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その後 この問題を認識しているのは彼らだけではないことが分かった。
英国政府は以前から このことを知っていたのだ。
1970年代後期 釣り人が雌雄同体の魚の存在を環境庁に報告していた。
それらの魚は雌雄の中間の性の特徴を示していた。
卵巣でも精巣でもない 両者の中間のような生殖腺を持っていた。
普通ならめったに見かけられないはずのそんな魚を
下水処理施設からの放流水を川に流す前にためておく
貯水池で釣り上げたとの報告がいくつかあった。
この時点ではまだ それが自然現象によるものなのか
それとも放流水に含まれる何らかの物質によるものなのかはわからなかった。
さらにその後 農水省ローストフト研究所の科学者が
下水処理施設のすぐ下流にある養魚場で
オスの魚のビテロゲニン値が大きく上昇していることを発見した。
これらのことからも サンプターらの検査技術は誤りがあるどころか
より広範囲に拡大する可能性のある問題を敏感に見つけ出したと言えよう。
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「結果は検査したすべての場所で強い陽性でした」とジョン・サンプターは言う。
「したがって特定の地域に限られた問題ではありません。全国的な規模で
非常に強い影響がみられます。
まさか全国的に影響が拡大しているとは考えてもみなかったので
私にとっては最大の驚きでした。
この発見から導かれる唯一の結論は 下水処理施設からの
放流水に含まれる何かが魚に対して女性ホルモン様の働きをしている
ということです。それしか考えようがない」
そのうえ その物質はきわめて強力らしく いくつかの川では
下水処理施設のかなり下流の調査地でも影響を及ぼしていた。
「下水処理施設が数か所あるリー川では 一連の詳しい調査をしました。
この川では各所に置かれたすべてのケージのオスに
ビテロゲニン値の上昇がみられ 各施設のすぐ下流では
その値が特に高くなっていました」とピーター・マチスンは言う。
心配な点はそればかりではなかった。
「動物の代謝に影響して通常では作らないタンパクを
大量に産生させるような物質は その動物に
他にも連鎖反応的な影響を及ぼすに違いない」と
ピーター・マチスンは言う。
「そこで私たちは 生殖への影響も含めて 視野を大きく拡大しました。
もう一つ知りたかったのは これらの物質が川を通じて
私たちの飲み水に入り込んでいないだろうか ということでした」
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