この本、読みました。
中野信子さんは、英雄たちの選択で、過去の歴史的な選択の背景を脳科学の立場からコメントされていて、独自の切り口が非常に面白い。
一方、ヤマザキマリさんは、テルマエロマエの原作者として有名ですが、コロナ禍でテレビ露出が増え、特に「所さん大変ですよ」のコメンテーターとして、イタリア人との国際結婚の経験から、日本の常識に対する客観的コメントが興味深かった人。
この二人が、最近の暴走・炎上するネット界隈を「生贄探し」というタイトルでぶった斬るので、面白くない筈がなかろうと読み始めました。
ところが‥
を読み終えた後だったので、哲学的な深さという点で、全くお呼びもつかない。
この本で、「格差が問題ではなく、貧困が問題なのだ」「貧困に陥った人を自己責任論で切り捨てるのは、結果論に過ぎない」「上流階層に属する人を、優れた能力や環境の結果だと考えるのも、同じく結果論」と認識したので(その理解が誤読かもしれませんが。)、「生贄探し」からは、それ以上の何か新しい情報を読み取ることはできなかった。
スパイト行動というのがありまして、
生贄探しでもスパイト行動として、紹介されていますが、そういう狭量さ、不寛容さを責めているだけで、解決策に結び付かないのが、全くもどかしい読書体験でした。
あくまでもリベラルの理想を述べた本と思われ、これだとリベラルの罪にまで踏み込んでおらず、もっと先に進んで欲しいというのが、同じくリベラルに属していて、リベラルの理想への道がちっとも進まないことに苛立っている身としては、不満。
貴女達の意見は正論で合っているのに、なぜ世間はそちらに行かないのでしょうか。
正直、残念な本だと思いました。
寧ろ、今読んでいる小説の方に何か答えがありそう。
引き続き、こういうテーマで読み続けておりますので、続きをお楽しみに。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます