このところ早朝6:30にバイクの音で目が覚める。
通勤にバイクを使い始めたのだろう。下のガレージから軽やかなセルモーターの音が立ち昇ってくる。
朝日を受けて下のガレージから2人乗りで出発するバイク。(南のベランダから撮影)
我が家は日本式に言えば4階だが、裏側は5階の高さがある。玄関横から急勾配の坂道を下れば裏手には棟割り10軒のガレージがある。その内の一軒の持ち主が最近バイクを購入したのだろう。クルマからバイクに乗り換えたのか、或いはクルマは路上に駐車してガレージはバイク用に使い始めたのかもしれない。
スマホの目覚ましが鳴る前にバイクの音で目が覚める。いや、以前から目覚ましが鳴る前にメルローの歌声で目が覚めていたのだが、バイクの音がそれに加わった。
決して騒音という訳ではなく心地よいセルモーター音だ。
休日には後ろに奥さんを乗せて出かける。いや、知らないが、たぶん奥さんだろう。
隣の棟の玄関先にも3台ものバイクが駐車されている。これも最近だ。
隣棟の玄関先に駐車してある2台のバイク(北のベランダから撮影)
そういえばポルトガルではこのところバイクが増えているような気がする。それも大型の高級車ばかりが目立つ。
国道10号線を走っていても多くのバイクが追い越してゆく。
自転車も増えているのだが、バイクも増えている。
自転車は僕の方が追い越すのだがバイクは僕を追い越してゆく。
先日はポルトガルテレビで北のシャーベスから南のアルガルヴェまで数百台ものバイクが何かを訴えながら走破するニュースがあった。その肝心の訴えは何かを忘れてしまった。
毎年、アルガルヴェには全国から或いはスペインやドイツあたりからも数千台のバイクが集結して話題になる。
クリスマス時期にはサンタクロースの衣装を着たバイク数百台が我が家の下のノッサ・セニョーラ・ド・カルモ通りにも姿を見せる。
昨日も隣のホテルから9台のバイクが出発していた。何処から来たのか、どこまで行くのかは知らないが本格的ないでたちで、その内の3台は2人乗りであった。
朝日を背にホテルを出発する4台のバイク(2023年7月1日8:30北のベランダから撮影)
僕も若い頃はバイクに乗っていた。
友人から貰った50ccのスポーツカブを暫く乗った後、大阪から東京まで走破し、返しに行ったこともあった。
西岡たかしさんからホンダCD250を練習用にお借りし、かなりの期間乗っていた。
西岡さんはその後、ハーレーマニアになっておられた。
ハーレーもいいが、僕には似合わない。どちらかと言えばヨーロッパ車のトライアンフなどが好みだ。
『大脱走』でスティーヴ・マックイーンがバイクで逃走する姿は憧れの的だ。ピーター・フォンダの『イージー・ライダー』もあった。
いや、最近の映画でも多くの俳優のバイクシーンがある。『ターミネーター』の中でのアーノルド・シュワルツェネッガーはハーレーが似合うし、『エリン・ブロコヴィッチ』の中でのアーロン・エッカートのハーレーもいい。映画『ボディ・ターゲット』でジャン・クロード・ヴァン・ダムが古いトライアンフを自分でオーバーホールして乗る姿は良かった。オルガ・キュリレンコ『ザ・クーリエ』のバイクテクニックには驚かされるが、多分、スタントの姿なのだろう。ヘルメットを被れば誰だかわからない。メグ・ライアンの『恋におぼれて』のバイク姿もいい。
僕はかつてサイドカー付きに乗りたかったのだが、運転が難しいと言われたので、悩んだ挙句ホンダの単車CB750にした。いわゆるナナハンである。
それで九州中を走り回ったし、宮崎から四国の足摺岬、室戸岬を回って大阪のグループ展の出品に行ったこともあった。今はそんな体力は到底ないし、もう随分とバイクには乗っていない。
だいいち、今年の帰国時に大型自動二輪免許は返上してしまった。
大型自動二輪免許だけではなく、大型車(トラック、バスなど)、牽引(トレーラーなど)、大型特殊(ブルドーザー、ショベルカーなど)、など2種免許以外は全ての免許も持っていたのだが、普通車以外はすべて返上してしまった。
免許試験場の試験官氏は「勿体ないな~」と言われたが、普通車以外は乗らないのだから無駄だと思ったのだ。
でもやはり勿体なかったかな。取得する時には何日も試験場に通い、何度も不合格になりで結構苦労もしたし、持っているだけでいつでも乗れるという豊かな気分になれるのだから。
そしてバイクに追い越される度に、その後姿を羨望の目で見送っている。武本比登志