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何かで紹介されていた書評が気になって、読んでみました。
なぜか、主人公、保科正行が、私の好きな上杉鷹山と同じように書評で紹介されていたことと、
そもそも保科正行という人物をあまり知らなかったので、もうちょっと知ってみたくなった
ためです。
江戸幕府三代将軍徳川家光の異母弟で、初代松平家藩主。家光と四代将軍の家綱が最も信頼した
人物です。
こう書くと、何の不自由もないお大名と思いますが、どうして、どうして。
父である二代将軍秀忠が正室お江与が怖く、一実子として認知せず、信州高遠の保科家へ引き取られ、
その後、生涯父秀忠と一度たりともお目通り叶いませんでした。
文庫本700ページの内、主人公が生まれるまでに、正行の母(秀忠の側室)の生い立ちと、
お江与のおどろおどろしいいじめに、100ページが割かれています。これがちょっと多過ぎた・・・
そこから正之が江戸幕府にデビューするまで、さらに150ページ。
しかし家光に取り立てられてからの活躍は、家光への恩に報いるために、ひたすら励みます。
正行の業績は、それまでの武断政治から、文治・人本政治へと江戸幕府を転換させたことです。
そこには、自分の母の悲しい生い立ちが背景にあり、弱者、民百姓にやさしい政治でした。
著者である中村彰彦さんは、歴史に埋もれた人物に小説によって光を当てることをライフワーク
としていますが、そのハイライトが保科正行だと言っています。
私も、保科正行という名君に触れることができました。
ありがとうございました。
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