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お盆の頃読んだ、大学時代の自動車部の同期 及川が書いた『英霊ズ、カミン』。
初めて、電子ブックとして読んだという意味でも、とても印象深い本でした。
その後、及川は心臓バイパス手術を受け、見事、シャバへカムパック。
半月ほど前には、彼の復帰を祝う会を同期で盛大に行ったばかりです。
その時に話題になった、彼の別の一冊『キョースケは、北へ。』
なぜ話題になるかというと、私も知らなかったんですが、彼の学生時代の
北海道へのバイクでの放浪の旅がテーマになった、セミ・ノン・フィクション
(?)自叙伝で、そこに我われ体育会系自動車部のメンバーも登場しているんだ
そうです。
おまけに後輩のKによれば、
「磯輪さんもちゃんと登場してるしね」笑
え、そうなの? オレも登場してるの?
ということで、早く読まなきゃと思い、これまたキンドル版(っていうか
キンドル版しか出てないけど 笑)をアマゾンで購入したのですが、なか
なか読む時間がありませんでした。
でも今回の東京、長崎、ついでにオランダ(笑)の出張時に、新幹線や
飛行機、ホテルでの時間を利用して読んでみました。
時は、1977年、我われが大学4年生の6月。
「このままずるずると、ふつーに社会人になって生きてくことが」
「なんだかイヤになっちゃった」キョースケ(=及川)は愛車のカワサキ
KH250で日本一周放浪ツーリングにでました。
まず目指したのが、北、つまり北海道。
走っては、野宿して、また走って、たまには豪華にユースホステルで泊まり、
金がなくなるとあちこちでバイトしては、また走り出す。
そんなことを繰り返し、いろんな人と出会い、そこから自分の生き方を
見つめ直す。
そんなストーリーなんだけど、キョースケ(及川)から1ヶ月ほど遅れで
始まった 我々自動車部の夏休み恒例の重要な行事である夏の遠征旅行の行く先も
この年は偶然同じ北海道でした。
「一年生の新入社員を連れて遠出をし、途中で運転技術を教え
ながら、夜は体育会に相応しい結束を固めるため『ドンチャン
騒ぎ』を繰り広げる」
大切な行事です。
遠征の指導役は3年生だったけど、4年生の私も参加してたんです。
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ちょうど及川が北海道で居候しているので、彼の様子をチェックしに行こう
ということになって、彼がアルバイトしていた層雲峡の土産物屋をみんなで
訪ねていったんだけど、そのことが小説の中で書いてあるんです!
層雲峡でキョースケと自動車部のメンバーが再会した場面、一体どんな風に
描かれていて、私はどう登場するんだろうと、胸を躍らせて読みました。
以下、その場面を引用しますので、みなさんも、ぜひ心して読んで下さい。いざ!
一年後輩で例のブロッコリー乗りの小井戸(実名は小出)が
まず気がついた。
「わ! キョースケ先輩!」
その素っ頓狂な声に、自動車部全員が振り返る。ほとんどが
二年生、一年生で、僕などあまり言葉を交わしたことのない
奴までいる。きっと僕が旅に出た後、この夏休みまでに入部
した新人だろう。皆、呆気にとられたように、ポカンと口を
開けて立ち尽くしている。
遠征の指導役は小井戸たち三年生で、
「こりゃ先輩、お懐かしい!」
などと大はしゃぎである。しかし、それに混じって同期の
四年生の姿までチラホラ見えるのは、どうしてだろう。こら、
お前たち一体どういう了見だ?
「キョースケ、おみゃーさん、そんなカッコで何やっと
りゃーす?」
そういう磯辺(実名誰だろう・・・?)こそ、何やってんだよ、
純正名古屋弁丸出しで。
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これかよ、オレ・・・ メチャ、ショック!
初の小説登場と期待に胸膨らませて、大枚390円払ってダウンロードして、
読んだのに・・・
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早速、ツノ坊にも読ませましたが、大喜びです。
で、後にも先にも、登場場面はこれだけ・・・
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アイヌの法被姿の僕を真ん中に、総勢十八名の自動車部遠征組は、
タックのシャッターで記念写真に納まったのであった。この写真は
恥ずかしくも、その後長きに渡って、数々の入賞や優勝の賞状と
共に我が部室の壁を飾ることになる。
その後、こんな一文があった。
これ読んで思い出しました。
「確か、この写真持ってるはず」
早速、大学時代のアルバムをめくってみると、ありました、ありました。
これがまさにその記念写真です。
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ついでに私もお色直しして、
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自分の人生のひとコマとその時を写した写真が残っている中、それが小説の一節と
なって活字として蘇り、そのまま後世に残るなんて、なんて素敵でしょう。
(登場の仕方はとても不本意だけど 笑)
ありがとう、及川。
小説での登場はこれだけでしたが、実際には、その後も我われの遠征は続きました。
ということで、最後に、もう一枚、35年以上前の若かりし頃の私。
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自動車部のメンバーと一緒に稚内から礼文島に渡るフェリーで撮ってもらった写真。
今と変わらず痩せてるでしょ。
自由奔放、好き放題に生きていたあの頃、本当に楽しかったな~
青春時代の一コマでした。
いや、いや、登場させてもらって、光栄でした。
次作を楽しみにしてるよ。