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『中原の虹』の続編としてのこの作品。
『中原の虹』で語られるのかと思っていた張作霖(チャン・ゾウリン)
爆殺の様子。
しかしその手前で、尻切れトンボ的に終わってしまい、消化不良の
私としては読まずにはいられなかったこの作品。
ある軍人が昭和天皇の密使として爆殺事件の真相調査にあたり、それを
書簡として天皇に定期的に送るという何だかとても信じられない展開。
おまけに、李鴻章(リイホンチャン)が西太后(シータイホウ)に
プレゼントして、たった一度だけ利用して、そのまま長年放置されていた
本家のイギリス女王用列車よりはるかに豪華なイギリス製機関車 『鋼鉄の
公爵(アイアン・デューク)』号が、まるで機関車トーマスの様にしゃべる。
このモノローグや対話が、上記の調査レポートと交互に現れる。
語られていることはきちんと史実調査がベースになっているので、
興味深くはあるんですが、いかんせんその表現方法が突拍子も無いスタイル
なので、小説の品格が損なわれているような気がしてしまいます。
ストーリー構成の深さも、今ひとつだな~
それに日本陸軍軍人が天皇陛下に報告したレポートという形をとって
いるので、これまでず~っと中国読みで通してきた登場人物の名前が
今回はすっかり日本語読みとなっていて、せっかく努力して憶えて
きたものがどこかへ飛んでしまったような気がして、せっかく中国
大陸に想いを馳せてきたのが、急に色褪せてしまいました。
期待が大きかっただけに、残念な結果でした・・・
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