・・・略・・・
「DDTがエストロゲンとして働くというレポートが発表された当初は本当に驚いた。
環境中にこれ程広範囲に存在している化学物質がそんな力を持っているとは大変なことだ。」
とマクラクランは回想する。
文献を調べた彼がさらに驚いたことに DDTにエストロゲン様の作用があることは
すでに1950年代に報告されていたが 誰もがその重要性に気づかずにいたのだった。
この後すぐにマクラクランは 他の殺虫剤もまた弱いエストロゲンのような
働きをする可能性があるというレポートに出会った。
さらに心配なことに その一部は人間の生殖に影響を与えうるだろうというのだ。
1975年 バージニア州 現在では閉鎖されたライフサイエンスプロダクツ社の工場で
殺虫剤ケポンにさらされた工員たちの血液や組織から この物質が大量に見つかった。
ガゼリアン博士に率いられたバージニア医科大学の研究チームによれば
14人の男性工員が不妊になっている可能性が高いことが分かり この事件は大騒動になった。
精液を分析したところ 明らかに異常精子が多く 運動率も悪かった。
その他にも 震え 頭痛 記憶障害など深刻な障害が多発した。
ケポンのエストロゲン様作用については 徹底的に研究された。
・・・略・・・
文献を調べているうちに
エストロゲン様の働きをすると考えられる殺虫剤の数は増加し続けていると言う事が分かった。
そのリストには DDTの分解物であるDDE ケルセン ヘプタクロル ケポン
メトキシクロルなどが含まれていた。
どの化学物質がエストロゲン様の働きをするかは 分子の形からは判断できなかった。
エストロゲン様作用を持つ物質は それぞれに異なる形をしていた。
・・・略・・・
これらの化学物質は性ホルモンの働きを根柢から覆す 恐るべき力を持っている。
それならレセプターが天然エストロゲンに対して鍵穴のような役割を果たす仕組みは
どのように作用しているのだろうか と彼は疑問を抱いた。
何故レセプターは受け入れるカギをもっと細かく選別しないのだろう?
なぜ いくつもの化学物質が結合できるのだろう?
その答えは 人間の進化の歴史に由来している と彼は感じた。
https://www.pinterest.jp/pin/596515913134193700/
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます