くらいしか並んで
　　いないから、いい方ですよ。
　　普通は１００人くらい並びますから」

　「・・・」

これじゃあ、うなぎを食べて精を付けるどころか、うなぎに
ありつく前にダウンしちゃうな～　


久し振りのしら河のひつまぶしでしたが、ツノ坊もひとみも、

　「ここの美味しい」

確かに、うなぎは表面がカリっとしているのに、中はフワフワで、
薬味のわさびは本わさびをすり下ろしたようだし、山椒も香りが
いい。

３つのパターンという正統的なひつまぶしの食し方を試した
はるちゃんは、

　「おいしいです。うなぎが蒸してないんですね。
　　私は、薬味で食べるのが一番気に入りました」


熱中症のリスクを恐れず、かつ『行列して長時間待つ』という
修行にも耐え、ここまでたどり着いたけど、このひと言ですべてが
救われた。アーメン。


二日間、はるちゃんを観察させてもらったけど、

　「なるほど、確かに、ひとみが仲良くなるタイプの子
　　だな～」

と感じました。もちろんいい意味でだからね　＞はるちゃん


こんな一家ですが、よければまたいつでも遊びに来てね。
歓迎します。

ただ・・・、今度は土用の丑の時期は避けて欲しいような・・・


お母さんにもよろしくね。