よんたまな日々

サッカーとゲームと本とおいしい食べ物

緑の中を走り続けた

2006年09月05日 | 日々徒然
今日は、仕事で、兵庫県の日本海側のとある温泉町に出張で行ってきた。
まずは、朝7時半のスーパーはくと1号に乗り鳥取へ。
姫路を過ぎたあたりから、強烈な雨になった。播州赤穂から播但線に入り、中国山地を縦断にかかる。
中国山地は、山容が穏やかで、川幅が広いので、高地を走っていても、あまり山の中という感じがしないのが面白い。
川によって抉られた谷沿いに走って行くと、同じく川に沿って国道が走っていて、時折谷間に寄り添うように小さな集落がある。線路は時に高く集落を見下ろしながら、時に低く川面に触れなんばかりに続いている。
雨に打たれて、緑が深い色になり、その緑が延々と続いている様を眺めているうちに、幼い頃に過ごしていた奈良に戻ったような気持ちになってくる。あの頃は、どこまでも連なる深い緑が怖いような感じがして、一人で町の裏山の奥に入っていくのはためらわれた。
そういう幼い記憶を弄んでいるうちに、柔らかなまどろみに捕らわれていた。

ふと窓の外が明るくなって、目を上げると、薄曇の空の下に、秋の日本海が白く波頭を立てて広がっていた。そして、その入江に向かって長く港町が伸びている。まるで灰色の雲に押し潰されるように固まっている集落を見て、そこに住んでいる人の暮らしに思いを馳せているうちに、都会でじたばたしている自分の悩みがとても小さいものに思えてきた。

自然を相手にしていると、やはりある種の諦念を心のうちに抱くようになるのだろうか。世間という言葉で自らの世界を狭めて生きている両親の顔を思い出しながら、僕は自分の世界をどんどん広げてきたと思ってきた。そういう慌しい世界に疲れている自分が、学生の頃は疎ましいと思っていた自分の田舎に似た景色を見て、こんなに癒されているなんて、皮肉なことだと思いながら、ひたすら緑の世界が流れていく窓外を見つめ続けていた。


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