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「過半数代表者の適切な選出手続きを」リーフレットが公表されました(令和2年10月21日公表)

2020年10月26日 | 労使協定方式

令和2年10月21日に厚生労働省から、

「過半数代表者の適切な選出手続きを~選出するにあたっての5つのポイントをご紹介します~」

というリーフレットが公表されました。





(出典:厚生労働省「過半数労働者の適切な選出手続きを~選出するにあたっての5つのポイントをご紹介します~」)

(上記画像をクリックすると厚生労働省のホームページに移動します)









労使協定方式を採用する場合は、必ず労使協定を締結しなければいけないのです

が、このリーフレットはその労使協定を締結する際の過半数代表者の選出方法に

ついて、気を付けなければいけないポイントを示したものです。









リーフレットに記載されている5つのポイントは以下のとおりです。

 ① 過半数代表者となることができる労働者の要件があります

 ② 過半数代表者を選出するための正しい手続きが必要です

 ③ メールなどで労働者の意向を確認する場合には、意思の確認に特に注意が必

   要です

 ④ 派遣労働者の意見の反映をすることが望ましいことです

 ⑤ 過半数代表者が事務を円滑に遂行できるよう配慮することが必要です 












【東谷解説】

① 過半数代表者となることができる労働者の要件があります

 過半数代表者になるためには以下の要件を満たす必要があります。

  ・労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者ではないこと

    いわゆる管理監督する地位にある方は過半数代表者とはなれません。

    ただし、労使協定を法人単位で締結する場合は、法人全体で管理監

   督者しかいない場合、労使協定を事業所単位で締結する場合はその事

   業所全体で管理監督者しかいない場合は、管理監督者であっても過半

   数代表者となることができます。

  ・ただし、この場合も過半数代表者を選出するための正しい手続きを行

   う必要があります。これは次の②で説明します。

  ※ 過半数代表者は必ずしも派遣労働者でなければいけないわけではあ

   りません。派遣労働者以外の正社員やパートタイム労働者、有期雇用

   労働者が選出された場合は、その者を過半数代表者としなければいけ

   ないことにもご注意ください。






② 過半数代表者を選出するための正しい手続きが必要です

 過半数代表者は正しい手続きを経て選出する必要があります。

 正しい手続きとは、投票や挙手のほかに、労働者の話し合いや持ち回り決議

などでも良く、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確にな

る民主的な手続きが必要です。

 法人単位で労使協定を締結する場合は、その法人全体の派遣労働者はもとよ

り、派遣労働者以外の正社員、パートタイム労働者、有期雇用労働者を含めた

すべての労働者が手続きに参加する必要があります(つまり、投票手続きは全

ての労働者に対して周知した上で、全員投票に参加させて行う必要があるとい

うことです。ちなみにこの全ての労働者には、その派遣元で他の派遣会社から

受け入れている派遣労働者は含みません。理由はその派遣元で雇用されていな

いからです)。

 事業所単位で労使協定を締結する場合は、その事業所全体の派遣労働者はも

とより、派遣労働者以外の正社員、パートタイム労働者、有期雇用労働者を含

めたすべての労働者が手続きに参加する必要があります。

 正しい手続きとは言えない場合としては、会社の社長や役員等が特定の労働

者を指名して過半数代表者とすることなどがあげられます。

 また、既に36協定の過半数代表者を選出していた場合で、そのまま、その者

を労使協定方式における労使協定の代表者に据えることも、正しい手続きを行

ったとは見なされません。なぜなら、労使協定方式を採用することをすべての

労働者に周知した上で過半数代表者を選定しなければいけないという要件を満

たしていないためです(ちなみに、適正な手続きを経たうえで、たまたま、

36協定の過半数代表者と被った場合は特に問題ありません。要するに適正に手

続きを経たかどうかが重要となります)。

 もし、適正な手続きを経ずに過半数労働者を選出した場合は、その労使協定

自体が無効となり、遡って派遣先均等・均衡方式が適用されることになるので

ご注意ください。






③ メールなどで労働者の意向を確認する場合には、意思の確認に特に注意が必

  要です


 これは、厚生労働省から今回初めて示された考え方です。

 派遣労働者を含む全ての労働者に対してメールで通知を行い、そのメールに対

する返信のない人を信任(賛成)したものとみなす方法は、一般的には、労働者

の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確になっていないと考えられ、

適正な方法とは見なされない可能性があるということです。

 では、方法としては実際どのように行うかというと、全ての労働者に対してメ

ールで通知を行い、返信がない労働者に対しては、電話や聞き取りにより直接労

働者の意見を確認し、そのことを記録する方法などが挙げられます。






④ 派遣労働者の意見の反映をすることが望ましいことです

 できるだけ派遣労働者(その派遣元で雇用されている)の意見を反映するよう

にした方が望ましいということです。

 これは必ずしも行わなければいけないわけではありませんが、できるだけそのよ

うな取組みをした方がいいでしょう。というお話です。





⑤ 過半数代表者が事務を円滑に遂行できるよう配慮することが必要です 

 できるだけ過半数代表者の選任に関する事務が円滑に遂行するように、会議室や

パソコンの提供等をしてあげてくださいということです。







https://haken-higashitani.com/









(資料)

 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年6月)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/all.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和2年度適用)」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000595429.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000685419.pdf


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