よんたまな日々

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ゴジラの向かう先

2016年08月07日 | 日々徒然

シンゴジラを見ました。ネタバレしますので、未見の方、一度映画館に足を運んで
から、以下の記事をご覧ください。

少し改行しておきます。

















これは他人の受け売りですが、初代ゴジラは、「原爆で傷ついて、さらにビキニの実験で、二度にわたって被ばくすることになった日本人の恨みが結集したもの」
らしいです。(すいません、複数の人の記事を自分の言葉で勝手にダイジェストしており、どこかからの正確な引用ではありません。また、私の生まれる前の時代の話なので、残念ながら時代性を共有しておりません。)

原爆で痛めつけられ、南の島で無為な死を遂げた日本軍の兵士や、南の島で被ばくしながら誰にも文句を言わずに逃げ帰ってきた漁師たちの恨みを代弁すべく、初代ゴジラは、東京の真ん中にある聖域を目指して、南方の海からやってきます。

シンゴジラを見る前は、「なぜ、今頃、ゴジラ!?」と思ったのですが、見て深く納得しました。我々は(と、あえて広い主語を設定します)、福島の3.11 で深く傷ついていたのですね。
何に傷ついていたか?過去に3回の被爆経験があるにもかかわらず、原発を推進し、東海村の事故、そして、スリーマイル、チェルノブイリに続いて、よりによって、技術立国日本で、あの3.11 の事故を起こしたことに。

さらに時の政権は、その後の愚かな対応と、メルトダウン隠しによって、自分たちが原発をハンドリングする能力がないことを全世界に見せつけてしまったことに。

南の島からまっすぐ東京を目指すシンゴジラは、なぜ3.11 を引き起こすような愚かな政権を選んでしまったのかという、自分たちへの怒りを代行しています。
世界最初の被爆国になり、さらにビキニで傷ついた初代ゴジラが、それらの責任を負うべき大手町(あえて霞が関と書いていません)を目指したように、
再び、自分たちの責任で被ばくしてしまった怒りを込めて、シンゴジラも再び、羽田沖から、あるいは鎌倉から、大手町を目指します。

シンゴジラが自ら進化するのもむべなるかな。かの生物は今や平和利用とCO2削減の大きな希望になっていたのですから。初代が爆発して暴れるだけだったのに、かの生物はまるで従順な家畜のふりをしながら、身の内にその破壊性を隠していたのですから。

目的地まであとわずか1km の東京駅でシンゴジラは、今度こそ、日本人の正しいメンバーによって凍結されます。
僕たちは、正しい選択と世界からの理解を得れれば、あのような悲劇を引き起こすことはないのだというメッセージこそ、3.11後を生きる僕たちが無意識に求めていたのかもしれません。

ただし、残念ながら、シンゴジラを倒したライトスタッフが選ばれた手段は、民主主義の否定としか思えないですけどね。
最初の政府がシンゴジラによって壊滅させられるところは、おそらく皆さん快哉を叫ぶところでしょう。初代ゴジラが国会議事堂を破壊した際に、快哉を叫んだように。
でも、あれが僕たちが選んだ政権じゃなかったでしたっけ?

ウルトラマンが自力で問題を解決できなかった日本人の自虐ネタであるように、今回のシンゴジラも、見終わったあと冷静に考えると悲しい映画だねと、僕は思いました。


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