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彼はこれらの研究成果について 食物毒性学の専門家である姉のファティマ・オレア博士と話し合った。
ビスフェノールAを含みそれを食物に流出させている製品は他にもあるだろうか と彼女は考えた。
ほどなく 彼らはビスフェノールAがポリカーボネート樹脂以外のプラスティックにも含まれており
それが食品缶詰の内部コーティングや 瓶の蓋 水道管の内張りなどに使用されていることを発見した。
多くの場合 食品やミルクの入ったブリキ缶の内側には色付きでなければほとんど気づかないような
プラスティックのコーティングがある。
コーティングは 金属が内部の食品を汚染して味などを損なうのを防ぐために貼られている。
しかし と彼らは疑問を持った。保護用のプラスティックからビスフェノールAが缶内部の食品に溶け出すことはないのか?
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「結果は憂慮すべきものでした。20個のうち14個の缶で
乳がん細胞を分裂させるのに十分な量のビスフェノールAがが含まれていました。
また 検査したうちの70%の缶で内容物にエストロゲン様作用が見られたのです。」とニコラス・オレアは報告する。
エンドウ豆の缶の汁が 最も著しい結果を示した。平均で23マイクログラムものビスフェノールAを含んでいたのだ。
アーティチョーク インゲン豆 ミックスベジタブル コーンなどの缶詰の汁に含まれるビスフェノールAは
1缶あたり10~18マイクログラムだった。
この値は 実験では 人間の乳がん細胞を分裂・増殖させるのに十分だった。
ビスフェノールAを溶出させた缶をいったん空にして蒸留水を入れて加圧下で加熱すると
その水からもビスフェノールAが検出された。
このことは 缶内部のプラスティックコーティングから化学物質が流出しているとの推論を裏付けた。
新鮮な野菜を食べたところ そのような結果は出なかった。
この研究に関する報告の中で彼らは 缶詰について「通常 製造から売られるまでに数か月が経過する。
この間に ビスフェノールAの蓄積が進行する・・・このような発見から分かるように
人間は暴露しており 危険にさらされている」と報告している。
このような知らず知らずの暴露を防ぐために
食品包装材をさらに詳しく調べる必要があると主張した。
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オレア姉弟はビスフェノールAが他の製品にも使われているかどうかを知るために
グラナダ大学の他の学部に問い合わせた。
その結果 歯学部では日常的に使用されていることが分かった。
子供の虫歯予防に使われるシーラントはほとんどが該当し
新式の白い詰め物の多くにもビスフェノールAが含まれている。
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スペインチームはまた 乳幼児の哺乳瓶も調べた
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乳児は哺乳瓶からのエストロゲン様化学物質の影響よりも
ビスフェノールAを溶出させるプラスチックコーティングを施されたブリキ缶に入れられた場合
粉ミルクがビスフェノールAを含む可能性があることを明らかにしていた。
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スタンフォード大学での研究で最初に警鐘を鳴らしたフェルドマン教授も この問題を心配している。
「プラスティック容器を使用する消費社会では 食品や飲み物が汚染され
人々がビスフェノールAにさらされる機会は数多く存在する。
たとえばミネラルウォーターの容器はポリカーボネート樹脂製だ。
ソーダやビールやジュースの再利用可能な容器も ポリカーボネート樹脂で作られているかも知れない。
ベビーフードやジュースなど乳児用の容器や哺乳瓶 ベビーフード加熱器など
日常使用される際に加熱される可能性のあるものはすべて ポリカーボネート樹脂が一般的だ・・・
他にも 食べたり飲んだりする品々にはプラスチック製品がつきものだ・・・
プラスチックからビスフェノールAが溶け出て 人間にエストロゲン様作用を及ぼす可能性は現実のものであり
この可能性を評価するためにさらなる研究が認可されると信じている」
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